LAのサステナブルなファッションとは?
その経歴は実に華やか。〈ディーゼル〉、〈ジョルジオ アルマーニ〉、〈ラルフ ローレン〉などで要職を務め、余剰在庫をアップリサイクルする〈アトリエ & リペアーズ〉をロサンゼルスで立ち上げたモリッチオ・ドナーディ。そんな彼が来日時のインタビューで発したのは、ちょっと衝撃的な事実だった。
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- ハートに火をつけて! VOL.95
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- ハートに火をつけて! Fashion Safari Magazine
ATELIER&REPAIRS
モリッチオにとって、材料集めは宝探し。この写真は、LAの閉店するリサイクル業者から大量の在庫を引き取ったときのもの
「ファッション業界は、製油業界の次に環境にダメージを与えています。特に問題なのが、大量に廃棄される服。だから、なにかをはじめるときは、もう新しい服を作らないと、自分に約束しました。私たちのプロジェクトは、世界中から集めた古着や余剰在庫をリペアし、高い価値へとトランスフォームさせるものです」
〈アトリエ & リペアーズ〉のアイテムは、すべて味のある手仕事を加えた1点もの。材料だけでなく、そのテクニックにも世界の様々な技法を採用している。
「日本の刺し子、イタリアのリペア、フランスのステッチ、アメリカのキルトなど、各国で培われてきた修復テクニックをミックスしています。新たな創造性と伝統的な技術を1着の中に取り入れ、さらに20年の命を与えるのです」
ヴィンテージのリーバイス501をリペア。オリーブグリーンのパッチワーク素材も、軍もののヴィンテージ。カラフルで素朴なステッチがポイント。4万9000円(アトリエ & リペアーズ/オー! ショールーム)
クリエーションの源泉は、モリッチオの感性に引っかかったアート、建築、音楽など。たとえば、あざやかな壷からインスピレーションを得て、それに合った材料を探し、リペアが施されていく
Maurizio Donadi
1957年、イタリア生まれ。リーバイス上級副社長など、アパレル業界で30年以上のキャリアを経て、2015年に〈アトリエ & リペアーズ〉を共同創設。
雑誌『Safari』10月号 P241掲載