映画好きを唸らせるのが、予想できないエンディングを迎える作品。そこで、思わず仰天してしまうオススメ作品を5本セレクト。作品紹介の後半には【ネタバレ】が含まれているので、ラストを知りたくない人はご覧にならないようご注意を。
また「あの作品が紹介されていない!」「もっと、どんでん返し映画を知りたい!」という人は、既出の記事“【まとめ】まさかのエンディングに驚愕! どんでん返し映画30本!”をチェックしてみて!
『アザーズ』
製作年/2001年 製作総指揮/トム・クルーズ 監督・脚本/アレハンドロ・アメナーバル 出演/ニコール・キッドマン、フィオヌラ・フラナガン、クリストファー・エクルストン
屋敷に暮らす家族の秘密とは?
『オープン・ユア・アイズ』のアレハンドロ・アメナーバルが監督を務め、トム・クルーズが製作総指揮として参加。製作当時、トムの妻だったニコール・キッドマンが主演を務めている。物語の舞台は、第2次世界大戦直後のジャージー島。出征した夫の帰りを待ちながら、広い洋館で娘と息子とともに3人で暮らすグレース(キッドマン)。子供たちは光にアレルギーがあるため、カーテンは日中も閉め切られたまま。そんな屋敷に3人の使用人が現れるが、その日を境に不可解な現象が起きはじめ……。
<ここからネタバレ>
光から子供たちを守ろうとする神経質な母グレース、どこか怪しげな使用人たち、帰って来る気配のない夫……。直接的なホラー描写はなく、ただただ充満する不穏な空気がスリルとなって押し寄せてくる作品だが、ラストではグレースと子供たちがすでに死者であると判明。悲しき事情を抱えるグレースを美しく熱演したニコール・キッドマンの演技に、公開当時も多くの賛辞が寄せられた。
『月に囚われた男』
製作年/2009年 原案・監督/ダンカン・ジョーンズ 出演/サム・ロックウェル、ケビン・スペイシー、ドミニク・マケリゴット
月に派遣された男の正体とは?
デヴィッド・ボウイの息子であり、映画監督として活躍するダンカン・ジョーンズの長編初監督作。時代設定は、地球の資源が枯渇した近未来。月に派遣されたサム(サム・ロックウェル)は、採掘した燃料を地球へ送り続ける単調な毎日を過ごしていた。3年の業務契約が満了し、家族と再会できるまであと2週間。孤独な生活に耐えるサムだったが、自分と瓜二つの男が現れ……。
<ここからネタバレ>
突如現れた瓜二つの男は、サムを派遣した企業が秘密裏に作り出していたクローン。月での採掘計画が失敗しないよう、サムすら知らされていない事態が進行していたと分かる。……というのがどんでん返しではなく、実はサム自身もプロジェクトのために作られたクローンだと判明し……。切ない雰囲気を湛えたSF映画ゆえ、ここで主人公が絶望して終了~となりそうなものだが、そうは終わらないのが本作の魅力。奮起したサムたちの大逆転劇が、最後に爽快感をもたらしてくれる。
『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』
製作年/2003年 製作・監督/アラン・パーカー 出演/ケヴィン・スペイシー、ケイト・ウィンスレット
事件の裏に隠された衝撃の真実!
名匠アラン・パーカーが監督を務め、死刑制度に疑問を投げかけるサスペンスドラマ。同僚女性をレイプし、殺害した罪で死刑判決を下された元大学教授のデビッド・ゲイル(ケヴィン・スペイシー)。彼の手記を作るため呼び出された記者ビッツィー(ケイト・ウィンスレット)は、彼の話を聞くうちに冤罪の可能性を感じはじめ……。
<ここからネタバレ>
物語の鍵となるのは、デビッド・ゲイルも、死去した同僚女性も死刑廃止論者であること。ビッツィーの懸命な調査により、同僚女性はデビッドに殺害されたのではなく、自ら死を選択したのだと分かる。目的は、デビッドに罪を着せて死刑へと導き、冤罪と死刑制度の関係性に疑問を呈すること。しかも、デビッド自身もその思惑を承知していたことがラストのラストで発覚! どんでん返しのオチが作品の放つメッセージに直結する秀作。
『THE GUILTY ギルティ』(2018)
製作年/2018年 監督・脚本/グスタフ・モーラー 出演/ヤコブ・セーダーグレン、イェシカ・ディナウエ、ヨハン・オルセン
耳からの情報だけで事件を解決しようとするのだが……!
緊急通報司令室のオペレーターが、電話の声と音を頼りに誘拐事件を解決しようと奮闘するデンマーク製スリラー。近ごろ、アントワン・フークア監督、ジェイク・ギレンホール主演のリメイク版もネットフリックスで配信された。緊急通報司令室勤務のアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)は、今まさに誘拐されているという女性から通報を受ける。女性の声、クルマの発信音など、耳からの情報を頼りに事件を解決しようとするアスガーだったが……。
<ここからネタバレ>
わずかな情報で事件を解決できるかどうか? というサスペンスが物語の軸になっていたはずが、実は誘拐された女性は精神を病んでおり、我が子を殺した彼女を元夫が病院へ連れていくところだったことが判明。“誘拐”も“誘拐犯”も存在していなかったと分かる。得られた情報により何を想像するかは人それぞれ。人間の想像力に警鐘を鳴らす1作。
『[リミット]』
製作年/2010年 製作総指揮・監督/ロドリゴ・コルテス 脚本/クリス・スパーリング 出演/ライアン・レイノルズ
棺の中に閉じこめられたオトコの運命は!?
ライアン・レイノルズが棺の中に閉じこめられた主人公に扮し、ほぼ全編彼のショットで物語が展開していくスペイン製スリラー。イラクで働いていたアメリカ人トラック運転手のポール(レイノルズ)は、ある日突然何者かに襲われ、地中に埋められた棺桶の中で目を覚ます。手元にあるのは充電切れ間近の携帯電話とライター。残り90分の酸素しかない密閉された場所で、ポールは決死の脱出を試みようとするが……。
<ここからネタバレ>
彼は地中から脱出できるのか? 彼が埋められた理由は何なのか? 電話越しにSOSを送りながら死闘を繰り広げるポールだが、恐ろしい大どんでん返しが待ち受けるのはラスト。SOSをたらい回しにされたあげく、ようやく最後に外の世界からの救助が来た! と思いきや、救助隊が見つけたのは別の棺桶で……。90分奮闘した後、悲劇の結末を迎えるポールの運命がただただ空しく、バッドな方向へのどんでん返しに絶望させられる。
photo by AFLO