『スタンド・バイ・ミー』ほか
熱き友情に涙する青春映画5選!
誰もが経験する青春時代を題材にした映画は、大人になってから観ても、どこか胸を焦がしてしまうもの。ここでは、青春映画の傑作を5本紹介。是非、”あの頃”にトリップしてみて!
『スタンド・バイ・ミー』
製作年/1986年 監督/ロブ・ライナー 主演/ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス
ノスタルジックな気持ちが明日の活力に!
凶暴な犬がいる私有地を横切り、欄干のない橋を渡り、底の見えない沼へ足を踏み入れる。主人公たちの行く手に控えているのは、誰もが少年時代に味わったドキドキな体験ばかり。観る者は、リヴァー・フェニックス演じるクリスらと一緒に行動しているような気分になっていく。
さらに、森の中で過ごす一夜、年上の不良たちとの対決と、大人の男になるための通過儀礼が待ち構えている。人生は度胸だめしの連続、そんなことを教えてくれる作品だ。仕事でちょっとした壁にぶつかったときなどに、見直してみてはどうだろうか?少年時代に一緒にバカをやった仲間たちの笑顔が思い出され、壁を乗り越える活力を与えてくれるに違いない。そうすると、さらにひと皮むけた大人へと成長できるだろう。
少年時代のイノセントさと故郷の懐かしい親友たちとの友情を思い出させてくれる不朽の名作。4人の少年たちが、森の中にある死体を探しに出かけ、わずか2日間ながら子供から大人へと成長を遂げていく姿を名匠ロブ・ライナー監督があざやかに描き出している。23歳の若さで夭折した伝説の俳優リヴァー・フェニックスの白T&デニム姿がまぶしい。
『フットルース』
製作年/1984年 監督/ハーバート・ロス 出演/ケヴィン・ベーコン、ロリ・シンガー、ダイアン・ウィースト
怒りを爆発させる踊りにアツくなる!
『サタデー・ナイト・フィーバー』を皮切りに、『フラッシュダンス』、『ダーティ・ダンシング』など、1970年代後半〜1980年代はダンス映画が一大ブームを起こした時代だった。ブームとはいえ、主人公のように踊り出したくなるかどうかは人それぞれ。
しかし『フットルース』ほど、高い確率で一緒に踊りたくなる映画はないのでは? 主人公がさまざまなシチュエーションで踊り出すこの映画。1984年の公開時は、MTVが隆盛を極め始めた時期でもあったことで、『フットルース』もひとつのカルチャーとして、当時の若い世代を熱狂させた。
ダンスやロックを禁止された田舎町に引っ越してきたレン・マコーミックが、周囲の大人たちの反対を押し切って、高校の卒業パーティを強行しようとする……と、ストーリー自体は、ありきたりの域を出ないレベル。
しかし名曲『ネヴァー』とともに、怒りを爆発させるようにレンが踊るシーンは、いま改めて観ても胸が熱くなる。そのほかにもケニー・ロギンスの主題歌『フットルース』や『ヒーロー』など、色褪せない曲の数々にテンションが上がりっぱなし!
レンを演じたケヴィン・ベーコンは反逆精神を全身で体現して一躍、スターの地位を確立。その後、現在に至るまで長い俳優人生を送っている。2011年には『フットルース 夢に向かって』というリメイクも誕生した。
『ブルークラッシュ』
製作年/2002年 監督・脚本/ジョン・ストックウェル 出演/ケイト・ボスワース、ミシェル・ロドリゲス
美しいノースショアに惹かれる!
サーフィンの聖地であるハワイのオアフ島ノースショアを舞台に、サーファーガールたちの奮闘を描いた青春映画。幼いころから天才サーファーと呼ばれてきたアンだったが、サーフィン中の事故が原因で恐怖を拭い去ることができない。そんな中、ずっと目標にしてきたサーフィン大会の日が近づいてくるが……。
実際の撮影も、オアフ島ノースショアで敢行。サーフィン映画に欠かせない名手ドン・キングが水中撮影を担当し、うねるビッグウェーブの中をカメラで突き進んでいく。飛び散る水しぶき1つ1つにまでリアリティがあり、まるで自分が波に乗っているかのような気分を味わえるのもうれしい。
また、アン役のケイト・ボスワース、アンの親友エデン役のミシェル・ロドリゲスら、サーファーガールと化した女優たちがとにかくキュート。撮影当時20歳前後のエネルギーに満ちている。
『バスケットボール・ダイアリーズ』
製作年/1995年 監督/スコット・カルヴァート 出演/レオナルド・ディカプリオ、マーク・ウォールバーグ、ロレイン・ブラッコ
役者としての挑戦心が見てとれる!
アイドル的評価の高い美青年時代のディカプリオが攻めている1作。詩人ジム・キャロルの自伝『マンハッタン少年日記』を原作にした青春映画で、ディカプリオ演じる主人公の高校生ジムがドラッグに溺れ、破滅していく様が描かれる。
バスケットボールをすることと詩を書くことが大好きで、やんちゃな不良生徒に過ぎなかったジムが、親友の死に心を痛め、ドラッグの高揚感を経験し、やがて男娼にまで身を落とす姿が痛々しくリアル。
撮影当時19歳。役にナチュラルな説得力をもたらすことに定評のあるディカプリオが、ティーンエイジャーの鬱屈を生々しく見せつける。華奢な少年っぽさ漂う若手スターでありながら、作品選びには一役者の挑戦心が。同年公開で、彼が詩人のアルチュール・ランボーを破滅的に演じた『太陽と月に背いて』も同様の志が感じられる1作。
『8mile』
製作年/2002年 製作・監督/カーティス・ハンソン 出演/エミネム、キム・ベイシンガー、ブリタニー・マーフィ
人生に大事なことを教えてくれる!
“8マイル”と呼ばれる通りを境に、中産階級の暮らす郊外と貧困層がひしめくエリアに分断された1995年、デトロイト。天性のラップセンスを持つ白人青年ジミーは、“8マイル”の向こう側に行くことを夢見ていたが…。ヒップホップ界のトップスター、エミネムの半自伝的映画であり、ラップアーティストとしての成功を志す青年の物語。
黒人の活躍が主流のヒップホップ界で、華麗なサクセスを遂げたエミネム自身の人生が投影され、主人公のジミーを自ら演じている。ジミーのままならない日常、同じ志を持つ女性とのロマンス、コンプレックスの克服などが丁寧に見つめられた本編は青春映画に徹しているともいえるが、エミネムの活躍と照らし合わせることで唯一無二のサクセス映画に。自分の進む道を模索し、もがくジミーの姿が、人生に大事なことを問いかけてくる。