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『スティング』
製作年/1973年 監督/ジョージ・ロイ・ヒル 出演/ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード
うまい話には改めて気をつけたいと思わせる傑作!
アカデミー賞作品賞受賞作で展開するのは、恩師を殺された詐欺師が、殺害を命じたギャングに復讐しようとする物語。死には死を、ではなく、詐欺師らしく詐欺での仕返しを試みる男の奮闘はスタイリッシュで、爽快な感動すらある。
詐欺師とギャングのコンゲームは決して身近な状況ではないが、注目したいのは映画の冒頭。ギャングの手下が路上強盗の現場を目撃し、通りすがりの若者と協力して強盗を退治する。その際に傷を負った被害者はギャングの手下を信頼し、先程狙われた大金を自分の代わりに届け先へ運んでほしいと懇願。ギャングの手下は快く願いを聞き入れたかと思いきや、被害者の大金をまんまと奪い去ろうとする。
しかし、実は被害者と若者は詐欺師コンビで、そうこうしている間に彼らはギャングの手下の所持金を奪取。このスリこそが後に展開する復讐劇の発端となることもあり、手口のあざやかさを含め気にとめておきたいところだ。自分が騙したつもりが、いつの間にか騙されている。路上強盗を助ける行為は尊いが、被害者の金を盗もうとしてはいけません!
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『コフィー』
製作年/1973年 監督・脚本/ジャック・ヒル 出演/パム・グリア、ブルッカー・T・ブラッドショウ
家族と仲間のために命をかけてリベンジ!
妹を麻薬漬けにしたドラッグディーラーを、復讐のために抹殺した黒人の看護師コフィー。彼女は人をあやめたことに良心の呵責を覚えていた。しかし、彼女の元恋人で今は親友でもある警官が麻薬組織に暴行され、重傷を負ったことで、怒りが再燃。麻薬犯罪の根本を断つべく、娼婦に扮装して組織に潜入した彼女は、意外な黒幕へと近づいていく……。
『ジャッキー・ブラウン』や『キル・ビル』に影響をあたえたと言われる快作。1970年代に流行した黒人客向けのB級の娯楽作、いわゆるブラックスプロイテーション映画を代表する一本で、グルーヴィーなサントラを含めて、現在も高評価されている。が、何より強烈なのは、やはりヒロイン、コフィーのキャラクター。復讐のためならカラダをあたえることもいとわず、色気で油断させて優勢に立ち、真の黒幕へと近づいていくたくましさ。主演のパム・グリアは、この後キャリアが低迷したが、本作を愛するタランティーノによって『ジャッキー・ブラウン』の主演に抜擢され、復活を遂げた。
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『狼よさらば』
製作年/1974年 監督/マイケル・ウィナー 脚本/ウェンデル・メイズ 出演/チャールズ・ブロンソン、ヴィンセント・カーディニア、ホープ・ラング
観る者の倫理観を揺さぶる問題作!
凶悪犯罪の発生率が過去最悪のペースで増加する70年代のニューヨーク。ある日、建築会社で働くポールの自宅が暴漢たちの急襲を受け、居合わせた妻は殺害、娘は凌辱された末、心神喪失に陥ってしまう。悲しみを乗り越えようとする彼だったが、取引先の相手から拳銃をプレゼントされたことで何かが変わる。いつしか街にはびこる犯罪者を探し鉄槌を下す”謎のヴィジランテ”となって夜の街を徘徊するようになりーーー。
地下鉄や川沿いで一人、また一人と悪が葬られる異常事態によって、犯罪発生率はこれまで警察がなしえなかったレベルで急激に下降。市民の一部からはその行動が大いに称賛される……という個人と社会に目を向けた物語を展開させ、加えてそこに西部開拓時代の人々が自ら銃を取ってきたアメリカ史すら示唆しながら、本作はなんとも挑発的な切り口で観る者に出口なき命題を突きつける。束の間の平穏を手にした先には何が待ち構えるのか。ブロンソン主演の同シリーズは全5作に及ぶ。気になる方はぜひその後の命運を見届けてほしい。
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『マッドマックス』
製作年/1979年 監督・脚本/ジョージ・ミラー 出演/メル・ギブソン、ヒュー・キース・バーン、ロジャー・ワード
警察官が復讐の鬼と化す!
70年代の終わり、医師としてキャリアを築きながら映画監督の道へ入り込んだジョージ・ミラーと、無名の駆け出し俳優だったメル・ギブソンが運命的に巡り合うことで生まれたSFアクション。暴走ライダー軍団が傍若無尽の限りを尽くす近未来のオーストラリアで、警察は彼らを取り締まるべくV8エンジン搭載の特殊車両を駆使して追跡作戦を展開するがーーー。
容赦ない追跡は壮絶な復讐を呼び、その連鎖は悪化するばかり。相棒を殺され、幼い我が子を失い、愛する妻も重傷を負わされた主人公マックスはいつしか法の番人としての立場を脱ぎ捨て、”復讐の鬼”となって超術スキルでマシンを走らせる。この怒気とハイテンションはまさに天井知らず。具体的なバイオレンス描写を映すことなく、むしろ度重なるイメージと矢継ぎ早の編集、ピンポイントのカークラッシュや爆破を描写することで低予算ながら劇的なまでの効果を獲得している。『マッドマックス:フュリオサ』公開中の今だから見直したい、荒削りながらダイヤ原石の輝きを持った一作。映画史を揺るがす伝説はこうして幕を開けた。
![あぶない!アウトロー映画5選!](https://media.safarilounge.jp/online/thegear/content/theme/media/2022_11/12394/12394.4.jpg)
『ヤングガン』
製作年/1988年 製作・監督/クリストファー・ケイン 脚本/ジョン・フスコ 出演/エミリオ・エステベス、キーファー・サザーランド、ルー・ダイアモンド・フィリップス、チャーリー・シーン
若きアウトローたちに憧れる!
アウトローたちがプライドをかけて戦ったのは、西部開拓時代。アウトローが英雄でもあった時代だ。その代表格が、強盗として知られ、21歳の若さで世を去ったビリー・ザ・キッドで、彼を描いた映画は数多く作られている。その中でも特に人気が高いのが本作。タイトルに“ヤング”とあるように、ビリー・ザ・キッドがその名を得る以前の時代にフォーカスする。19世紀末のニューメキシコ州。牧場で働いていたウィリアムが、主人が殺されたことで復讐を誓い、臨時保安官として活躍する物語。ウィリアムを中心にした6人の若者の青春群像劇でもある。
ビリー・ザ・キッドと名付けられるきっかけとなった撃ち合いなど、ガンアクション場面はド迫力で、いま観ても興奮度満点。保安官のはずのウィリアムが、非情な性格もあって人を殺すことに躊躇しなくなり、無法集団のリーダーへ変わっていくプロセスが劇的だ。危険な香りを漂わせつつ、無邪気な一面もあるウィリアムをエミリオ・エステベスが好演し、実弟のチャーリー・シーンら共演陣もそれぞれ味わい深い。誰もが思わず憧れる若きアウトロー、その理想形のひとつと言えそう!
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『ケープ・フィアー』
製作年/1991年 監督/マーティン・スコセッシ 共演/ニック・ノルティ、ジェシカ・ラング、ジュリエット・ルイス
静かなる狂気に震える!
強烈な役が多かったキャリアの初期を経て、俳優としての円熟期に入ったデ・ニーロが、再び過激な持ち味を全開にしたのが、この作品。若い時代のような振り切った感じではなく、静かに、そして不気味に狂気を漂わせる演技に、名優の底知れぬ実力がマックスで発揮されている。
1962年の名作『恐怖の岬』のリメイク。少女暴行の罪で14年の刑期を終えたマックスだが、自分を救えなかった弁護士への恨みが消えず、その一家に近づき、家族を崩壊させていく。マックスは復讐のために直接、手を下すのではなく、法を犯さないレベルでじわじわと弁護士家族を支配し、彼らの心を操る。映画を観ているこちらも、精神的な恐怖に陥っていき……というサイコスリラー。
全身タトゥーで、過剰に鍛え上げた肉体。外見もインパクト大なうえに、相手の弱みを瞬間的に察知し、利用する動物的本能、そして人のよさそうな態度がモンスターのように豹変する瞬間と、デ・ニーロの演技はトラウマになるほどの迫力。弁護士の娘との危険なやりとりなど、心ざわめかせるシーンが多数!
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『レオン』
製作年/1994年 監督・脚本/リュック・ベッソン 出演/ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン
美しくて切ない復讐劇!
NYのアパートでひっそりと暮らす殺し屋レオンは、隣人一家の12歳の娘マチルダと言葉を交わすようになる。マチルダは虐待を受けており、家族を憎んでいたが、幼い弟だけには愛情を注いでいた。そんなある日、麻薬密売組織から横領を働いていた父が、組織に粛清される。外出していたマチルダを除き、幼い弟を含めて全員が殺された。マチルダはレオンに助けを求め、復讐をしたいので殺しを教えて欲しいと頼んでくる。レオンは気が進まないながらも、殺し屋の訓練を彼女に施すが……。
ヒットメーカー、リュック・ベッソンの代表作……などと説明をするまでもない、サスペンスアクションの傑作。孤独な殺し屋と、家族を殺されて身寄りのなくなった少女が心を通わせ、疑似父娘のような絆で結ばれていく。その過程のち密な描写もさることながら、復讐のドラマに美しく、切なく決着をつける展開もうまい。後にアカデミー賞女優となる、マチルダ役のナタリー・ポートマンはこれが出世作となった。
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『ショーシャンクの空に』
製作年/1994年 監督/フランク・ダラボン 出演/ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン
知恵をフル回転させろ!
無実の罪で終身刑を言い渡された堅物の元銀行員アンディが刑務所の中で最後まで希望を捨てずに生き抜くヒューマンストーリー。冤罪を主張しても誰にも聞いてもらえず、所長や刑務官は利己的で残虐、暴力的な服役囚には常に狙われ……。絶望の中でもアンディは持ち前の人柄の良さで味方を増やし、鉱物収集という趣味を見つけて楽しみ、そして何より自身の知恵をフル回転して居場所と地位を獲得していく。
ヒューマンドラマであり脱獄ものとしても秀逸な本作。あっと驚く脱獄の方法、所長や刑務官への痛快すぎる“復讐”。約20年もの長い間、決行のその時までアンディは希望と尊厳、そして知識を武器にひとり静かに戦っていたのだ。特にアンディが『フィガロの結婚』を流すくだりは、彼の人間性――ひいては人間にとって根源的に大切な感情や意思が描かれる名シーン。普段は柔和でおとなしいアンディの清々しくも不敵な表情も必見だ。ちなみに、その数年後に製作される『ミスト』は同じスティーブン・キング原作、フランク・ダラボン監督と思えぬ、正反対の絶望に満ちた作品なのも面白い。
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『ダブル・ジョパディー』
製作年/1999年 監督/ブルース・ベレスフォード 出演/トミー・リー・ジョーンズ、アシュレイ・ジャッド、ブルース・グリーンウッド
嘘にまみれた裏切り者の夫に正義の鉄槌を!
その意味深なタイトルは、米憲法における二重処罰の禁止の原則を意味する。すなわち、いちど罪を裁かれ判決が確定した者は同一事件で再度有罪とはならない……と書いている私もよくわからないが、この原則を分かりやすい具体例に落とし込んだのが本作。要はこうだ。絵に描いたような幸せな家族がいる。しかし夫婦が海上のヨットで二人きりのロマンティックな時間を過ごした矢先、妻リビーが目覚めると辺りは血だらけ。そして夫ニックはいない。状況証拠から妻が夫を殺害し海へ投げ入れたものと容疑が固まり判決が下るが、6年にわたる刑期を終えた後、この腑に落ちない謎を究明すべく妻リビーの逆襲が幕を開ける。
もしも夫が生きていた場合、すでに殺人罪で服役済みのリビーが彼に復讐を遂げても罪には問われない(あくまで原則だが)。何から何まで嘘まみれの夫を執念深く追う主人公をアシュレイ・ジャッドが躍動感たっぷりに体現し、またお馴染みのジョーンズが彼女に振り回されつつ、自分なりに真相へ迫る堅物の保護観察官を妙演。ストーリー、アクションで魅せながら、演技のアンサンブルも際立つ、三拍子揃った良作だ。
![“やられたらやり返す”にはどうしたらいい!?
参考になる? リベンジ映画5選!](https://media.safarilounge.jp/online/thegear/content/theme/media/5929.1.jpg)
『グラディエーター』
製作年/2000年 監督/リドリー・スコット 出演/ラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセン
正攻法でのリベンジを望むならコレ!
古代ローマ皇帝からの信頼もあつく、聡明で誠実な将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)。そんな彼に帝位を譲ろうとする皇帝に対し、傲慢で野心的な皇子コモドゥスが反旗。実父である皇帝を殺して帝位につき、マキシマスの命をも狙う。妻子を殺され、自らも奴隷に身を落とすことになったマキシマスはやがて剣闘士となって名を上げ、コモドゥスへの復讐の機会をうかがうことになるが……。
巨匠リドリー・スコットが監督を務め、アカデミー賞で作品賞、主演男優賞などに輝いた歴史スペクタクル大作。華々しい活躍の日々から一転、衝撃的なまでの苦境に立たされたマキシマスの絶望、葛藤、それでも汚れ切ることのない信念が胸に迫り、本作でラッセル・クロウのファンになった人も多いはず。人生を懸けた正攻法での復讐を望むなら、一度は観ておきたい傑作!
![“やられたらやり返す”にはどうしたらいい!?
参考になる? リベンジ映画5選!](https://media.safarilounge.jp/online/thegear/content/theme/media/5929.2.jpg)
『キル・ビル』
製作年/2003年 監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ
気持ちを高めるなら、コレ!
妊娠をきっかけに裏社会から足を洗った史上最強の殺し屋ザ・ブライド(ユマ・サーマン)は幸せな結婚式を待ち望む中、ボスだったビル(デビッド・キャラダイン)たちの襲撃を受ける。
結婚相手も身ごもっていた子供も殺され、自らも重傷を負った彼女は4年後、昏睡状態から目覚め、ビルへの復讐を開始することに……。
鬼才クエンティン・タランティーノが映画への愛を炸裂させながら、悲劇に見舞われたヒロインの壮絶な復讐劇を描写。その壮大さから『Vo.1』『Vo.2』の2作構成となり、リベンジ映画といえばコレ! といえるほどの人気を誇り続けている。
黄色のトラックスーツに身を包んだザ・ブライドが、あるときは日本刀で、またあるときはナイフでターゲットを1人1人仕留めていく展開が痛快。梶芽衣子の歌う“怨み節”が、エンディングでインパクトを放っているのもそそる。
『パニッシャー』
製作年/2004年 監督・脚本/ジョナサン・ヘンズリー 出演/トーマス・ジェーン、ジョン・トラヴォルタ、ロイ・シャイダー、ウィル・パットン
親族が殺された復讐を自ら行う!
70年代にマーベルコミック内に登場して人気を集め、80年代、ついに単独コミックデビューを果たしたパニッシャー。2度目の映画化となる本作では、FBI捜査官フランク・キャッスルのおとり作戦によってギャングの親玉の息子が死亡し、その復讐としてキャッスルの妻子のみならず親族の命が根こそぎ奪われるという壮絶な仕打ちを受ける。負傷を乗り越えた彼は、黒のロングコートにドクロマークのTシャツというスタイルで、感情に支配された復讐ではなく、法の及ばない巨悪への”制裁(punishement)”として、容赦ない攻撃を仕掛けていくーーー。
マーベルヒーローでありながら、彼自身は何らスーパーパワーを持たず、とりわけ本作ではひたすら”生身の体”で立ち向かう姿が特徴的。その点、CG満載のSFアクションとは違い、作り手曰く、レオーネ、ペキンパー、シーゲル作品にインスパイアされたザラついたバイオレンス色を前面に出しているのだとか。通常のアクション大作に比べると予算が少なく、脚本冒頭にあった大事なシーンすらも取りやめになったほど。それでも挫けず、なんとか形にした監督&キャストの執念がにじむ作品である。
シャーリーズ・セロン×SF=『イーオン・フラックス』
製作年/2005年 監督/カリン・クサマ 脚本/フィル・ヘイ、マット・マンフレディ 出演/シャーリーズ・セロン、マートン・ソーカス
シャーリーズの初々しいアクションが光る!
新種のウイルスにより人類の99%が死滅してから400年後の25世紀。復興したように見える世界で、人々はワクチン開発者の子孫による圧政に人々は苦しめられていた。妊娠中の妹を政府によって殺された女性イーオン・フラックスは反政府組織最強の戦士となり、復讐のための戦いに乗り出す。しかし、彼女には独裁者をどうしても殺すことができなかった。そこには驚くべき秘密が……。
MTVで放映されたアニメシリーズに基づくヒロインアクション。シャーリーズ・セロンは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』をはじめとするアクション映画でタフな女性を演じているが、その原点は『モンスター』でアカデミー主演女優賞を受賞した後に主演した本作だ。抜群の身体能力を誇る女戦士を、しなやか、かつスピーディな立ち回りとともに熱演。意外な事実を受け入れ、さらなる戦いへと突き進むヒロインの姿は、『ブラック・ウィドウ』などの強いヒロイン像にも連なる。
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参考になる? リベンジ映画5選!](https://media.safarilounge.jp/online/thegear/content/theme/media/5929.3.jpg)
『狼の死刑宣告』
製作年/2007年 監督/ジェームズ・ワン 出演/ケヴィン・ベーコン、ギャレッド・ヘドランド、ケリー・プレストン
覚悟を決めたいのなら、コレ!
ビジネスマンのニック(ケヴィン・ベーコン)はガソリンスタンドでギャングの襲撃に遭遇し、長男を惨殺されてしまう。家族全員が悲しみに暮れる中、犯人の裁判で証言をすることになったニックは、法の裁きでは納得する結末が得られないと察知。自らの手で復讐を遂げようとするが、それはギャングを相手にした戦争の始まりだった……。
『アクアマン』のジェームズ・ワン監督が、ブライアン・ガーフィールドの小説を映画化。ごく平凡な家庭人だった男が、やがて復讐の鬼と化していく。当初は怒りを行動に移すことすらおぼつかなかったニックが、髪を刈りこみ、多数の銃器を手に戦闘開始。
そこから見えてくるのは、1人の男の覚悟だ。復讐の連鎖からは何も生まれないが、それでも覚悟を決めなくてはならないときが人にはある。その非情な現実を、過激な描写と共に教えてくれる1作。
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『ブレイブ ワン』
製作年/2007年 監督/ニール・ジョーダン 出演/ジョディ・フォスター、テレンス・ハワード、ナヴィーン・アンドリューズ
ジョディ・フォスターが復讐人となる!
ニューヨークで暮らすラジオDJのエリカ(ジョディ・フォスター)は、ある晩、フィアンセとともにセントラルパークを散歩中に暴漢に襲われ、フィアンセは命を落とし、自身もまた瀕死の重傷を負う。退院してもなお、悲しみと恐怖の縁で苦悩する彼女。しかし、護身用の一丁の銃を手にしたことで新たな自分が目覚めるのを感じる。そして放たれる銃弾。いつしか彼女は事件に遭遇するたびに犯人を射殺する復讐者としての日々を歩みはじめるが……。
もともと『狼よさらば』(1974年)などに代表される典型的な”復讐ノワール”として書かれた脚本にアイルランド生まれの名匠ニール・ジョーダンが独自の味付けを施し、これまでない異色サスペンスとなった本作。かつて無骨な俳優が演じてきたタイプの役をジョディ・フォスターが担う意味は大きく、その繊細かつ奥深い表現力が、主人公の辿るザラついた心理過程をありありと浮かび上がらせている。はたして主人公はこのまま”新たな自分”に呑まれていくのだろうか。賛否の割れるラストをあなたはどう見る?
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『グラン・トリノ』
製作年/2008年 監督/クリント・イーストウッド、出演/クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン
移民一家を救うために銃を取る!
生きる伝説、クリント・イーストウッドが78歳で手掛け、観る者を豊かな感動で包み込んだヒューマンドラマである。妻を亡くしたばかりのコワルスキーはいつも苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、口を開くと悪態ばかり。当然、息子や孫からも嫌われ、彼はいつも一人ぼっちだ。唯一の誇りは、倉庫に眠る1972年製の名車グラントリノだけ。そんな矢先、最初は毛嫌いしていた隣人のアジア系移民家族との交流がはじまり、唯一無二の絆が育まれていき……。
イーストウッド映画らしい「孤高のタフガイが守るべき他者のため命を賭けて闘う」という文脈を踏襲しながら、老い、戦争の記憶、過去の贖罪、信仰、尊厳、移民国家アメリカといった多様なテーマが融合し、驚くべきしなやかさと無駄のなさで照射された傑作。家族以上に親しみを寄せる移民一家がギャングの脅威にさらされる時、老人は彼らのために銃を取る。しかし暴力は暴力しか生まないと悟りーーーそこで下す思いがけない決断が感動的だ。彼が生涯に渡って続けるアウトサイダー・ヒーローとしての究極の形がそこには刻まれている。
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『イングロリアス・バスターズ』
製作年/2009年 製作・監督・脚本/クエンティン・タランティーノ 出演/ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ
映画館を舞台にした復讐物語!
舞台は1940年代、ナチス占領下のフランス。ナチスに家族を惨殺され、その魔の手から逃げた少女ショシャナは名を偽り、映画館の経営者となっていた。ドイツ軍は彼女の映画館で、プロパガンダ映画のプレミア上映を決定。そこには親の仇であるランダ大佐らナチスの高官が集まるという。ショシャナはこの機を利用して復讐を決意。一方で、ユダヤ人からなる、ならず者部隊も、ナチスをせん滅するために上映に潜入する作戦を実行に移す……。
鬼才クエンティン・タランティーノが構想に10年以上を費やした戦争アクション。第二次世界大戦を題材にとり、史実を大胆に脚色しながら、ナチスと戦う人々の群像を描く。ショシャナが“映画館”という建物を武器にしてナチスへの復讐に挑む、そんな展開にタランティーノの映画愛がにじみ出て、興味深い。アカデミー賞では8部門にノミネートされ、ランダ大佐役のクリストフ・ヴァルツが助演男優賞を受賞。
![“やられたらやり返す”にはどうしたらいい!?
参考になる? リベンジ映画5選!](https://media.safarilounge.jp/online/thegear/content/theme/media/5929.4.jpg)
『トゥルー・グリット』
製作年/2010年 監督・脚本/ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン 出演/ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン
助けを借りて復讐するのもひとつの手段!
ある男に父親を殺され、復讐を決意した14歳の少女マティ。父の形見の銃を手にしたマティは逃亡した復讐相手を追うため、連邦保安官のコグバーン(ジェフ・ブリッジス)を雇うことに。そこにテキサスレンジャーのラビーフ(マット・デイモン)も加わり、3人の旅が始まるが……。
映画ファンに大人気のコーエン兄弟が監督を務め、アカデミー賞で10部門にノミネートされた西部劇。今や大人の女性になったヘイリー・スタインフェルドが、映画初出演にして主人公のマティを熱演。2人の実力派スターが物語上でも、撮影でも彼女を支える。
とはいえ、マティが復讐の相棒に望んだ保安官コグバーンは、クセ者の大酒飲み。そんな彼とラビーフがどう活躍するかは見てのお楽しみだが、1人では力が及ばないのであれば、誰かの助けを借りるのも復讐には必要かもしれない。
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『悪魔を見た』
製作年/2010年 監督/キム・ウジン 脚本/パク・フンジョン 出演/イ・ビョンホン、チェ・ミンシク、オ・サナ
悪魔はいったいどっちのこと!?
妊娠中の女性が、中年のサイコパス、ギョンチョルに惨殺された。女性の婚約者だった国家情報院捜査官のスヒョンは激しい怒りを胸に抱き復讐を開始。捕まえたギョンチョルを痛めつけたスヒョンは彼を警察に引き渡さず、GPS装置入りのカプセルを飲ませて解放した。地獄の責め苦を体験させるために……。しかしGPSの存在を知ったギョンチョルは下剤でそれを排出し、スヒョンに逆襲すべく凶悪犯罪を積み重ねていく。
イ・ビョンホンとチェ・ミンシクという韓国映画界の大物スターが競演する衝撃作。後者がふんする良心の欠片もない犯罪者も強烈だが、後者が演じた復讐の鬼も凄まじい。敵の腕を折り、アキレス腱を切り、決して殺さず徹底的に苦痛をあたえ続けるのだから恐ろしい。血糊の量も圧倒的で、ショッキング。タイトルの“悪魔”とは、どっちのこと!? そんなことを考えながら観るもの一興。
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『コロンビアーナ』
製作年/2011年 監督/オリヴィエ・メガトン 出演/ゾーイ・サルダナ、マイケル・ヴァルタン、クリフ・カーティス
ゾーイ・サルダナのしなやかなアクションに魅了される!
幕開けは'92年のコロンビア。マフィアの汚れ仕事を担ってきた男が組織から抜けたいとボスに申し出て、それを理由に家族もろとも容赦ない襲撃を受ける。ただ一人、娘のカトレアだけは体操選手並みの身体能力を駆使してその場を脱出し、父から託されたデータチップを交換条件に米大使館の保護を受け、親類の住むシカゴへ。数年後、成長した彼女は謎めいた凄腕の暗殺者となっていた……。
もともとリュック・ベッソンによって『レオン』の続編(マチルダのその後の物語)として脚本開発されながら、権利上の問題などもあり、まったく別の企画へ進化を遂げた一作だとか。そのため映画ファンにとって既視感のある序盤なのはご愛嬌だが、そこからは主演ゾーイ・サルダナ(今年のアカデミー賞では『エミリア・ペレス』で助演女優賞ノミネート)の個性と身体的躍動が存分に発動した、全く新たな復讐譚が花開いている。特に終盤で諸悪の根源たるマフィア組織をたった一人でぶっ潰しにかかる様は、ただただ爽快、圧巻の一言に尽きる。
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『モンスター上司』
製作年/2011年 原案・脚本/マイケル・マーコウィッツ 製作/ブレット・ラトナー 監督/セス・ゴードン 出演/ジェイソン・ベイトマン、チャーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス、ジェニファー・アニストン、コリン・ファレル、ケヴィン・スペイシー、ジェイミー・フォックス
上司にカチンときた経験がある人なら共感必至!
何かと“ハラスメント”が話題になる、ここ数年。その意味で映画でも改めて注目されるのが、会社での上司と部下の関係だ。中でも部下の目線から見た上司へのうっぷんなら、ネタの宝庫なので映画の題材にうってつけ! 本作はタイトルから一目瞭然。ハラスメントの権化と呼ぶべき上司が登場する。しかも3人も……。バーで飲んでいた親友3人が、元詐欺師に背中を押され、それぞれの職場の上司への復讐計画を立てる。
ストーリーは不穏でシビアだが、ジャンルとしてはコメディ。親友3人のノリは『ハングオーバー!』のようだし、それぞれのモンスター上司も超強烈キャラで、しかも配役が絶妙。ケヴィン・スペイシーは徹底的にイヤな奴で、ジェニファー・アニストンはセクハラ攻撃。そしてコリン・ファレルは、ちょっとおバカな上司。目を疑うハラスメントも盛り込みながら、上司たちを事故に偽装して殺す計画が進み、予想不能の展開。基本は笑いながらも、上司にカチンときた経験がある人なら共感必至の一本。
![闘い続ける男に誰もが胸アツ!シルヴェスター・スタローン映画5選!](https://media.safarilounge.jp/online/thegear/content/theme/media/5224.5.jpg)
『バレット』
製作年/2012年 監督/ウォルター・ヒル 共演/サン・カン、サラ・シャヒ、クリスチャン・スレーター
ベテランらしい抑えた演技が光る!
監督は『ストリート・オブ・ファイヤー』などのウォルター・ヒルで、スタローンとはこれが初の作品ながら、長年、親しい関係だったという2人。そうした信頼感から、監督はスタローンに“抑えた演技”も提案したという。そうした演出によって、スタローンの多くの主演作の中でも独特のムードが生まれたのが、この『バレット』だ。
スタローンが演じるジミーは、スゴ腕の殺し屋である元海兵隊員。少しだけランボーも連想させるが、裏社会に生きる男だ。そんな彼が、相棒を殺されたことで復讐の鬼と化す。敵に近づくため、ジミーが手を組むのは刑事のテイラー。殺し屋と刑事。普通なら協力することのない彼らがコンビとなるわけで、正義と悪の混沌とした世界へと進んでいく。
スタローンも邪悪さとヒーローの両面を好演。すでに60代半ばになっていたので、たしかに全盛期のような肉体のキレはない。しかし、わずかな動きと銃撃という“テクニック”で魅せる。いぶし銀の活躍を観てほしい1作だ。
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『ジョン・ウィック』
製作年/2014年 監督/チャド・スタエルスキ 共演/ミカエル・ニクヴィスト、アルフィー・アレン
寡黙で孤独というキアヌらしさに魅了される!
裏社会で生きる凄腕の殺し屋だった男ジョン・ウィック。愛する女性と結婚し、平穏で幸福な日々を送っていたが、やがて妻は病死。さらに亡き妻が残した愛犬をかつての裏組織に殺されたことで憤怒、壮絶な復讐を遂げていくハードボイルドな作品。
本作では、柔術(カンフー)とガンアクションを融合した“ガンフー”を披露。敵をバッタバッタと倒していく様は痛快。『マトリックス』では流れるような華麗なアクションで魅了したが、こちらは至近距離での壮絶な格闘&銃撃戦が満喫できる!
また本作で演じるキャラは、寡黙で孤独な男。そういう面では、“サッドキアヌ”らしさも楽しめる1本といえるだろう。ちなみに製作総指揮も兼任している。
![難役にも果敢に挑む美しき演技派!シャーリーズ・セロン映画5選!](https://media.safarilounge.jp/online/thegear/content/theme/media/5274.5.jpg)
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
製作年/2015年 製作・監督・脚本/ジョージ・ミラー 共演/トム・ハーディ、ニコラス・ホルト
強くて美しいシャーリーズ最大のハマり役!
『マッドマックス サンダードーム』以来、30年ぶりとなるシリーズ第4作。妻子を殺された男マックス(トム・ハーディ)が、資源が枯渇し、法も秩序も崩壊した世界で壮絶な復讐劇を繰り広げる。シャーリーズが演じるのは、荒野をさまようマックスと出会い、やがて共闘していくことになる女戦士フュリオサ。
髪を短く刈り込んだクールな外見に片腕の欠損を感じさせない戦闘能力など、精神的にも肉体的にも強く美しい現シャーリーズ・セロン最大のハマリ役で、彼女にしか演じられない役どころ。邪悪な支配者の打倒を誓うマックスとのカップリングも相性よく、強く美しいシャーリーズを堪能するなら何はなくともコレから。続編はもちろん、フュリオサを主人公にしたスピンオフも熱望されている。
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『リベンジ・リスト』
製作年/2016年 監督/チャック・ラッセル 脚本/ポール・スローン 出演/ジョン・トラボルタ、クリストファー・メローニ、アマンダ・シュル、サム・トラメル
失業中の中年オジは元特殊工作員!
自動車整備工のスタンリーは失業中だったが、職が見つかり愛する妻の元に戻ってくる。ところが、彼の目の前で妻は三人組の強盗に殺されてしまった。怒りに燃えるスタンリーは復讐を決意。元特殊工作員である彼は次々と敵を始末する。ところが、妻が殺された背景には、政治レベルの陰謀が。復讐が終わっていないことを悟った彼は、黒幕である巨大な権力に立ち向かっていく。
『ジョン・ウィック』にも似たリベンジ活劇。主人公は職にあぶれたホワイトトラッシュと思いきや、じつは戦闘術に長けた元エージェント。復讐を決意するや、彼は自宅に保管していた武器を手に取り、情け容赦ないバトルに身を投じ、ついには州知事とも対決することになる。突飛な設定ではあるが、権力による隠ぺい工作は現代的な問題としてとらえることもでき、社会性をしっかり備えている。スタンリーにふんしたジョン・トラボルタの熱演もアツい!
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『ロキシー 美しき復讐者』
製作年/2016年 監督/ゲイリー・マイケル・シュルツ 出演/エミール・ハーシュ、ゾーイ・クラヴィッツ、エモリー・コーエン
ラスト15分、壮絶な火花と鮮血が降り注ぐ!
出逢いは唐突だった。さびれた町の交差点で車から引きずり下ろされ、ギャングの男から暴力を振るわれていたロキシー(ゾーイ・クラヴィッツ)。偶然その光景を目にし、反射的に彼女を助けようとしたヴィンセント(エミールハーシュ)。事情と葛藤を抱えた二人はこれを機に打ち解けあい、やがてヴィンセントの実家の農場で暮らしはじめるのだが……。
アメリカ 南東部の何もない町を舞台に、孤独な男女が身を寄せ、小さくとも互いに信頼しあえる居場所を築き上げていく物語。かと思えば、本作には常に不穏な空気が立ち込め、互いの秘密が明らかになるに連れ、運命は少しずつ取り返しがつかない方向へと突き進んでいく。そして肝心のラスト15分、事態は急転し、守るべき幸せを全てもぎとられたロキシーの復讐劇が火を吹くのだが、殺し屋などではないごく普通の少女が挑む生身の戦いだからこそ、一心不乱の表情には鬼気迫るものがみなぎる。空気感を大切にした作品ゆえ好き嫌いは分かれるだろうが、静寂と火花の強烈な落差と揺り戻しを味わってほしい一作。
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『REVENGE リベンジ』
製作年/2017年 監督/コラリー・ファルジャ 出演/マチルダ・ルッツ、ケヴィン・ヤンセンス、ヴァンサン・コロンブ
大注目『サブスタンス』の女性監督が放つ壮絶なる長編デビュー作!
トロント映画祭を皮切りに目利きの観客たちの度肝を抜いたフランス製の超絶アクションスリラーである。舞台は見知らぬ砂漠地帯。そこに建つ優雅な別荘で不倫関係を楽しむジェニファーとリチャードだったが、不意に訪ねてきた狩猟仲間の男たちはジェニファーを欲望剥き出しの目線で見つめ、隙を見て彼女に襲いかかる。その経緯を恋人リチャードに打ち明けるも、解決どころか口論へ発展した末、ジェニファーは口封じのために無残に谷底へと突き落とされ……。
しかしここからが本領発揮だ。序盤、吐き気がするほどの男目線が貫かれた本作は、絶体絶命の谷底で完全にヒロイン目線へとシフトし、奇跡的に死を免れた彼女はカラダを貫いた木の枝を抜き取り、強靭な生命力とドラッグの作用で痛みに耐え、狩猟仲間の武器を奪って、元凶である男たちを一人、また一人と仕留めていく。その容赦なさ。吹き出る血のハンパなさ。逆襲や復讐でありながら、むしろジェニファーの生存本能が大いに覚醒していく様を目撃しているかのようで、言いようのない衝撃と興奮がこみ上げる。ちなみに本作で長編デビューを飾った女性監督ファルジャは、目下、最新作『サブスタンス』が賞レースを大席巻中。
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『女は二度決断する』
製作年/2017年 監督・脚本/ファティ・アキン 出演/ダイアン・クルーガー、デニス・モシット
想像すらできない突然の結末にビックリ!
“衝撃の結末”というのは、映画ではある程度、常識。観る者を驚かせることも映画の目的だからだ。けれども、その結末も、だいたいは「こうなったらスゴい」と予想できたりするし、願望どおりだったりする。でもそんな予想や願望を打ち砕くのが、この映画。
ドイツで平穏な暮らしを送っていたカティヤだが、トルコ系移民の夫と6歳の息子が爆発事件の犠牲になって命を落としてしまう。カティヤは絶望して自殺を図ろうとするも、ネオナチの夫婦が事件の容疑者であることが発覚。やがて彼女の心は、復讐に傾いていくという、背筋が凍るサスペンスだ。
ヨーロッパでの移民排斥というリアルな社会問題を背景に、人間の絶望や怒り、復讐の心理に引き込んでいく骨太な作り。カンヌ国際映画祭で主演女優賞に輝いた、カティヤ役、ダイアン・クルーガーの迫真の表情に最後まで圧倒される。
![“やられたらやり返す”にはどうしたらいい!?
参考になる? リベンジ映画5選!](https://media.safarilounge.jp/online/thegear/content/theme/media/5929.5.jpg)
『ライリー・ノース 復讐の女神』
製作年/2018年 監督/ピエール・モレル 出演/ジェニファー・ガーナー、ジョン・オーティス、ジョン・ギャラガー・Jr.
復讐には辛抱強さも必要!
平凡ながらも幸せに暮らす主婦ライリー・ノース。ある日、街で麻薬組織の襲撃に遭って夫と娘の命を奪われたライリーは、深い悲しみのどん底に。しかも、容疑者たちが無罪放免となったことで、彼女は絶望と共に姿を消す。それから5年、復讐のために舞い戻ってきたライリーは、警察やメディアを巻き込んだ一大決戦を仕掛けることに……。
『96時間』のピエール・モレルが監督を務め、『エイリアス』のジェニファー・ガーナーが主人公を熱演。ささやかな幸せを奪われた人間が復讐の鬼と化すという点では、女性版『狼の死刑宣告』ともいえるところ。
人知れず過酷なトレーニングを積み、強靭な肉体と精神で目的を果たしていくライリーの決意にスカッとさせられる。復讐達成に向けて計画的にじわじわと動く辛抱強さと、走り出したら誰も止められない大胆さのバランスも参考になる!?
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『ストレイ・ドッグ』
製作年/2018年 製作・脚本/フィル・ヘイ 監督/カリン・クサマ 出演/ニコール・キッドマン、トビー・ケベル、タチアナ・マズラニー
ニコール・キッドマンが凄みのある演技を披露!
17年前の潜入捜査の失敗で心に深い傷を負ってFBIを辞職したエリン。LA市警の刑事に転身した彼女だったが、酒におぼれ、愛娘にも避けられていた。そんなある日、殺人事件が起こり、17年前に取り逃がした強盗一味のリーダー、サイラスが再び動き回っていることを知った彼女は、その行方を追って必死に駆け回る。エリンには、何が何でもサイラスを倒さなければならない理由があった……。
“ストレイ・ドッグ”とは“野良犬”のことだが、そんなタイトルにヒロインの境遇を重ね合わせたハードボイルド・サスペンス。人生の意味を見失い、ボロボロになりながら、過去にケリをつけようとするヒロイン。現在の捜査と、17年前の事件の顛末を平行して描いたミステリアスな構成は、観る者の興味を引くに十分だ。一方で目をう奪われるのは、主演を務めたニコール・キッドマンの熱演。シワの深いメイクで、生きることに疲れ果てた女性像を作り出し、凄みを見せつける!
![雪が降ったらご注意を!?
冬のサスペンス映画5選!](https://media.safarilounge.jp/online/thegear/content/theme/media/2019/6494.3110.1.jpg)
『スノー・ロワイヤル』
製作年/2019年 監督/ハンス・ペテル・モランド 出演/リーアム・ニーソン、ローラ・ダーン
除雪作業員を怒らせちゃダメ! 絶対!
ロッキー山脈に近い田舎町に住む除雪作業員ネルズは、模範市民賞を受賞するほど、真面目に静かに暮らしている。そんな彼の穏やかな生活は、息子が麻薬組織に殺されたことによって一変。復讐心に憑かれたネルズは武装し、組織の人間を次々と血祭に上げていく。しかし、麻薬組織側は、これを敵対組織の仕業と勘違いしたことから、雪深い田舎町は激しく揺れ動く。
ノルウェー製のサスペンス・クライム『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』を、同作の監督ハンス・ペテル・モランドがハリウッドでリメイク。ひとりの男の復讐が、図らずも犯罪組織抗争を引き起こし、警察をも巻き込んで大騒動に発展するのだから物々しい。『96時間』などで怒れる父親にふんしたリーアム・ニーソンが、ここでも激情的に復讐に挑むパパ役を熱演。犯罪小説を参考にして証拠を隠し、除雪車で敵を蹴散らす豪快な暴れっぷりに注目!
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『プロミシング・ヤング・ウーマン』
製作年/2020年 製作/マーゴット・ロビー 製作・監督・脚本/エメラルド・フェネル 出演/キャリー・マリガン、ボー・バーナム、アリソン・ブリー
世の病巣をあぶり出す傑作!
主人公キャシーは医大で優秀な成績を収めていたものの、ある事件が原因となって中退し、カフェで店員をしている。ある事件とは、彼女の親友で、主席の成績を収めていた同級生がパーティのさなかで酔ったあげく、男子学生にレイプされたこと。カフェにやってきた当時の男子学生と偶然、再会したキャシーは彼との恋愛関係を育む一方で、レイプの主犯者の情報を集め、傷ついて世を去った親友の復讐に乗り出していく……。
ひとりの女性の復讐が、男性優位社会への抵抗へとつながっていく社会派リベンジムービー。成績優秀な女性に対する男性のやっかみや、それを解消するためのレイプ、それを隠ぺいするための権力、結局は女性にバカでいてほしい男権……といった社会構造に切り込み、世の病巣をジワジワとあぶり出す。現実を鋭く見据えたまなざしや、それを娯楽映画の枠に落とし込んだつくりが評価され、米アカデミー賞で5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞。
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