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CULTURE カルチャー

2024.06.30

『あぶない刑事』『バッドボーイズ』『デッドプール&ウルヴァリン』
なぜバディムービーは人々の共感を呼ぶのか?③


『バッドボーイズ RIDE OR DIE』(2024年)

2024年6月公開の『バッドボーイズ RIDE OR DIE』は、1995年にはじまったシリーズの第4作。2作目『バッドボーイズ2バッド』が2003年、3作目『バッドボーイズ フォー・ライフ』が2020年ということで、かなり長いインターバルを空けながら、主人公2人、マイアミ市警のマーカスとマイクのコンビは、30年近く観客に愛されてきたことになる。バディムービーとしての金字塔だ。

この最新作では、プレイボーイとして鳴らしていたマイクがようやく結婚。相棒の彼を祝福するマーカスが生死の境をさまよう危機に陥るなど、シリーズ中でも2人の絆が試される度合いは最高レベル。もちろんド派手アクションや、軽妙なノリはキープしながらも、30年近くかけて築かれた友情に、映画ファンは胸が熱くなるはずだ。

そして『バッドボーイズ RIDE OR DIE』が改めて教えてくれるのは、バディムービーとスター俳優の関係だ。シリーズ第1作で、マーカス役のマーティン・ローレンスが相手役としてウィル・スミスに声をかけたことは有名な話。当時のウィルは『私に近い6人の他人』(1993年)といった人間ドラマで実力を発揮しはじめていたが、1995年の『バッドボーイズ』がアクションスターとしての大ブレイクのきっかけになった。つまりマーティンは大恩人。2人のプライベートの友情関係も30年以上続いているので、映画が描くドラマを超えて、観ているこちらに伝わってくるものがある。そこもバディムービーの大きな魅力だ。2年前の2022年、ウィル・スミスはアカデミー賞授賞式の平手打ち事件で、一時キャリアが危うくなった。『バッドボーイズ RIDE OR DIE』は彼の本格的な復活作とも言え、それをサポートしたのが親友マーティン・ローレンス。そんな現実が、フィクションの映画と重なるとき、ちょっとした奇跡も起こるのだろう。
 

  

 

『明日に向って撃て!』(1968年)

ウィル・スミスとマーティン・ローレンスのように、バディムービーをキャリアで重要視するスターは多い。ハリウッドの歴史でも、ビング・クロスビーとボブ・ホープ、ディーン・マーティンとジェリー・ルイス、ウォルター・マッソーとジャック・レモン……など何組もの名前が挙がってくる。『明日に向って撃て!』のロバート・レッドフォードとポール・ニューマンあたりは、最強のバディコンビだろう。レッドフォードは『大統領の陰謀』、ニューマンはオスカー受賞の『ハスラー2』(1986年)など他のスターと組んだ、バディムービー色濃厚な作品がいくつもある。その他にもエディ・マーフィーやダスティン・ホフマンなどバディムービーが代表作となったスターは多い。ウィル・スミスも『バッドボーイズ』以外で、もうひとつの人気シリーズと『メン・イン・ブラック』も、明らかにバディムービーだ。超名優ということで、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノのコンビも『ヒート』(1995年)、『ボーダー』(2008年)、『アイリッシュマン』(2019年)など同等で組んだ作品がよく似合う。
 

  

 

『デッドプール&ウルヴァリン』(7/24公開)

一方で“単独”で主演するケースが目立つトップスターもいる。トム・クルーズやジョニー・デップ、キアヌ・リーヴス、ヒュー・ジャックマン、トム・ハンクスあたりで、キャリアを振り返るとバディムービーに積極的か、消極的かがわかったりもする。ただトム・クルーズなら『ハスラー2』や『レインマン』、キアヌなら『ビルとテッドの大冒険』(1989年)や、『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)、『ハートブルー』のように、キャリアの初期はバディムービー的な出演作が多かったりもする。ベテランになるとやはり単独主演を好むのか。しかしヒュー・ジャックマンの新作『デッドプール&ウルヴァリン』(7/24公開)はバディ要素の香りがプンプンしていたりするし、トップスターの“余裕”がバディムービーへの意欲も高めているようでもある。
 

  

 

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)

そして現在のトップスターで、バディムービーが最も似合うのは、ブラッド・ピットかもしれない。アカデミー賞助演男優賞に輝いた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)は、彼が演じたスタントマンとレオナルド・ディカプリオの俳優の完全なるバディムービーでもあった。ブラピのキャリアをたどると、女性同士のバディムービー『テルマ&ルイーズ』でブレイクした後、『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年)、『ファイト・クラブ』(1999年)、『スパイ・ゲーム』(2001年)などバディ色が強い作品を多く見つけられる。『オーシャンズ11』(2001年)にはじまったヒットシリーズは精鋭チームによる犯罪劇だが、バディムービーのムードも濃厚だった。ブラピとジョージ・クルーニーの関係がそうさせたのだが、彼ら2人の最新共演作『ウルフズ』(9/20公開)も一匹狼のフィクサー同士が手を組むバディムービー。やはりブラピは、このタイプの作品が好きなようだ。

また監督でバディムービーを得意とする人ではマーティン・スコセッシなど巨匠も多いなか、現役でのトップはガイ・リッチーか。『シャーロック・ホームズ』や『コードネームU.N.C.L.E.』(2015年)、『コヴェナント/約束の救出』(2024年)など、バディものが一つの作家性を形成している。このようにスターと監督の両方でバディムービーは進化を続け、これからも傑作が放たれていくだろう。

なぜバディムービーは人々の共感を呼ぶのか?①を読む

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文=斉藤博昭  text:Hiroaki Saito
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