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CULTURE カルチャー

2024.06.30

『あぶない刑事』『バッドボーイズ』『デッドプール&ウルヴァリン』
なぜバディムービーは人々の共感を呼ぶのか?①


『バッドボーイズ RIDE OR DIE』(2024年)

アクションやコメディ、ファンタジー、SF、ラヴストーリー……など、映画には大枠としてのジャンルが存在するが、それ以外にも別枠として“特徴”、“魅力”を伝えるカテゴリー名がある。サブジャンルと言ってもいい。そのひとつがバディムービーと呼ばれる作品群。バディ=仲間という意味が表すように、同性同士(おもに男性同士)のコンビが、冒険を繰り広げたり、犯罪に立ち向かったり、一緒に旅をしたりする。多くの場合、その2人のキャラクターは対照的で、だからこそおたがいに足りない部分を補って、助け合い、時には対立しながら、ひとつの目的を達成していくプロセスは、まさに映画の題材にぴったり! 時代を超えて愛されているのが、バディムービーである。

2024年も、たとえば日本映画では『帰ってきた あぶない刑事』、ハリウッド大作としては『バッドボーイズ RIDE OR DIE』がヒット。ともに2人の主人公による、典型的なバディムービーだ。ちょっと解釈を広げれば、『ゴジラ×コング 新たなる希望』もモンスター同士のバディムービーと受け止められる。
 

  

 

『真夜中のカーボーイ』(1969年)

映画の歴史を遡れば、バディムービーは古くから観客に親しまれていた。1930〜40年代のハリウッドでは、ローレル&ハーディ、アボット&コステロという名コンビのコメディ映画が多数作られ、このあたりがバディムービーの原型とされる。やがて1960年代に入り、映画史に残るバディムービーが次々と生まれた。ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドという2人のアウトローの逃亡劇を描いた『明日に向って撃て!』(1968年)、同作の主演、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが再び共演した詐欺師コンビ(正確には、もう1人を加えたトリオ)の『スティング』(1973年)、バイクで放浪の旅に出る2人の『イージー・ライダー』(1969年)、NYという大都会での男たちの濃密な友情を描いた『真夜中のカーボーイ』(1969年)、ウォーターゲート事件の闇を2人のジャーナリストが追う『大統領の陰謀』(1976年)など、名作ぞろい。しかもジャンルも多様化し、この時期に現在まで続くバディムービーの面白さ、魅力が定着したと言える。
 

  

 

『ラッシュアワー』(1998年)

そして1980年代に入ると、ハリウッドはアクションエンタメ作品としてメジャーな人気をつかむバディムービーを誕生させていく。しかもそれまで白人同士がメインだったバディの組み合わせも大きく変化。多様化も見せはじめる。

その代表作が、『48時間』(1982年)、『大逆転』(1983年)、『リーサル・ウェポン』(1987年)など。どれもが白人と黒人のバディもの。エディ・マーフィのようにバディムービーを自分の持ち味にするスターも活躍した。90年代に入るとジャッキー・チェン&クリス・タッカーの『ラッシュアワー』(1998年)のように“非白人コンビ”のバディムービーも誕生。これらの作品は、主人公が警官で犯罪に立ち向かうパターンが多かった。この時期に1作目が公開された『バッドボーイズ』(1995年)も警察官コンビ。黒人同士のバディムービーで人気を獲得した。このようにバディムービーには、アフリカ系やアジア系の俳優にトップスターの道を切り開く役割も果たしてきた。
 

  

 

『フェイス/オフ』(1997年)

『リーサル・ウェポン』、『ラッシュアワー』、『バッドボーイズ』といった作品は、シリーズ化され、警官、捜査官の凸凹コンビはバディムービーの主流となる。一方で、同じアクション映画でも、意外な方向からのバディムービーを見つけられるようになる。それは立場が異なる者同士の複雑な絆だ。『48時間』が典型例なように、本来なら敵対する者の協力関係が、映画を面白くする。『ハートブルー』(1991年)は、キアヌ・リーブスのFBI 捜査官と、パトリック・スウェイジの強盗団リーダーの関係がバディものの香りを漂わせた。『フェイス/オフ』(1997年)は、テロリストとFBI捜査官という完全に対立する関係が、顔を“取り替えた”ことで一心同体のような構図になる。香港映画の『インファナル・アフェア』(2002年)も、警官とマフィアが、それぞれ敵側に潜入して台頭するドラマで、主人公2人は屈折しまくったバディ関係となる。同作はハリウッドで『ディパーテッド』(2006年)としてリメイクされ、アカデミー賞作品賞に輝いた。

極め付けは『ワイルド・スピード』(2001年)。LA市警のブライアンと、犯罪歴もあるドミニクの関係は、シリーズで回を重ねながら究極のバディへと変わっていった。最初は“同志”ではない2人だからこそ、結ばれた絆は深く、熱い。ブライアン役のポール・ウォーカーがシリーズ途中で急死するも、その後もバディムービーとしてのカラーは濃厚のまま現在に至っている。

このようにバディムービーの歴史を振り返ると、アクション系、犯罪モノには欠かせないサブジャンルだというのがよくわかる。そして人気を得た作品からわかるのは、バディ関係を結ぶ主人公2人のキャラがきっちりと色分けされていること。だからこそおたがいを補い合ってドラマにカタルシスを与えているのだ。
なぜバディムービーは人々の共感を呼ぶのか?②に続く

 
文=斉藤博昭  text:Hiroaki Saito
Photo by AFLO
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