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2024.05.26

『マッドマックス : フュリオサ』に主演
アニャ・テイラー=ジョイ 「フュリオサは、なりたい自分になれると信じた」


【Profile】アニャ・テイラー=ジョイ/1996年4月16日生まれ、フロリダ州出身。『スプリット』(2017年)で注目を浴び、ドラマシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』(2020年)でブレイク。

1979年に公開された『マッドマックス』は、アクション映画の“伝説”となり、1985年にかけてシリーズ3作が製作される。そこから30年の時を経て、同じジョージ・ミラー監督により、2015年に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が誕生。前シリーズ以上に世界を熱狂の渦に巻き込み、アカデミー賞で6部門受賞という快挙を成し遂げる。同作の主人公は前シリーズと同じく元特殊警察隊員のマックスだったが、彼と同じくらい人気を集めたのが、シャーリーズ・セロン演じる女性大隊長のフュリオサだった。スキンヘッドに近い短髪に、顔には黒いグリースを塗ったその外見も超インパクトの彼女は、いったいどんな人物なのか? ジョージ・ミラー監督もそこを突き詰めようと、新作に取り掛かった。それが『マッドマックス : フュリオサ』である。

少女時代に捕われの身となり、崩壊した世界のカオスに巻き込まれながら、故郷を探して過酷な運命に向き合う……。そんなフュリオサ役を新たに任されたのは、アニャ・テイラー=ジョイ。イギリス生まれの28歳。ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』や映画『ザ・メニュー』、『デューン 砂の惑星 PART2』などにより、ハリウッドの若手スターでトップの地位に上り詰めたアニャにとっても、このフュリオサ役は、間違いなくキャリアの代表作になることだろう。オーストラリア、シドニーでのプレミアに合わせたインタビューで、その胸の内を聞いた。

最初に『マッドマックス : フュリオサ』の脚本を読んだ時、アニャは「この役を理解できるし、自分の役だと感じた。すばらしい経験になる」という心境だったという。その真意を聞くと、次のような答えが返ってきた。
 

  

 


「フュリオサの物語は悲劇的ですが、彼女自身のキャラクターは“悲劇のヒロイン”ではありません。彼女は打ちのめされ続けながら、わずかな希望の光を見出し、そこにしがみつく。自分にとって正しいことをするんだという、鋼(はがね)の意思に私は共感したわけです。でもこの感覚って、多くの女性に共通するのではないでしょうか。やりたい方向に突き進もうとしても、世の中を牛耳る男たちによって阻まれてしまう。そんな経験をした女性は多いはず。フュリオサは、なりたい自分になれると信じたわけで、そこに私はリスペクトとシンパシーを感じました」

前作でのシャーリーズ・セロンにもクールな見せ場があったが、今回はそのフュリオサが主役。もちろん激しいアクション場面がいくつも用意される。とくに中盤、ウォーリグ(『マッドマックス』の世界で水やガソリンを運ぶタンクローリー)とバイク、飛行機にパラシュートまで入り乱れる15分にもおよぶシークエンスでは、アニャが肉体の限界も試されるスタントに挑んだ。いったいどんな思いで、あれだけの動きをこなしたのだろうか。

「あのシーンはフュリオサの感情、作品のテーマを体現しています。“緑の地”から連れ去られ、行方不明になっている間に、彼女は生き残るために多くのことを学び、技術を身につけました。それを最大限に発揮したのが、あのシーンなのですから。撮影隊は3週間前から現場に入り、準備を進めていました。私が到着した時は万全の状態で、200人以上のスタントマンも待っていたのです。ちょっと信じられない光景ですよね(笑)? シークエンスの最初から順番どおりに撮ったのですが、まずバイクでウォーリグの下部に入り、そこからリグのサイドにしがみついて、前方へ進んでいきます。うまくいった瞬間は心底ホッとしました。最も辛かったのは車体の下にぶら下がった状態でいる時。狭いスペースで身体の位置を一定に保つ必要があり、自分の頭はなんて重いんだと実感しました」

俳優業が多忙のため、まだ運転免許は取得していないというアニャ・テイラー=ジョイ。しかし『マッドマックス』の世界の一員となり、さまざまなビークル(乗り物)に夢中になったことも明かす。

「登場するビークルは、それぞれ個性の違う子供のようです。その特性に自分をフィットさせるわけですが、ウォーリグの運転席に乗った時、自分が『怒りのデス・ロード』の壮大な世界と一体化した気がしました。『これが私のビークルか!』と、ちょっとマニアックな気分でテンションが上がったのを覚えています。ただ苦手だったビークルもあります。それはダートバイク(オフロードバイク)。サスペンションがちょっと高くて足が地面に着かないんですよ。ハーレーだったら良かったのに……なんて思いましたが(笑)、ダートバイクはあまり種類が豊富じゃないから仕方ないですね」
 

  

 


本作でフュリオサの宿敵となるのは、暴君のディメンタス将軍。彼は、『怒りのデス・ロード』で要塞を支配していたイモータン・ジョーと覇権争いもしている。ディメンタス役は『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワース。共演の印象を聞いてみた。

「じつは以前、別の作品の衣装デザイナーと話した時、ヘムズワース兄弟(兄のルークと弟のリアムも俳優)が周囲に対していつも優しく、尊敬できる人たちだと聞かされていました。実際にクリスに初めて会って、その言葉を確信したのです。クリスにはエゴがないんですよ。作品のために正しいことをやる彼の姿勢は、一緒にいる私もポジティヴにしてくれます。今回のクリスとの共演はすばらしい経験になりましたね」

ジョージ・ミラー監督との仕事は、これまでの経験とどのように違っていたのか。ミラーの現場は、撮影に入る1カ月前くらいから監督との話し合いなど作品への関与があったことをアニャは明かしていた。

「私が一緒に仕事をしたどの監督よりも、ジョージはシーンの描き方に最新の注意を払う人でした。彼の現場では、つねに3つのユニットが同時進行しているのですが、彼はすべてに目を行き届かせており、たとえば2番目のユニットで20テイクを撮る際に、俳優のヘルメットの位置が1インチ(2.54cm)低かっただけで、撮り直しをしていたのです。それくらい細部まで完璧を目指す人でした」

そのジョージ・ミラーが45年にもわたって築き上げてきた『マッドマックス』の世界で、アニャ・テイラー=ジョイがどんな輝きを放っているのか。予想を超えた何かをスクリーンで目撃できることだけは断言しておきたい。

『マッドマックス : フュリオサ』5月31日公開
製作・監督・脚本/ジョージ・ミラー 出演/アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース、トム・パーク、ラッキー・ヒューム、リー・ペリー 配給/ワーナー・ブラザース映画
2024年/アメリカ/上映時間148分

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取材・文/斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
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