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CULTURE カルチャー

2024.03.30


「プロレス映画というより、家族の絆や喪失を描いた作品」ザック・エフロン 映画『アイアンクロー』 の裏側を語る。


Zac Efron[ザック・エフロン]
【Profile】1987年10月18日生まれ、カリフォルニア州出身。ディズニー・チャンネルの『ハイスクール・ミュージカル』(2006年)シリーズの主人公ボルトン役で大ブレイク。

演じる役のために俳優が肉体改造をする。これは常識ではあるが、ロバート・デ・ニーロやクリスチャン・ベールにように信じがたいレベルで体重を増減させる俳優たちもいた。そこに加わったのが、『アイアンクロー』のザック・エフロンだ。1980年代、プロレス界の“伝説”となった、フォン・エリック・ファミリー。タイトルのアイアンクロー(鉄の爪)という技を得意とした元AWAヘビー級王者の父親フリッツの下、息子たちも次々とレスラーとしてデビュー。プロレス史上最強の家族と呼ばれるも、悲劇が相次いだ実話を映画化。そこでエフロンは、次男のケビンを演じた(長男は子供時代に亡くなったので、実質的に兄弟のリーダー)。

驚くのは、その筋肉である。かつては『ハイスクール・ミュージカル』などでアイドル的な魅力も放っていたザック・エフロンが、目を疑うほどのムキムキな肉体で登場。リングの上でも本格的なプロレス技に挑んでいる、過酷な食事制限とトレーニングでプロレスラーになりきった彼が、作品への思いやプロレスシーンの撮影について語った。
 

  

 

『アイアンクロー』

ーーフォン・エリック・ファミリーのことを知っていて、本作に参加しようと思ったのですか?

実は違うんです。脚本を読むまで、ファミリーのことをまったく知りませんでした。監督のショーン(・ダーキン)に会って、彼らが経験したことすべてを数時間かけてレクチャーしてもらい、あまりに波乱に満ちた運命に驚いたのです。こんなことが現実に起きたなんて……という感覚ですね。

ーープロレスだけではない側面に惹かれたわけですね。

本作はプロレス映画というより、家族の絆や喪失を描いた映画だと認識しました。僕が演じるケビンは、狂気と言ってもいい呪いを経験しつつ、それを克服するわけです。とにかく奥が深く、ワイルドな脚本だったので、ぜひ演じたいと思いました。

ーー家族のドラマということで、あなた自身も共感する部分があったりは?

さすがに僕自身は、ここまでの悲劇を経験していません。でも僕には弟がいるので、エリック・フォン・ファミリーの兄弟関係に共感できる部分はたくさんありました。実際に兄弟がいるか、そうでないかによって、こうした物語への反応の違いはあるでしょう。でも本作の場合は、たとえ兄弟がいない人でも親友がいれば、そこに置き換えて感情移入できると思います。ショーンが焦点を当てたのも、兄弟がたがいに抱いている感情や愛の部分。そんな兄弟を次々にプロレスのリングに導く物語のプロセスは、演じながらも興奮しましたね。
 

  

 

『アイアンクロー』

ーー兄弟を演じたのは、映画『逆転のトライアングル』のハリス・ディキンソン(三男/デビッド役)、人気ドラマシリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」の主役、ジェレミー・アレン・ホワイト(四男/ケリー役)、そしてスタンリー・シモンズ(五男/マイク役)です。

僕らは一度に釣り上げられた魚のような気分でした(笑)。一緒に衣装合わせをして、トレーニングでは同じタイミングで水を飲んだりしているうちに、“同志”という感覚になっていったんです。ともに不安を抱え、いろんな特別な経験を共有すると仲良くなるもので、それは演技の助けにもなりました。リングの上では、誰かがチャレンジを成功させると、自分もやる気が出たりして、相乗効果は抜群でしたね。彼らは本当に才能のある俳優たちです。

ーープロレスシーンの撮影について聞かせてください。現役レスラーのチャボ・ゲレロ・ジュニアが対戦相手で登場するほか、プロレスの指導もしているんですよね。

トップロープの上に立った僕が、リングのチャボめがけてジャンプするのですが、実際にやろうとすると、あまりに遠く、彼が小さく見えて恐怖を感じました。覚悟を決めて飛び降り、なんとかやりとげたんです。あれは撮影の中でも特別な瞬間でしたね。試合のシーンで僕らはチャボから本気でパンチなどを喰らうこともありましたが、痛みに価値はありましたよ。プロレスの技は追求すればするほど、個人的に面白くなっていくんです。

ーー映画のプロレスシーンは、すべてあなたたち俳優の動きを映しているとか。

はい。まず試合全体の流れを決める段階で、僕らは演じるレスラーになりきっていました。そして本番では、1試合をぶっ通しで撮影するんです。だから、だいたい15分で本番終了ですね。もちろん即興の動きや技もたっぷり入ります。いや、大部分が即興と言っていいかも(笑)。そんな風に試合シーンの撮影が2週間で終わると、ちょっと寂しい気分になりました。僕らはレスラーのショーマンシップに心酔したんでしょうね。危険なジャンプに挑み、信じがたい痛みも経験しつつ、まわりの観客が熱狂している姿に、味わったことのない興奮を得る。全身が感電したかのように……。プロのレスラーがなぜ戦い続けるのか、僕にも少し理解できました。本当に楽しかったです。
 

  

 

1986年、後楽園ホールで新日本プロレスの武藤敬司と戦うケビン・フォン・エリック(本人)

ーーあなたが演じたケビン本人は今も健在です。演じるうえで何かアドバイスをもらったのですか?

撮影前には、あえて会わないようにしました。ケビンとのやりとりは、ショーンに任せていたのです。

ーーでは会ったのは、映画が完成してから?

はい。ケビンと僕は2人だけの時間を作ってもらい、対面したのですが、あの時間は僕の人生でも最高に満ち足りたものになりました。ケビンは論理的で知的。カリスマ的なオーラが漂っており、彼との会話によって僕の未来に希望を与えてもらった気がします。

ーーケビンは『アイアンクロー』に満足してくれましたか?

そう思います。“とくに兄弟の関係がうまく描かれていた。それが映画全体に貫かれていた”と語っていましたから。ケビンは上映の際に家族を連れて来ていて、今は幸せな人生を送っていることもわかりました。彼らの姿を見て、僕も心からうれしい気分になったのです。

『アイアンクロー』4月5日公開
製作・監督・脚本/ショーン・ダーキン 出演/ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト、ハリス・ディキンソン、モーラ・ティアニー、スタンリー・シモンズ 配給/キノフィルムズ
2023年/アメリカ/上映時間132分
 

  

 


 
  

 

 
文/斉藤博昭 text :Hiroaki Saito
(C)2023 House Claw Rights LLC; Claw Film LLC; British Broadcasting Corporation. All Rights Reserved.
photo by AFLO
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