Safari Online

SEARCH

CULTURE カルチャー

2024.03.09

あの映画監督の得意技! Vol.12
ガイ・リッチーの軽妙なタッチと新境地。


【Profile】ガイ・リッチー(写真右)/1968年9月10日生まれ、イギリス出身。『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)で長編監督デビュー。

ガイ・リッチーの新作で現在公開中の『コヴェナント 約束の救出』(2023年)が好評を博している。なるほど、確かに面白いのだが、リッチーファンとしては正直、驚かされもした。戦争ドラマというシリアスな題材もそうだが、社会派の要素が強く出ていたから。アフガン戦争時、米国への移住と引き換えに米軍に協力した通訳の現地人の多くが、今も母国に取り残され、タリバン政府に命を狙われているという過酷な現実。こんな重みのあるドラマを、リッチーが撮ったのは意外だった。
 

  

 

『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)

過去作を振り返ると、リッチーの持ち味は軽妙なタッチにあった。それはデビュー作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)以来、一貫している。例外はハードボイルドに寄った『キャッシュトラック』(2021年)くらいだろう。ジェイソン・ステイサムと組むことが多いリッチーだから、同作では違うテイストで作ってみたいと思ったのかもしれない。それでもステイサムと5度目のタッグを組んだ前作『オペレーション:フォーチュン』(2022年)では軽快なノリに戻り、コミカルなスパイアクションを演出してみせた。
 

  

 

『シャーロック・ホームズ』(2009年)

笑いの要素は、リッチーの軽妙さの柱でもある。これは彼が手がけたハリウッド大作からも明らかだ。『シャーロック・ホームズ』(2009年)とその続編『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』(2011年)は、おなじみの名探偵ホームズと相棒ワトソンの丁々発止が絶妙。往年のTVシリーズ『0011ナポレンオン・ソロ』(1964〜1968年)を現代に甦らせた『コードネームU.N.C.L.E.』(2015年)では東西冷戦を背景に、米ソのスパイが手を組まざるを得なくなる状況が、やはりユーモラスだった。リッチー最大のヒット作であるディズニーの実写版『アラジン』(2019年)ではウィル・スミスを魔人役に迎え、ジョークを散りばめながらファンタジーを展開させている。
 

  

 

『スナッチ』(2000年)

カットの素早いつなぎという編集上のテクニカルな部分もリッチー作品のノリを支えている。彼お得意の犯罪群像劇を見れば、それはわかりやすいだろう。宝石強盗に賭けボクシングの八百長が絡む『スナッチ』(2000年)はその典型で、複数のエピソードを交錯させながらスリルを高めるリッチーの手腕は絶品。暗黒街の大物に騙されたチンピラ集団の逆襲劇『ロックンローラ』(2008年)も、カリスマ的な麻薬王と、彼をハメようとする悪党たちの攻防を描いた『ジェントルメン』(2019年)も同様だ。いずれもリッチーの本拠地、ロンドンの下町を舞台にしているが、ダウンタウン特有の人間臭さや熱気を表現するうえで、早いカット割りが醸し出す勢いは大きな役割を果たしている。
 

  

 

『コヴェナント 約束の救出』(2023年)

『コヴェナント 約束の救出』に話を戻そう。過去作に比べると確かにリッチーらしさは薄い。一方で、リッチー作品特有のエッセンスもある。それは人と人のつながりを決してウェットに描かないこと。友情や愛情でキャラクターが結ばれるのは映画ではよくあるが、リッチー作品のそれは極端に少なく、あったとしてもじつにカラッとしたものだ。そもそもリッチー作品における犯罪者たちは裏切る・裏切られるの連続であり、絆で結ばれる余裕などないのだ。

『コヴェナント~』では、アフガンで重傷を負った米軍兵士が、自分を助けてくけた通訳のアフガニスタン人を救うために現地に舞い戻る。1984年の『キリング・フィールド』でも似たような状況が描かれていたが、同作と異なり、『コヴェナント~』には救う側と救われる側に友情はない。あるのは借りを返すという意思と、過酷な状況でも生き続ける意思のみ。両者のその強さにしっかりとフォーカスした物語は、お涙頂戴のありがちな感動作に比べても、ずっと、ずっとエモーショナルだ。それこそが、本作におけるリッチーの新境地と言えるのではないか。

●こちらの記事もオススメ!
悪夢映画はどう観たらいい?新作『ボーはおそれている』と難解映画の世界(1)
 

  

 

 
文/相馬学 text:Manabu Souma
photo by AFLO
〈クロノス〉が心斎橋に新たな旗艦店をオープン! 市原隼人&魔裟斗が語る、大人が選ぶアクティブスタイルとは?
SPONSORED
2026.09.16

〈クロノス〉が心斎橋に新たな旗艦店をオープン! 市原隼人&魔裟斗が語る、大人が選ぶアクティブスタイルとは?

〈ベル&ロス〉の角型GMT時計が示す、大人の旅姿ONとOFF!
SPONSORED
2026.09.15

〈ベル&ロス〉の角型GMT時計が示す、大人の旅姿ONとOFF!

TAGS:   Fashion Watches
〈ニューバランス〉のリラックスウエアでストレスフリーに!日々の疲れを癒してくれるエフォートレスな日常着!
SPONSORED
2026.09.10

〈ニューバランス〉のリラックスウエアでストレスフリーに!
日々の疲れを癒してくれるエフォートレスな日常着!

仕事に遊びに、毎日を忙しく過ごす。そんな大人の日常着は、着心地のよさにこだわりたいもの。そしてそれが、日々の疲れを癒し、なおかつ大人らしい着こなしを楽しめるものだとしたら、願ったり叶ったりではないだろうか。そんなちょっと欲張りな理想を叶え…

TAGS:   Fashion
スポーティかつ快適な〈アウディ〉の新プレミアム。“Audi A6”とともに日常をエレガントにアップデイト。
SPONSORED
2026.09.04

スポーティかつ快適な〈アウディ〉の新プレミアム。
“Audi A6”とともに日常をエレガントにアップデイト。

心を高揚させてくれるスポーティな走りと、ときにはゆったりと寛げる快適性。プレミアムカーの中でも上級グレードに位置するアッパープレミアムセグメントでは、これらふたつの要素が欠かせない。この相反する条件をこれまでにないレベルで両立させたニュー…

〈スタイル〉で叶う極上の座り心地と正しい姿勢。理想の姿勢が日常になるデザインソファ
SPONSORED
2026.09.04

〈スタイル〉で叶う極上の座り心地と正しい姿勢。
理想の姿勢が日常になるデザインソファ

家で過ごす時間をより楽しむなら、ソファはただ座って寛ぐための家具ではなく、暮らしの質を左右する存在。心地よく身を預けられるのはもちろん、美しい姿勢までサポートできたら申し分ない。〈スタイル〉のソファなら、人間工学に基づいた独自設計でその両…

〈ディーゼル〉の軽くて楽ちんな“ジョグジーンズ”の新作!心地いいデニムが大人には必要だ!
SPONSORED
2026.08.25

〈ディーゼル〉の軽くて楽ちんな“ジョグジーンズ”の新作!
心地いいデニムが大人には必要だ!

デニムの力強さや爽やかなルックスは唯一無二。でも大人としては、穿き心地も大事。その両面を高いレベルで兼ね備えているのが、〈ディーゼル〉の“ジョグジーンズ”だ。スウェットのような軽い穿き心地ながら、デニムらしい奥深い魅力を備えた新作がずらり!

TAGS:   Fashion Denim
〈ワンミニットワンセカンド〉のウエアで快適にお洒落する!リラックスしたい休日はひと味違う日常着で!
SPONSORED
2026.08.25

〈ワンミニットワンセカンド〉のウエアで快適にお洒落する!
リラックスしたい休日はひと味違う日常着で!

慌ただしく過ぎる毎日だからこそ、オフはリラックスできるウエアで過ごしたい。とはいえ、そこに個性やセンスも表したいというのが大人の本音。〈ワンミニットワンセカンド〉ならば、ベーシックなアイテムに今の気分を取り入れ、快適さと洗練度を両立。 よ…

TAGS:   Fashion

NEWS ニュース

More

loading

ページトップへ