SNSの闇に恐怖する!『スプリー』
ここ数年、何かと世間を騒がせるのは、SNSや動画サイトでの、強引なフォロワーの獲得や炎上。次々と新たな騒動が起こっているので、当然ながら映画のテーマにもなりやすい。そんなムーヴメントにのって作られたのが、この『スプリー』。予想を上回って進む展開に、ついていけるか!?
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『スプリー』
胸アツなポイントは?
“フォロワーのために罪を犯していく姿に驚愕!”
主人公のカートは、“スプリー”というライドシェア(相乗り)サービスのドライバー。ウーバーと同じシステムで、客をピックアップして目的地まで乗せる。同時に彼は、SNSのフォロワーを増やすことが人生の使命。大量のフォロワーを持つインフルエンサーの友人にライバル心を燃やしているのだ。
カートのクルマには何カ所もGoProが取り付けられ、車内の様子をライブ配信。そこでカートは、乗客に対してとんでもない行動を起こす!
動画への反応に一喜一憂するカートは、その行為をどんどん暴走させるのだが、映画の前半からかなり過激なシチュエーションが繰り出されるので、後半は目を疑うシーンが連発される。限界に達したら、次の限界に挑むという、SNSやインフルエンサーの欲求が、そのまま映画になっているところが怖い。
映画のほぼ全編が、車内のGoPro、カートや周囲の人のスマホカメラ、または街のセキュリティカメラなどの映像で構成。臨場感をアップさせる効果は絶大だ。カートを演じるのは『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のメインの1人、スティーブ役で人気者となったジョー・キーリー。
狂気に走る役どころなのだが、常に平然とした表情で非道行為を繰り返し、うまくいけば素直に喜びを爆発させる。まるで青春ラブストーリーの主人公のような演技が、かえってスリルを増すという、なかなか巧妙なアプローチ。激しいアクションも用意され、最後まで勢いで突っ走るセンセーショナルな1本!
『スプリー』
製作・監督・脚本/ユージーン・コトリャレンコ 出演/ジョー・キーリー、サシーア・ザメイタ、ミーシャ・バートン 配給/OSOREZONE
2020年/アメリカ/上映時間93分
2021年4月23日より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー。