ダーティな一面に衝撃を受ける!『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』
サッカーの長い歴史を振り返って、スーパースターと呼ばれた名選手は何人もいたが、その中でもトップに君臨するのが、アルゼンチンのディエゴ・マラドーナだろう。2020年11月、その死去でブエノスアイレスの人々が信じられないレベルで悲しむニュースも流れた“英雄”の真実と素顔に迫るのが、このドキュメンタリーだ。
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『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』
胸アツなポイントは?
“ドラッグに溺れていくヒーローの姿に唖然!”
マラドーナのサッカー人生で、最も人々の記憶に残ったのが、明らかなハンドによるゴールの“神の手”と、奇跡の“5人抜き”によるシュートを1つの試合(準々決勝のイングランド戦)で決めた、1986年のワールドカップ。結果的にアルゼンチンは優勝した。
当時、マラドーナはイタリア・セリエAのSSCナポリに所属しており、彼は同クラブにとって史上初のセリエA優勝も導いている。アルゼンチン、ナポリ、それぞれの人々が歓喜し、マラドーナを神のごとく崇めて熱狂する映像は、いま改めて観ても心が震える。
一方で、1980年代のサポーターによる、敵チームへの罵詈雑言やブーイングなど、いまではありえない光景も、ある意味で貴重! ドキュメンタリーとして最初から最後まで見どころが詰まっている。
タイトルに“二つの顔”とあるように、プライベートの“ディエゴ”では、やんちゃで愛すべきキャラだが、スター選手の“マラドーナ”における言動は極端。そのギャップこそ、本作最大のポイントだ。
最高に輝いたセリエA時代に、イタリアのマフィアと関係し、その後、ドラッグに溺れていくのは、皮肉だがシビアな現実。イタリアとの愛憎関係や、電話の盗聴記録公開など、痛々しくショッキングなシーンも登場する。
この作品、本来ならマラドーナが亡くなる前に日本で公開されるはずだったが、新型コロナの影響で延期。しかし結果的に、死去の後にこうして観ることで、さらにレジェントの真実が切実に伝わってくることになった。サッカーファンではない人でも、類まれな人物の劇的な人生として感動してしまうはず!
『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』
製作総指揮/アシフ・カパディア 監督/アシフ・カパディア 出演/ディエゴ・マラドーナ 配給/ツイン
2019年/イギリス/上映時間130分
2月5日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー。