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CULTURE カルチャー

2018.08.30


『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』『アントマン&ワスプ』

シャイア・ラブーフの演技力、スベリル・グドナソンの美しさが光る『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』と、最小ヒーローが最大になる!?『アントマン&ワスプ』をピックアップ!

セレブで選ぶ編
ムネアツなポイントは?“お騒がせだが演技はピカイチなシャイア・ラブーフ”
『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』

32歳ながら波乱万丈な人生!
シャイア・ラブーフほど浮き沈みの激しい俳優はいないかもしれない。無論、低迷から復活を果たす俳優はたくさんいる。しかしながら、シャイアはまだ32歳だ。人生の半分も過ぎていない。それにしては波乱万丈で、彼の半生を描く伝記映画『Honey Boy』(原題)が作られるというのも深く頷ける話なのだ。


 

 
子役から活躍し、その演技力から21歳のときに‘07年『トランスフォーマー』の主演に大抜擢される。映画は世界的大ヒットを記録し、スターへと駆け上がると翌年には『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』でインディの息子を演じるという大役をゲット。誰もがシャイアこそ次世代のハリウッドを背負っていく存在だと確信していた。しかし、反面、激情型な性格からトラブルや奇行が絶えず、’07年から不法侵入や喧嘩などで繰り返し逮捕される。お酒での騒動も多く、特に‘08年の酒気帯び運転事故では自身の左指2本を失い義指になる出来事も。自暴自棄な行動が増え、今ではすっかりお騒がせ男として定着してしまった。


 

 
けれども本作の役柄は、そんなシャイアにはうってつけだろう。なぜなら判定に怒り、激しく噛みつく悪童マッケンロー役だからだ。感情をコントロールできない様は、似通ったところがあるのかさすがの迫力。しかしながら、印象に残るのは静の演技だ。特に父親に褒められたい一心の胸中がわかる場面は、切なさのある名演技を披露している。最近のインタビューでは、これまでを改心し、リハビリ施設に入所したことも告白している。これだけの演技力があるのだから、改心が本物ならばニュースター誕生を期待させた頃の輝きを取り戻す日も近いかもしれない。


 

 
さて物語だが、本作は‘80年のウィンブルドン決勝とその舞台裏を描いたもの。戦うボルグとマッケンローはグランドスラムで4回対戦し、マッケンローが3勝1敗と制している。つまりボルグからマッケンローへとテニス界の主役が変わる時代の話なわけだ。それを知っておくとボルグが受けるとてつもないプレッシャーや、マッケンローの恐るべき勢いも理解できるだろう。また、演じるスベリル・グドナソンの、男も惚れる美しさにも注目してほしい。



『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』
監督/ヤヌス・メッツ 出演/シャイア・ラブーフ、スベリル・グドナソン、ステラン・スカルスガルド 配給/ギャガ
2017年/スウェーデン、デンマーク、フィンランド/上映時間108分

8月31日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次ロードショー
© AB Svensk Filmindustri 2017
 

 
物語で選ぶ編
ムネアツなポイントは?“アントマンなのに24mの巨大サイズになる!”
『アントマン&ワスプ』



最小サイズのヒーロー再び!

『ブラックパンサー』、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』とヒット作が続き、相変わらず絶好調のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)。2018年、その3本めとなるのが『アントマン&ワスプ』だ。3年前、単独で主人公の作品が公開され、“最小サイズ”のヒーローとして人気を集めた、アントマン。待望の続編となる。
 

 


主人公のスコット・ラングは、前科者のいわゆるダメ男。妻にも愛想をつかされて離婚し、養育費が払えないので愛する娘に会う機会も少ない。そんな彼が、天才科学者のピム博士が開発した特殊スーツを着て、正義のヒーロー“アントマン”となっていく。今回は、ピム博士の娘、ホープも特殊スーツを身につけた“ワスプ”として一緒に活躍。ちなみにアント=蟻に対し、ワスプはスズメバチ、ジガバチの意味。女性ヒーローの名がタイトルに入ったのは、MCUでもはじめてだ。
 

 


ピム博士の研究所を狙う敵で、肉体を透明化し、物体をすり抜ける能力をもつ“ゴースト”も女性キャラ。そして、30年前に量子世界に閉じこめられたピム博士の妻も重要な役割を果たすなど、MCU作品にしては、『ブラックパンサー』に続いて“女子力”が高い本作。そのぶん、アントマン=スコットの頼りなさが強調されることになり、笑えるシーンもたっぷりだ。そう、この『アントマン』、MCUの中でも最も肩の力を抜いて気楽に楽しめる作品であり、今回の続編もその路線で突っ走る。
 




アントマンもワスプも、自慢のパワーといえば、身長1.5cmのミニサイズになること。敵の目をかいくぐり、小技が冴えわたるのだが、今回は周囲の物のサイズを変える能力も発揮。ビルやクルマを小さくしたり、お菓子のペッツを大きくしたりとやりたい放題。さらにパワーが制御できなくなって、アントマンが身長24mの巨大サイズになってしまうなど、とにかく観ているだけで痛快!
 




MCUは他作品とのリンクも重要になるが、基本的にこの『アントマン&ワスプ』は、そのリンクをスルーしても単体で素直に楽しめるところも好印象。“一見さん、お断り”的な敷居の高さがない。ただし、恒例のオマケ映像に驚きつつ納得するためには、なぜかアントマンが出ていなかった『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を観ておいた方がベターだろう。

『アントマン&ワスプ』
監督/ペイトン・リード 出演/ポール・ラッド、エバンジェリン・リリー、マイケル・ペーニャ 配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン
2018年/アメリカ/上映時間118分

8月31日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
©Marvel Studios 2018

文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito

 
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