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CULTURE カルチャー

2018.08.01


『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』『2重螺旋の恋人』

世界中で大ヒットをしているシリーズ最新作の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』と、フランソワ・オゾン監督の『2重螺旋の恋人』をピックアップ!

物語で選ぶ編
ムネアツなポイントは?“限界を突き破ったトムのアクション!”
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

アクション映画のシリーズものは、回を重ねるごとにマンネリ化が進みがち。だが、『ワイルド・スピード』と、『ミッション:インポッシブル』は確実にバージョンアップが続いて、観る者を圧倒してくれる。そして今回ご紹介する『ミッション:インポッシブル』最新作もそんな期待に応える……どころか、期待以上にテンションを上げるシーンの連続! シリーズの歴史どころか、アクション映画の歴史も変えるレベルの仕上がりになっているのだ!


 

 
今回、イーサン・ハントに託されたミッションは、悪の手に渡った3つのプルトニウムを奪還すること。このままでは核爆弾が生成され、世界の複数の都市で同時に大惨事が起こりかねない。この最初のミッションをきっかけに、イーサンらのIMFだけでなくCIAも絡んだ絶体絶命の攻防が、陰謀や裏切りのドラマとともに展開していく。


 

 
イーサンを囲む、お馴染みのIMFのメンバーは、今回もベンジーのちょっぴりとぼけた味わいなどが効果的で、もはや名人芸の域。さらにイーサンと、死んだとされていた彼の妻との切ない運命が重要パートとなり、シリーズファンの胸を熱くする。新メンバーとしては、スーパーマン役で有名なヘンリー・カヴィルが参戦。CIAのエージェントでイーサンを見張るウォーカー役で、イーサンとの騙し合い、プライド対決は見応えたっぷりだ。


 

 
しかし、なにより衝撃を受けるのは、トム・クルーズの神レベルのチャレンジ精神だろう。上空8000mからのスカイダイビング(ヘイロージャンプ)や、自ら操縦するヘリのスパイラル飛行はもちろん全力疾走も見事で、オフィスの中を通過していく、まるで往年の“ドリフ”のギャグのような設定も、笑いを通り越して惚れぼれ! そして撮影中に骨折の大ケガを負った、ビルからビルへのジャンプもそのまま映像に収められ、肉体ギリギリの恐怖を観客に体感させる。最近のアクション映画はCGでなんでも映像化できてしまうが、今作を観ると、やはり生身のアクションが観客に与えるインパクトは別物だと実感できる。そんな瞬間が何度も訪れるのだ。


 

 
とはいえ、トムも今年56歳。肉体も限界に近づいているはず。ただ、3年前の前作で「すでに53歳。そろそろアクションは抑えるか」と囁かれたのに、今回、限界を突き破ってきたわけで、超人的進化にまだ終わりは見えそうにない!



『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
監督・製作・脚本/クリストファー・マッカリー 製作/J.J.エイブラムス 製作・出演/トム・クルーズ 出演/サイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス、レベッカ・ファーガソン、アレック・ボールドウィン、ミシェル・モナハン、ヘンリー・カヴィル 配給/東和ピクチャーズ
2018年/アメリカ/上映時間147分

8月3日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
 


セレブで観る編
ムネアツなポイントは?“観る者の心理を弄ぶフランソワ・オゾン!”
『2重螺旋の恋人』



フランソワ・オゾンは心理描写に長けた監督だ。しかも、深層心理に踏みこみ、普通の人間であれば隠しておきたいような変態的な本能を暴いてしまう。理性的な人にとっては厄介な存在だ。それだけに好き嫌いがわかれる監督なのだが、彼しか表現しえないオゾン・ワールドがあるのも事実。最新作では、双子の精神分析医と禁断の関係にのめりこむ女クロエを通じて、観る者を惑わし、ミステリアスな世界へと誘ってくる。


 

 
オゾンの特徴といえば、女性のセクシャリティを要素に入れたり、テーマにすることが多いところ。たとえば‘03年『スイミング・プール』では、中年の女流作家が性に奔放な少女に反発しつつも惹かれていくシーンが登場。’13年『17歳』は、名門高校に通う17歳の少女が初体験を済ませると、不特定多数の男たちと売春を重ねるようになるという物語だ。満たされない欲望を求め、本能をさらけ出す描写を巧みに取り入れている。


 

 
そしてもうひとつの特徴が、物語が進むにつれて現実と虚構の境界線が曖昧になる展開だ。‘12年『危険なプロット』は、ある高校生が同級生の家庭の様子を巧みな文章で作文にして提出。それを読んだ高校教師が、続きが気になるため何度も提出させるうちに、生徒の書く文章が虚実入り混じっていくという心理サスペンスだ。観る者は仕掛けられた謎に翻弄されていく、そんな面白さがあるのだ。


 

 
本作はというと、その2つの要素を併せ持った作品。主人公のクロエは、ひょんなことから恋人の双子の兄と遭遇。隠された存在を知った好奇心から近寄るが、兄は恋人とは違う暴力的な男だった。しかし、そこに惹かれて背徳の愛に溺れていく。1人の男では満たされないクロエのセクシャリティの探求を赤裸々に表現している。


 

 
そして、後半になるにつれ、どちらが恋人でどちらが兄か見た目ではわからなくなるトリックも仕掛けられている。それにより、これが現実なのか? 妄想なのか? これは一体誰? 本当に別人なのか? と観る者は迷宮に迷いこみ幻惑されていくのだ。まさに、オゾンの真骨頂。クロエだけでなく、観ているこちらも潜在意識の扉を開け放たれる感覚に陥る作品だ。



『2重螺旋の恋人』
監督・脚本/フランソワ・オゾン 出演/マリーヌ・ヴァクト、ジェレミー・レニエ 配給/キノフィルムズ
2017年/フランス/上映時間107分

8月4日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
©2017 - MANDARIN PRODUCTION - FOZ - MARS FILMS - PLAYTIME - FRANCE 2 CINÉMA - SCOPE PICTURES / JEAN-CLAUDE MOIREAU

 
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