『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』『アメリカン・アサシン』
『スター・ウォーズ』の人気キャラ、ハン・ソロの若き日を描く『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』と、マイケル・キートンのキレキレの演技が面白い『アメリカン・アサシン』をピックアップ!
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物語で選ぶ編
ムネアツなポイントは?“ハン・ソロの名前の由来、知ってる?”
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』
『スター・ウォーズ』の本シリーズとは別のスピンオフ作品としては、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に続く2作め。タイトルからわかるとおり、シリーズの人気キャラクター、ハン・ソロを主人公に、彼の若き日が描かれる。無法者ヒーローがどのように誕生したのか。その起源をたどるストーリーは、これまでの『スター・ウォーズ』作品とは異なる斬新なテイストも備えている。
宇宙船の製造基地として知られる惑星コレリアで生まれ、パイロットとして天才的才能を育んだハン・ソロ。帝国軍の兵士となるも、パイロットの技術が生かせずにストレスを溜めていた彼は、戦場で出会ったベケットという男の計画に加わることに。賞金稼ぎのために、貴重な資源であるコアクシウムを狙って、ハン・ソロの大冒険がはじまる。
なぜハン・ソロという名前になったのか。生涯の盟友チューバッカとは、どのように出会ったのか。そして愛機となるミレニアム・ファルコンを操縦することになったきっかけは? さまざまなエピソードが要所に登場するうえ、重要なシーンでは本シリーズでお馴染みの、ジョン・ウィリアムズの音楽が重なるので、ファンはそのたびに心が躍るはず。ハン・ソロの“お守り”であるゴールデン・ダイスなど細部のつながりを発見するのも楽しい。彼の名セリフで、シリーズの恒例でもあった「嫌な予感がする」が、別のセリフに言い換えられていたり、遊び心も気が利いている。
ハン・ソロ役に抜擢されたオールデン・エアレンライクは、ハリソン・フォードのイメージとはやや異なる。しかし銃の構え方はもちろん、立ち方や、手を腰に置く微妙な癖などを徹底的に意識しているようで、その努力が涙ぐましいばかり。なにより、やんちゃで無鉄砲な、若き野心家というキャラクターを自分のものにしており、観ていて爽快そのもの! 似ているかどうかなんて気にならなくなる。
『ローグ・ワン〜』は、エピソード4に直接つながる“エピソード3.9”という印象だったが、今作は純粋なスピンオフとしての作り。惑星コレリアのダークな映像や、クライマックスの見せ方など、明らかに本シリーズとの“距離”が意識されている。演出を任されたのは、『スター・ウォーズ』で初となる、アカデミー賞受賞監督のロン・ハワード。アクション以外のドラマ部分もじっくり見せる手堅さが、今作の特徴でもある。
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』
監督/ロン・ハワード 出演/オールデン・エアエンライク、ウッディ・ハレルソン、エミリア・クラーク、ドナルド・グローバー、ダンディ・ニュートン 配給/ディズニー
2018年/アメリカ/上映時間135分
6月29日よりTOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー
©2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
セレブで選ぶ編
ムネアツなポイントは? “マイケル・キートン流の人材養成術“
『アメリカン・アサシン』
ベテラン俳優マイケル・キートン。2015年に、主人公リーガンを演じた『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』がアカデミー賞最優秀作品賞を獲得し、脚光を浴びたのは記憶に新しいところだ。スタンダップ・コメディアンとしてキャリアを出発させた彼の特徴といえばテンションの高い演技。ティム・バートンと組んだ1988年『ビートルジュース』でもハチャメチャな主人公を演じ、全米映画批評家協会賞主演男優賞を獲得。一躍、怪優として注目を浴びる存在になった。
マイケルが今回演じる役どころは、元ネイビーシールズでCIAの工作員養成担当教官のハーリー。彼のもとに、能力を買われた主人公の青年ミッチ(ディラン・オブライエン)が送りこまれる……。CIAの新人と教官モノで思い出されるのが『リクルート』。訓練生コリン・ファレルと彼を指導するアル・パチーノの演技合戦が話題となった作品だ。そこでも描かれているのが、冷戦な判断力を身につけること。非情な世界を生き抜くには必須の条件なのだ。つまり本作は物語に加えて、怪優マイケル・キートンが冷静さを求めるCIA教官をどう演じるのか? そこも大いに注目したいポイントになってくるわけだ。
ハーリーは養成の仕上げとして、ミッチのトラウマを利用し精神的に追いこんでいく。まんまと心を乱した彼をコードで首を締め上げ、感情を捨て去る大切さを、身をもって教えこんだ。しかしながら、その際のハーリーといえば見事に鬼の表情! 十分感情的になっているのだ。さらにクライマックスでは、敵の拷問を受けるハーリーが様々な駆け引きで生き延びようとするのだが、その様が圧巻。冷静と狂気の間を行ったり来たりしながら、ついには狂気が勝り敵の耳を食いちぎってしまう! “冷静になれ”という教えはいったいどこにいったのやら。だがしかし、キートンの演技はキレキレで、まさに真骨頂! ファンを存分に楽しませてくれることは間違いない。
本作は、全米ベストセラーのスパイ小説『ミッチ・ラップ』シリーズが原作だけに、物語は見応えあり。主人公の誕生編にあたるため、スパイとしての活躍にもの足りなさも感じる。しかしキートンの存在感と、裏切りをまぶしたほどよいプロットで最後まで楽しませてくれるだろう。
『アメリカン・アサシン』
原作/ヴィンス・フリン 監督/ディラン・オブライエン、マイケル・キートン、サナ・レイサン、テイラー・キッチュ 配給/キノフィルムズ/木下グループ
2017年/アメリカ/上映時間112分
6月29日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
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