映画『ザ・バイクライダーズ』は自由とバイクを愛した男たちの生き方に魅了される!
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映画にとってもちろん物語がキーポイントだが、その世界にどっぷり浸らせてくれる“ムード”や、キャラクターが重要な要素。そんな事実を改めて認識させてくれるのが、この映画だ。冒頭からいきなり、1960年代のアメリカでバイクを愛した男たちの気分にさせてくれる!
舞台となるのは1965年のシカゴ。バイク好きの荒くれ者たちが“ヴァンダルズ”というモーターサイクルクラブを結成。その人気は広がり、各所に支部も作られる。やがてクラブ内での対立も起こるようになり、過激な抗争へと発展。アウトローの男たちがそれぞれのポリシーを貫き、プライドをぶつけ合う。そのような展開を映画にするうえで“理想型”が本作かもしれない。無口ながら怒ると手がつけられないベニーと、クラブのリーダー格であるジョニー。この2人の関係を中心に、バイク乗りたちの運命が、時に危うく、時にひりつくような痛みを伴って心に突き刺さってくる。
バイクや革ジャン、デニムのベスト、エンブレムなど細部がいちいちカッコいい。ビジュアルだけでロマンを掻き立てるのも本作の特徴。もちろん走行シーンの迫力でも満足させてくれる。ベニーを演じるのは『エルヴィス』でプレスリーを演じ、アカデミー賞候補になったオースティン・バトラー。繊細な雰囲気を漂わせながら、決して自分を曲げない芯の強さを体現し、伝説のスター、ジェームズ・ディーンの面影すら感じさせる。ジョニー役は『ヴェノム』などのトム・ハーディで、対照的な2人の役どころが後半のドラマを盛り上げる。そして終盤は、バイクの排気音や振動を知る人にとって、あまりに切ないシーンも用意された。基本はベニーの妻の視点で語られるので、憧れや虚しさの感情でグッとくる瞬間も……。この時代を過ぎた後、アメリカも、そして世界も、自由に生きるうえで何かが失われたのではないか。そんなノスタルジックな美学を堪能するうえで、最高の一本になるはずだ。
『ザ・バイクライダーズ』11月29日公開
原案/ダニー・ライオン 監督・脚本/ジェフ・ニコルズ 出演/オースティン・バトラー、ジョディ・カマー、トム・ハーディ、マイケル・シャノン、ノーマン・リーダス 配給/パルコ
2023年/アメリカ/上映時間116分
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Photo by AFLO