映画『トラップ』はシャマラン監督らしいスリリングな展開に引き込まれる!
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映画監督の“名前”を目や耳にしただけで、何となく新作が気になってしまう……。そんな貴重な存在の一人が、M.ナイト・シャマランだろう。他の監督なら絶対に手をつけない大胆不敵なアイデアで、スリリングな世界へ導いてくれるシャマラン映画。好き嫌いが分かれるパターンもあるが、 “観てみたい”欲望は刺激される!
最新作『トラップ』は、シャマラン映画の中でもエンタメ志向の強い仕上がり。つまり多くの人が入り込みやすい作りになっている。タイトルが示すようにトラップ=罠がキーワード。その罠とは、凶悪なサイコキラーを捕まえるため、FBIと警察が仕込んだ信じられないスケールのもの。巨大アリーナでの世界的人気アーティストのライブにおびき出し、逮捕するという前代未聞の作戦がスタートする。会場内外に300人の警官が配置され、各所に監視カメラを設置。3万人の観客が集まるライブに、ターゲットと思われる男が何も知らず娘を連れて現れた……。たった一人の身柄を拘束するため、そんな罠を考えてしまうのがある意味でシャマランらしい。男の行動や警察側の対応にツッコミどころもあるが、それでも予想不能なムードに乗せられ、一瞬も飽きさせない工夫が、この『トラップ』では満点。急展開する後半には没入感も急上昇する。
注目ポイントのひとつは、ライブパフォーマンス。ステージ上の演出がマジカルなうえに、カリスマ的シンガーの歌唱力に圧倒されるが、このシンガーを演じているのは、なんと監督の長女、サレカ・シャマランなのだ。ミュージシャンとして活躍しているサレカは、これまで父の監督作に楽曲を提供しているが、今回は演技の才能でも驚かせてくれる。そしてターゲットの男を演じるジョシュ・ハートネットが、娘にライブを楽しませる良きパパと、連続殺人犯の狂気という両面を場面ごとに使い分け、背筋を凍らせる。謎めいた人物の出現、ほっこりさせるネタ、さらに人気アーティストのライブの舞台裏など多方面の見どころが備わっている。シャマラン映画なので当然、ドンデン返しへの期待に煽られる人も多いはずだが、今回の着地点は“満足度”がかなり高いのではないだろうか。
『トラップ』10月25日公開
製作総指揮/スティーヴン・シュナイダー 監督・脚本/ M.ナイト・シャマラン 出演/ジョシュ・ハートネット、アリエル・ドノヒュー、サレカ・シャマラン、ヘイリー・ミルズ、アリソン・ビル 配給/ワーナー・ブラザース映画
2024年/アメリカ/上映時間105分
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