ネットフリックス『セイント・オブ・セカンドチャンス:ベック家の流儀』は野球好きなら誰もがハマる波乱万丈ドキュメンタリー!
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映画は観るタイミングも重要。10月の終わりといえば、日本でも、アメリカでも、野球の年間王座を巡る熱い戦いに注目が集まる時期。その気持ちを盛り上げるうえで、もし観るべき映画を選ぶとしたら、この新作ドキュメンタリーこそ最高の一本であるとオススメしよう。
主人公のマイク・ベックは、アメリカの野球殿堂入りも果たしたビル・ペックの息子。ビルは、メジャーリーグの複数球団でオーナーを務め、シカゴ・ホワイトソック時代には、カブスの陰に隠れていた同球団の人気をアップさせた人物として知られる。ゲーム中の花火の打ち上げや、グッズの販売など革新的アイデアを成功させたのだが、息子のマイクも父を手伝い、スタジアムに動物を登場させたり、理容室を作ったり、さらに自らマスコットキャラの着ぐるみに入ったりと、大胆なアイデアに挑戦。しかし、1970年代の終わり、“ディスコ・デモリッション・ナイト”なるイベントで観客が球場内になだれ込む大騒動を起こし、球界から追放されてしまう。そんなマイクの“転んでも起きる”半生が描かれる本作は、野球ファンにはテンションが上がるネタが多数!
ドキュメンタリーと言っても、若き日のマイクの部分は再現ドラマで描かれ、『パシフィク・リム』などのチャーリー・デイが扮している。そして現在のマイクのドラマは、本人が俳優っぽく演じていたりして、作品の自由な演出スタイルも観ていて楽しい。ギャンブルで財産を失うなど、マイクの人生は豪快なのだが、メジャーリーグを追われ、独立リーグの球団を担うことになる、まさに“セカンドチャンス”の後半から、映画はさらに面白くなっていく。独立リーグだからこそできるチャレンジの数々に驚きの連続だし、マイクの心からの野球愛が生むエピソードは予想外の感動をもたらしてくれる。そんな波乱万丈の人生を、笑いとばすように振り返るマイクを、おそらく誰もが好きになってしまうだろう。そしてそのマイクが一瞬だけ笑いを止め、表情を変えて大切なことを語り出す瞬間、この作品が忘れがたい一本になることを断言したい。
『セイント・オブ・セカンドチャンス:ベック家の流儀』
製作・監督/モーガン・ネビル 監督/ジェフ・マルムバーグ 出演/チャーリー・デイ
2023年/アメリカ/視聴時間94分
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