映画『CLOSE/クロース』は、子供時代にちょっとしたことで疎遠になってしまった親友を思い出すはず!
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子供時代を思い返すと、誰もがひとつやふたつ、心が痛むような経験が出てくるはず。自分が傷ついたパターンだけでなく、相手を傷つけた出来事もあるだろう。映画を観て、そんな思い出が甦ることもある。この『CLOSE/クロース』は、そんな一作として心に深く突き刺さるかもしれない。
主人公は13歳のレオ。花を育てる農家に生まれ、家族ぐるみで仲の良い同年のレミとは、つねに遊ぶのは一緒。兄弟のような関係を育んでいた。しかし中学に入学すると、あまりに親しい2人の関係は周囲にからかわれてしまう。やがてレオは、あえてレミと距離を置き、自分だけアイスホッケーの練習に参加するようになる。一方のレミは、急変したレオの態度に戸惑い、悲しい事件が引き起こされる……。親友との時間が大好きなのに、成長するにつれ、その関係が恥ずかしくなる。
同性同士、とくに男子特有のこの感情に寄り添い、じわじわと心を締めつける本作。気がつけば、子供時代の親友の顔を浮かべながら、自分の物語として観てしまう。または自分が子供から大人になった瞬間を重ね合わせてしまう。そんな感覚に浸ってしまう人も多いことだろう。
有無を言わさず感動させる最大のポイントは、レオとレミを演じた2人の名演技。彼らはともに映画初出演にもかかわらず、完全に役になりきっており、微妙で複雑な感情を“目”だけで表現。心の痛みがひしひしと伝わってくる。さらに映像の美しさも最高レベルで、レオとレミが走る花畑や、まばゆい夕方の光が作り出す色合いなど、観終わった後も脳裏に焼き付いて離れないシーンが多数。そして、レオと兄、レミの母親とレオの関係など、登場人物それぞれの立場から共感させるエピソードも用意されている。カンヌ国際映画祭グランプリや、アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートなど、数々の栄冠も納得の珠玉作だ。
『CLOSE/クロース』 7月14日公開
監督・脚本/ルーカス・ドン 出演/エデン・ダンブリン、グスタフ・ドゥ・ワエル、エミリー・ドゥケンヌ 配給/クロックワークス/STAR CHANNEL MOVIES
2022年/ベルギー・オランダ・フランス/上映時間104分
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