空間プロデュースに不可欠な魅力的な“音”とは!?
アメリカンSUVの最高級車として、圧倒的な存在感を放つ〈キャデラック〉の新型“エスカレード”。このクルマの特筆すべき魅力のひとつが、業界初導入となる名門音響メーカー〈アーカーゲー〉によるサウンドシステム。〈キャデラック〉のラグジュアリーな世界観を体現する居住性の高さに加え、音楽でもさらなる特別感が堪能できる1台というわけだ。今回、そんな“エスカレード”の魅力を体験してくれたのは、トランジットジェネラルオフィス代表取締役社長の中村貞裕氏。これまでプロデュースしてきた多くの話題店において、音響や音楽にも強いこだわりをもって空間演出を手掛けてきた中村氏。はたして“キング・オブ・アメリカンSUV”になにを感じたのだろうか!?
トランジットジェネラルオフィス
代表取締役社長 中村貞裕
1971年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、伊勢丹を経て、2001年にトランジットジェネラルオフィスを設立。シドニー発モダングリークレストラン〈アポロ〉など、海外の話題店を次々と日本に上陸させる一方、シェアオフィスやホテル、スパ、鉄道など多方面でプロデュースを行い、話題のスポットを生み出している。2022年にゴルフブランド〈パシフィックゴルフクラブ〉を始動。2023年12月には、“脳疲労”に着目した骨膜ヘッドスパ〈パーム ハウス〉を外苑前にオープンした。また2024年春には、直営ゴルフ練習場の〈パシフィックゴルフクラブ〉もオープン予定。
アメリカで知ったキング・オブ・SUV、〈キャデラック〉の魅力
飲食店の経営や店舗の空間プロデュースなどを手掛け、海外の人気店を次々に日本に上陸させてきたトランジットジェネラルオフィスの中村貞裕氏。仕事柄もあってか、海外に行ったときには気になるレストランがあれば、フットワーク軽く足を延ばすという。これまで〈キャデラック〉に乗る機会があったのも、渡米したときだという。
「ニューヨークの知り合いが、かつて“エスカレード”に運転手付きで乗っていたことあるので、迎えにきてくれるときによく乗せてもらったクルマというイメージがありますね。また、最近のアメリカでウーバーを使ってちょっといいクルマを呼ぶと、大抵〈キャデラック〉に乗っている人が来てくれるんですよね。自分で運転するのは今回がはじめてですが、やっぱり日本車にはない重厚感と迫力があって、“キング・オブ・アメリカ”なクルマという感じがいいですよね」
そんな中村氏は、小さい頃から「人を喜ばせるのが好きだった」と語る生粋のエンターティナー気質。それゆえ、現在の店舗プロデュースという仕事はまさに天職といえるのだが、レストランや様々な店舗をプロデュースするうえで、ひとつ大切にしていることがあるという。それが“音”にこだわるということだ。お店のデザイン、提供される料理やサービスと同様に、音楽による演出もまた人を楽しませるための重要な要素のひとつとして考えているようだ。
「たとえば、海外の飲食店を日本にライセンスで持ってくる場合、現地のスタッフが音楽にもこだわっていて、この曲を流してほしいと言ってくることも多いんですよ。海外でセンスのいいお店をやっている人たちなのでそもそも音楽好きなのですが、そういった音楽があることによって一気に“らしさ”が出るんですよね。だから、空間作りにおいて“音”はとても重要なんです。メキシカンにしてもスペイン料理にしても味の部分では多少のカスタマイズもありますが、音楽に関しては現地とあまり雰囲気を変えたくないと思っているくらい大切なものです。また最近、新しいヘッドスパを外苑前に作ったのですが、そこではブレインウェルネス(脳の健康)に着目したヘッドマッサージをするんです。その際にも音楽は非常に大切。だから、ミュージックセレクターにより、脳に優しい楽曲をセレクトしていたりもしています」
主体的に音楽を聴く場所だからこそこだわりたい車内の音響
「車体が大きくて迫力があるけど、それを感じさせない運転のしやすさがありますね」といいながら新型“エスカレード”の試乗をはじめた中村氏。新型“エスカレード”には、36個の埋め込みスピーカーで360度サウンドを実現する、クラス最高峰のスピーカーシステムが搭載されている。これは、ウィーンで創業したプロフェッショナル用音響・録音システムメーカーの〈アーカーゲー〉がこのクルマのために開発したもの。“コンサートホールのような臨場感”と賞賛される立体的な音響空間に、中村氏もしばし身を委ねるように運転を楽しんでいた。
「音質のよさや心地よく感じられるバランスのよさはもちろんなのですが、これだけ高いレベルの音響システムが最初から備わっているところがいいですね。本当にマニアックな人は音響もカスタマイズするとは思うのですが、僕のようにそこまでではないけど心地よく音楽を楽しみたいタイプの人にとっては、基本装備としてハイレベルなシステムが備わっているというのはありがたいことですよね。クルマの中というのは、僕が能動的に音楽を聞こうと思う唯一の空間。お店でも音楽には接しますが、流れている音が自然に耳に入ってくるだけで、しかも自分で曲を選んでいるわけではないのでちょっと違うんですよね。だから、なおさらクルマの中の音楽環境というのは大切にしたいと思います」
心地よい音響に加え、安定感のある走りにも心が動いたようだ。
「世代的なものもあるかもしれませんが、最近の電気自動車だとどこか軽すぎるように感じることもあって、ちょっと物足りない印象を受けることもあるんですよね。その点、この“エスカレード”は車体にも走りにも重厚さと安定感があるし、それによって守られている感というか安心感のようなものも感じますね。しかも、大排気量のエンジンを搭載しているけど、車内はそれを感じさせない静かさ。こんなに大きい車体なのに、非常に乗りやすいクルマですね」
セミアニリン仕上げの本革を贅沢に使ったエスカレードのレザーシートの快適さを感じながら、運転席に乗り込んだ中村氏。前席にはメモリー機能付きの電動調整機構やマッサージ機構に加え、ヒーター&ベンチレーション機構も備わる
後席で音楽に集中したいときは、2チャンネルワイヤレスヘッドフォンを使うことも。〈キャデラック〉ロゴが入った専用デザインのものが2つ標準装備されている
36個の埋め込みスピーカーが、車内全体で360度サウンドを実現。クラス最高峰のスピーカーシステムが搭載されている
運転席と後席をつなぐマイクとスピーカーで会話をアシストする、会話補助機能には中村氏もビックリ。ドライバーの声が3列目シートでもクリアに聞こえるため、車内がこれほど広くても自然なコミュニケーションが取れる
ドアの開閉にあわせて作動する“パワーリトラクタブルアシストステップ”のおかげで、乗り降りもスムース
V型8気筒の大排気量エンジンを搭載しているため、回転を上げなくてもトルクフルな走りを楽しめる。静粛性が高い設計であることも相まって、音楽をよりクリアに楽しむことができるのも魅力だ
自分だけでなく乗っているみんなが楽しめる空間を!
音楽に関しては、クルマの中で聴く音楽に限らず、手掛ける店舗やシチュエーションによって異なる“立ち位置”の違いを意識しているという。
「たとえば、ミュージックバーのように音楽をじっくり聴いてもらう場所もあれば、会話を邪魔しない音量や選曲で、それが食器の音やお客さんの声とミックスされてひとつの空間を作り出すようお店もある。“音楽の立ち位置”というのはお店の形態によって全然違うものだからこそ、大切な要素だと考えています。それがクルマの中で聴く音楽になった場合も、ある意味同じこと。基本的には学生時代によく聴いた歌つきのハウスやストーリー性のあるソウルが好きなのですが、七里ヶ浜などにドライブに行くときは海っぽい曲だったり、日本のサザンオールスターズとかもよく聴きます。あるいは、テンション高くクラブやフェスに繰り出すときは、それにあった選曲でビートをズドンと効かせてみたり。選曲や聴き方は、そのときどきによって全く違ってきますね。『ミーハー仕事術』という本を書いたことがあるくらいだから、結局のところ、オールジャンルの曲を聴いています(笑)」
新型“エスカレード”のサウンドシステムは、前席と後席の声をマイクで拾って会話をアシストする会話補助機能がついているのも特徴。3列目シートに席を移してその機能を体験してみた中村氏も、運転席のドライバーの声がクリアに聞こえることに驚いたようだ。
「運転席に座っていると、後ろに乗っている人たちに対してどんなふうに音が聴こえているのかがわかりにくいですよね。でも、この会話補助機能を後席に座って使ってみたら、心地よく音楽を聴きながら、会話もスムースにできていました。僕自身は子供の頃から人を楽しませることが大好きで、それがレストランや空間をプロデュースするうえでの軸にもなっているのですが、クルマを運転するときも音楽によって一緒に乗っている人が楽しい気分になってほしいという気持ちがあります。今までクルマに乗ってきた経験の中で、乗っているみんなが快適に音を楽しめていたのかというのは、正直わからないんですけど(笑)。それが自然にできる空間という意味で、“エスカレード”は実に画期的だと思いますね」
試乗体験の後に、経験豊富なプロデューサーの目線で「“エスカレード”にはどんなドライバーが似合うと思うのか?」と問いかけると、ちょっと意外な答えが返ってきた。
「まず、この音響システムの質の高さからいって音楽が好きな人は絶対乗ってみる価値のあるクルマだと思います。ただ、その一方で、アメリカのSUVというとイカついイメージがあるけど、“エスカレード”はそういったステレオタイプなイメージとはまた違う魅力があるクルマなんですよね。スーツをビシッと着こなす人にも似合うエレガントさもあるし、逆にヒップホップ系のスタイルにもハマるようなファッション的な魅力もある。男性に限らず、ショートカットのお洒落な女性が颯爽と乗っていても素敵ですよね。個性が非常に強いクルマだからこそ、逆にそれが乗る人によってイメージを変えながら、ドライバーを引き立ててくれる。そんな不思議な魅力のあるクルマなのではないのかなって、僕は思いました」
中村氏率いるトランジットジェネラルオフィスがプロデュースしてきた店舗
キャデラック エスカレード スポーツ
●全長×全幅×全高:5400×2065×1930mm
●車両重量:2740㎏
●乗車定員:7名
●エンジン:V型8気筒 OHV
●総排気量:6156㏄
●最高出力:306kW(416ps)/5800rpm
●最大トルク:624N・m(63.6㎏・m)/4000rpm
●駆動方式:セレクタブル4WD
●トランスミッション:10速AT
●価格:1800万円~
●GMジャパン・カスタマーセンター
TEL:0120-711-276
URL:https://www.cadillacjapan.com/suvs/escalade
photo:Hinoki Nakayama(IL NIDO. STUDIO) text:Takumi Endo