〈ジラール・ペルゴ〉の限定コラボは
ノーインデックスな真っ黒ウォッチ!
日独交流160周年に、ジェームズ・ディーン生誕90年と様々なアニバーサリーが控えている2021年。それは時計業界も然り。で、そのひとつがスイスの名門〈ジラール・ペルゴ〉の創業230周年。1791年から時計作りを開始し、創業者一族のフランソワ・ペルゴはなんと幕末の日本でスイス時計の普及に尽力していたそう。そんな歴史あるブランドの新作が、こちらの1966 イースト・トゥ・ウエスト。洗練さが際立つ真っ黒ボディで、スタイリッシュなお姿は、うっとりするほど。その秘密はというと、文字盤にあるものがないから……!?
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〈ジラール・ペルゴ〉の新作は、1966 イースト・トゥ・ウエスト。「ずいぶんと、面白い名前だな」そう思った人も多いはず。こちらのモデルは、ブランドと日本との取引関係が結ばれてから160周年(2020年で)を記念した1本だから。前述したフランソワ・ペルゴが1860年に来日し、横浜にオフィスを構えたそう。もちろん、日本に拠点を置いたスイス人時計師は彼がはじめてだ。
その記念モデルを製作するにあたり、協力者となったのが文字盤に名が配されている〈ドクターロマネリ〉(DRx)。ブランドを率いるダレン・ロマネリは、ストリートウエアのデザイナーとして名を馳せる人物。彼は、異端児だったフランソワ・ペルゴに共感を抱き、かつ自身も日本と日本文化へ愛着を持っていたことから、コラボが実現。東西の文化に造詣の深い2つのブランドによって、記念すべき1本が製作されたというわけだ。
で、まず注目したいのが漆黒のボディ。ケースはステンレススチール製で、そこにブラックDLCを施し、最後にサンドブラスト加工で風合いを加味している。文字盤にはブラックオニキスを採用。天然石だけに円形に整えるのは至難の業。それを丁寧に職人が手作業で加工。そこに〈ドクターロマネリ〉のロゴを大きく配置している。12時位置にある〈ジラール・ペルゴ〉のロゴは、対照的にピンクゴールド製。ゴールドを採用した時分針と同様、贅沢なクラス感を演出している。
そして特徴的なのが、インデックスを配していないところ。秒針も同色のブラックなため、実にシンプルな表情。けれども、2つのブランドロゴが絶妙なアクセントになっていて、存在感をグッと後押ししている。控えめな部分と際立つ部分という対称性を備えている、“イースト・トゥ・ウエスト”=2面性というコンセプトを表現しているからだ。
日本限定18本。ケース径40mm、自動巻き、SSケース、アリゲーターストラップ、30m防水。132万円(ジラール・ペルゴ/ソーウインドジャパン)
クラシックなラウンド型ケースに、モダンなデザインを組み合わせた〈ジラール・ペルゴ〉のコラボウォッチ。
時計好きならば、どういう経緯で誕生したのか気になるはず。そこで、〈ジラール・ぺルゴ〉のパトリック・プルニエCEOにインタビュー。コラボ秘話と、230周年をむかえたブランドの今後の戦略について聞いてみた。
パトリック・プルニエCEO
−−〈ジラール・ペルゴ〉と〈ドクターロマネリ〉が歩み寄ったきっかけ、経緯を教えてください。
「ほかの〈ジラール・ペルゴ〉のコラボレーション企画と同様に、このコラボレーションは非常に自然な形で生まれました。私たちは重要な記念日を迎えていたので、私たちの価値観と日本の美意識を反映した完璧なタイムピースを作るための特別なパートナーを必要としていました。〈ドクターロマネリ〉は、過去に数々の有名ブランドとのコラボレーションを行い、日本文化を長年にわたって尊重してきたことから、東洋と西洋の完璧な架け橋となりうる人物であったわけです」
−−今回のコラボを足がかりに、さらに〈ジラール・ペルゴ〉としての新しいビジョンや戦略的なプランがあれば教えてください。
「このプロジェクトは、私たちがいくつかの分野で展開してきたグローバル戦略の結果です。それは、私たちが“〈ジラール・ペルゴ〉の3C”と呼びはじめたもの、『Continuity:継続性』『Consistency:一貫性』『Consumer:消費者』のアプローチに基づいています。
デザインという視点で見ると、常に〈ジラール・ペルゴ〉のアイデンティティに忠実です。クラシックなフォルムにひねりを加えて創造性を表現する新しい方法は、ブリッジ コレクションやロレアート、そしてこの1966コレクションのデザイン性をさらに高めています。
そして、今回のようなコラボレーションでは、私たちのコレクションに新たな美学を取りこめるうえ、新たに興味を抱いてくださる人へのアプローチも可能となるはずです。小売りの観点からいえば、ブランドに興味を持っている人が誰でも簡単に商品を見つけられるよう、タッチポイントが増えることになるでしょう。しかしながら、独自な存在であり続けることも重要なので、すべての〈ジラール・ペルゴ〉の商品が特別なものになるように、さらなる限定版の商品展開や、厳選された流通チャネルを使用するなど、様々な工夫をしていきます」
−−230周年を迎え、今後どのような顧客層にアプローチしようとしていますか?
「私たちの顧客ベースのビジョンは、個人のスタイル、興味、価値観に基づいた類型に焦点を当てています。私たちは幸運にも〈ジラール・ペルゴ〉のコアコレクションを持っており、美学、実用性、ストーリーテリングの世界において非常に多様性に富んでいるため、潜在的なお客様に幅広く対応することができます。
とはいえ、重要なのは、既存の顧客やオーディエンス(“知る人ぞ知る”人々)へのアプローチを続けることだけではありません。自分たちの好みやアイデンティティを表現する、そして現代的なラグジュアリーアイテムに興味を持つ新しいオーディエンスへのアプローチを少しずつ広めていくことです。私たちは100%本物であり、〈ジラール・ペルゴ〉の歴史に沿った方法でこれを行うように気をつけています」
−−新型コロナの影響で世界中が激変しました。これまでとこれからを比べて時計の販売方法は、どう変えていくべきでしょうか?
「当社は“クリック&モルタル”戦略を強く信じています。外部の小売業者や流通パートナーは、当社独自のサクセスストーリーの重要な構成要素であり、今後もそうであり続けるでしょう。2021年初頭にはEコマースを開始する予定ですが、これは既存の販売チャネルを補完するものだと考えています。今日の急速に変化する環境の中で関連性を保ち、成功を収めたいのであれば、ブランドがeコマースを避けてはならないということです」
どうです、CEOのコメントから今後の〈ジラール・ペルゴ〉の未来が伝わってきて、ますます興味を惹かれたのでは? とはいえ今回のコラボウォッチは、日本限定18本と希少なアイテム。争奪戦になることは、ご覚悟を!
●ソーウインドジャパン
TEL:03-5211-1791