〈オーデマ ピゲ〉が誇るアイコン“ロイヤル オーク”の魅力とは!?
50周年を迎えた名作時計が大人を魅了し続ける理由!Part1
“ロイヤル オーク”が誕生し、50周年を迎えた。ラグジュアリースポーツの始祖と称えられ、基本スタイルは当時から変わることはない。多くのフォロワーが現れても憧憬は薄れるどころか、むしろ高まり、入手困難の状況が続く。ここでは誕生エピソードや革新性、細部に注がれるクラフツマンシップを振り返り、名作であり続ける理由を探る!
伝説的デザイナーが手掛けた
時代を先行する時計!
ラグジュアリースポーツという新たなジャンルを開拓したこの名作時計の誕生を語るうえで、このデザイナーの存在は欠かせない。ジェラルド・ジェンタ。それは70年代という時代を背景に、時計の世界にもカウンターカルチャーの新風を吹き込んだ立役者だ。伝説的デザイナーが手掛けた革新的でタイムレスな時計、その物語に男心がくすぐられる。Gerald Genta
スイス人時計デザイナー(1931-2011)。ジュエリーでキャリアを積み、’60年代に〈オメガ〉の“コンステレーション”を手掛け、ウォッチデザインで頭角を現した。そしてロイヤル オークの成功で地位を確立し、以降〈パテック フィリップ〉のノーチラスなど傑作を数多く生み出した。
左が、ジェンタが依頼を受け、完成させたデザインスケッチ。当時の技術ではステンレススティール(SS)素材で実現するのは難しく、プロトタイプはホワイトゴールド(WG)で進められ、製作技術から新たに開発し当初のデザインと変わらぬスタイルを完成させた。そして、革新的なケース構造は特許を取得。薄さを損なわぬようケースは2ピースになり、クローズドバックの裏から貫通したビスでベゼルと連結する。ケースの正面構造や内蔵するパッキンなど防水性については発売以前に特許が申請され、承認まで約2年を要した。
時代は新たな時計の登場を待ち望んでいた。それは伝統的な高級時計も例外ではなかった。そこで〈オーデマ ピゲ〉は、革新的なステンレススティールウォッチの開発という英断を下した。抜擢したのがジェラルド・ジェンタだ。
依頼を受けたジェンタは、その夜を徹しデザインを仕上げた。完成したデザインは、異形ともいえる大径ケースに一体型ブレスレットを備え、八角形を描くベゼルには力強いビスが打ち込まれていた。それは、幼少期に見て深く記憶に刻まれたダイバーの潜水へルメットから着想を得たもので、後に“時計界のピカソ”と讃えられるようになる独創的なクリエイティビティはここに開花したのだ。
命運を賭けた一作につけられた名が、英国海軍の戦艦に由来するロイヤル・オークだ。17世紀にチャールズ2世が1本のオークの樹に身を隠して反乱の難を逃れ、王位を奪回。以来オークは英国で加護と安全と力の象徴になった。その栄誉ある名こそ新世代へと出帆する高級時計にふさわしかったのだ。
●オーデマ ピゲ ジャパン
TEL:03-6830-0789
雑誌『Safari』7月号 P94-95掲載
※記事内で紹介している商品はすべて税込みの価格です。
text:Mitsuru Shibata