コロナ禍や環境保護問題、デジタル化の加速など、ハイジュエリー界にも様々な変化が押し寄せている。そんな中、フランスを代表するハイジュエリーメゾン〈ブシュロン〉は、ブランドの魅力を伝えるためになにを重視しているのか。パトリック・マッラッチニ氏に聞いてみた。
「ブティック、メディア、キャンペーンなど、現代ではお客様とのタッチポイントが様々で、そのどれかひとつに限定されることはありません。だからこそ、イメージやメッセージに一貫性を持たせ、それを保つことが大切です」
〈ブシュロン〉はジュエリーを纏うことで叶える自己表現や、そのポジティブな姿勢を発信し続けているという。顧客たちはデジタル上でブランドのキャンペーンを目にすることに加え、ブティックやイベントなどのフィジカルな場を通してもその魅力に触れることができる。
「〈ブシュロン〉の独自性は2つのフィロソフィに基づいています。ひとつは革新性。常に叙情的で詩的な夢が出発点となり、それを叶えるために革新的な技術が生まれます。2つめは、ジェンダーを問わない新しい価値観を提供するアプローチです。そこには“ジュエリーは自分の個性を表現するためのもの”という創業以来の考えがあります」
また、エシカルな取り組みも顧客の共感を呼ぶものとして重要視している。
「2022年には、当社のダイヤモンドリングの証明書が新たに生まれ変わります。独自の認定基準は卓越した石選びを示すと同時に、ジュエリー業界の持続可能な発展のためにトレーサブルな原料調達に取り組んでいることを示すものです」
ブランドの革新は今も続いている。
〈ブシュロン〉
創業は1858年。フランス5大宝飾店(グランサンク)としてパリ・ヴァンドーム広場にブティックを構える。アイコンコレクションの“キャトル”や“セルパンボエム”は、タイムレスなデザインが魅力。コロナ禍の中、予約制のリモートショッピングサポートをローンチ。さらに今年はWEBサイトをリニューアルしeコマースを開始。大きな成果を上げている。
『Urban Safari』Vol.25 P7掲載