よく聞く“ビブラムソール”ってなにがそんなにいいのか?
スニーカーからブーツまで、よく見るのが、ソールに付けられた黄色いマーク。最近では、スポーツブランドからラグジュアリーブランドのシューズでまで見かけるとあらば、気にならないはずがない。とはいえ「一体なんなんだ?」と思っていた人も結構いるんじゃないだろうか。その名は“ビブラム”。イタリア発のソールメーカーだ。
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シューズのアウトソールにデザインされた、8角形の黄色いロゴ。そこに記されているのはシューズのブランド名ではなく、アウトソールのメーカー名。読み方は“ビブラム”。創業は1937年のイタリア。きっかけは、登山家ヴィターレ・ブラマーニ氏がスイスの山で遭難した際、レザーソールを履いていたメンバーが全員死亡。唯一ラバーソールを履いていたブラマーニ氏のみが生還できたという出来事。その後の事故を減らすため、ラバーソールの開発をはじめたのだ。
実はこの“登山靴のアウトソールが出自”というのが、後の大躍進の要因に。山は標高によって気圧、気温、そして路面状況が激変する。それら過酷な環境すべてに対応できるよう重ねられた研究は、登山靴用アウトソールメーカーとしての名を不動のものに。1965年の北米進出によって、ワークブーツ市場においても広く支持を獲得。以降、スポーツスニーカーやファッションシューズにも、幅多く採用されていった。
オリジナルでソールパターンを用意するブランドもあるが、多くのブランドがビブラムのアウトソールを採用するのは、やはり信頼性の高さから。’99年には、過酷なフィールドテストを行うテスターチームを発足。また、遡って’94年にはすでにエコ素材を積極的に採用していたのだから、その先見の明も今に通じるところがある。
カーレースの世界においては、クルマで最も大事なパーツにタイヤを挙げる人が多い。どれだけ強大なパワーのエンジンを積んでも、それを路面に伝えるタイヤの性能が低くては、台なしってわけ。ビブラムソールは、シューズにおけるいわばタイヤ。実はビブラムは、創業の際にイタリアのタイヤメーカー〈ピレリ〉の協力を得ていることもお伝えしておこう。
[ダナー]
DANNER
ソールはこんな感じ!
“ダナーライト” 6万500円(ダナー)
この名作の誕生もなかった!?
‘65年に北米でのライセンス契約を締結したビブラム。その後、1979年に同社のソールを採用し誕生したのが、このダナーライトだ。レザーとファブリックのミックスにより耐久性と軽量性を両立。ゴアテックス・ブーティで防水透湿性を高めるとともに、ビブラムのクレッターリフト・ソールによって、足裏全体で高いグリップを確保。
RED WING
ソールはこんな感じ!“2926 ソーミル”4万7190円(レッド・ウィング/レッド・ウィング・ジャパン)
ビブラムとともにある!
‘60年代頃からの〈レッド・ウィング〉では、ビブラムのアウトソールを採用したモデルが散見。その蜜月ぶりは今も変わらず、様々なモデルで採用されている。この1足は’70年代に登場したモデルで、〈レッド・ウィング〉本社があるミネソタ州の厳しい冬を想定したもの。耐水性の高いアッパーとストームウェルト、そして防滑性の高いビブラムのラグソールがタフさを物語る。
YORK
ソールはこんな感じ!
3万9600円(ヨーク/ヘムトPR)
スニーカーにもその存在が!
‘80年代からは、スニーカー市場へも積極的に参入したビブラム。登山靴などに使われるゴツくタフなアウトソールから一転、軽くクッション性を求めたアウトソールを生み出した。こちらのモデル“スタンレー2”では、一見フラットなソールながら、コーヒー豆のような独特なパターンによって高い防滑性を獲得。黄色いロゴが、ブラックワントーンのアクセントにも。
NEW BALANCE
ソールはこんな感じ!
1万4300円(ニューバランス/ニューバランス ジャパンお客様相談室)
自然とここのソールにたどり着く!
トレイルランニング用に開発された、“フレッシュフォーム ヒエロv6”。軽量でクッション性の高いフレッシュフォームをミッドソールに採用しつつ、アウトソールにはビブラムを採用。形状の異なる凹凸を組み合わせることで、様々な悪路での走破性を高めている。高い通気性とフィット感を両立させたアッパーとともに、ハイパフォーマンスな1足に。
BOLLINI
ソールはこんな感じ!
6万500円(ボリーニ/ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店)
スニーカー並みの快適さの融合!
キメ細かいスウェードアッパーに、ナローなシングルストラップ。ゴールドカラーのメタルバックル然り、その面持ちは実にエレガント。しかし、アウトソールは一転して実に機能的。超軽量にして高いクッション性を備えたビブラムのガムライトソールが、エレガントなルックスと長時間歩行でも疲れにくい歩きやすさとの両立を果たしてくれる。
ご覧のとおり、ブーツからスニーカー、ドレスシューズまで、ありとあらゆるシューズのアウトソールで採用されているビブラム。少々乱暴だが、ビブラムのソールはすなわち履き心地に矜恃を持ったシューズという証といえる。シューズ選びのチェックポイントとして、今後はアウトソールも見逃さなきよう!
●ダナー インフォメーション
TEL:03-3476-5661
●ニューバランス ジャパンお客様相談室
TEL:0120-85-0997
●ヘムトPR
TEL:03-6721-0882
●レッド・ウィング・ジャパン
TEL:03-5791-3280
●ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店
TEL:03-3423-2021
photo : Tomoo Syoju(BOIL) styling : Takumi Tagawa(remix) text : Masafumi Yasuoka