闘い続ける男に誰もが胸アツ!
シルヴェスター・スタローン映画5選!
肉体派アクションスターとして、約40年にわたり劇中で闘い続けているスタローン。その姿に、心揺さぶられた人も多くいるだろう。代表作『ランボー』シリーズの最新作が公開されるのを機会に、彼の闘いの歴史をプレイバック。傑作の5本をセレクトしてみた!
『ロッキー』
製作年/1976年 監督/ジョン・G・アビルドセン 共演/タリア・シャイア、バート・ヤング
伝説シーンが凝縮された傑作!
シルヴェスター・スタローンの代表作と誰もが認めるうえに、ボクシング映画としても最も人気の高い1作として、映画史に燦然と輝く。モハメド・アリの試合を見てアイデアが浮かんだスタローンが自ら脚本を執筆。
当時、俳優としては無名だった彼自身がロッキー役を演じた結果、主人公の挑戦とスタローンのスターとしての大ブレイクが鮮やかに重なった。その結果、アカデミー賞作品賞という栄冠までつかんだのである。
30歳を迎えて、ボクサーとしての夢を失っていたロッキー。しかし、世界ヘビー級チャンピオンのアポロが、無名のボクサーと対戦すると発表。その相手に選ばれたロッキーが、人生をかけてトレーニングに挑む。
ビル・コンティの音楽とともにフィラデルフィア美術館の階段へ向かう早朝ランニング、生卵の一気飲み、ラストのセリフなど、“伝説”となったシーンが多数。スタローンは、このロッキー役を、2018年の『クリード 炎の宿敵』まで、42年間演じ続けたことになる。
『ランボー/怒りの脱出』
製作年/1985年 監督/ジョージ・パン・コスマトス 共演/リチャード・クレンナ、チャールズ・ネイピア
究極のサバイバル戦に興奮!
2019年に最新作(日本は6月26日(金)公開)『ランボー ラスト・ブラッド』が完成するなど、スタローンにとってロッキーと並ぶ“生涯の当たり役”となった、ベトナム帰還兵のジョン・ランボー。シリーズが成功するかどうかのカギは2作めだといわれるが、このランボーも2作めの『怒りの脱出』が好きだというファンが多い。服役していたランボーが、自由と引き換えに与えられた任務は、今もベトナムのジャングルで捕虜となっているアメリカ兵の調査だった。
ベトナム時代の上官で、1作めにも登場した国防総省のトラウトマン大佐が「地獄はランボーの戦場」と語るように、この2作めはトラウマを作ったベトナムが舞台になることで、より過酷で壮絶な戦いが用意された。
ランボーといえば、弓矢の達人というイメージだが、そのアクションが確立されたのも今作。捕虜救出のミッションは怒涛のサバイバルになだれ込むが、現地の案内人であるベトナム女性との切ない恋も展開。シリーズでは珍しく、ランボーのキスシーンもある。
『オーバー・ザ・トップ』
製作年/1987年 監督/メネハム・ゴーラン 共演/デビッド・メンデンホール、ロバート・ロッジア
挫折をバネに立ち向かう姿こそ醍醐味!
妻子を残して家を飛び出したコンボイ運転手が、妻の病気をきっかけに10年ぶりに息子と再会。しかし父と息子の間には、深い溝ができあがっていた……。複雑な親子関係を、スポ根ストーリーと合わせて描く映画はよくあるが、今作の場合、そのスポーツがアームレスリングというのが斬新だった。
公開時の1987年、日本では“腕相撲”という名称が常識だったが、この映画によってアームレスリングという言葉も一般レベルで浸透。アームレスリング大会が盛んになるという、ちょっとした社会現象も起こした作品。
広大なアメリカを、コンボイトラックが疾走する。そんな映像からテンションが上がり、最大の見どころである“筋肉対決”は大盛り上がりの状態。スタローンの上腕には目がクギづけである。もちろん勝負の行方は、息子とのエピソードが左右し、定番の流れとはいえ、ストレートに感動を呼び起こし、目頭が熱くなる。
ロッキーやランボーもそうだが、今作で演じたリンカーン・ホーク役も、屈折や挫折をバネに強敵に立ち向かうという構図が、ほかのアクションスター以上にスタローンにはよく似合うと証明する。のちにプロレスラーとなり、日本のリングで活躍するスコット・ノートンも出演している。
『クリフハンガー』
製作年/1993年 監督/レニー・ハーリン 共演/ジョン・リスゴー、マイケル・ルーカー
高所恐怖症を克服して挑んだ山映画!
日本では年間トップ(1994年度)のヒットを記録するなど、スタローンのキャリアの中でも人気の高いのが、この山岳アクションだ。同僚の恋人を死なせてしまったレスキュー隊員のゲイブ。気落ちする彼にロッキー山脈からのSOSが届き、国際犯罪組織の罠に巻き込まれていく。
特殊効果は最小限に抑えて、徹底的に肉体のパワーを強調したスペクタクルが見もので、高所や山岳を舞台にしたその後のアクション映画は『クリフハンガー』を引き合いに出されることが常識となった。
『ランボー』のアクション撮影でケガをしたのがきっかけで、高所恐怖症になったというスタローン。そのトラウマを消すために、インナーマッスルと握力を鍛えて今作に挑んだ。絶壁の雪山を素手で、しかもTシャツ1枚で登るなんて、スタローン以外には不可能だとファンならずとも惚れぼれ!
もちろんスタントマンも大活躍。上空を行く2機の飛行機の間をワイヤーで渡るなど、信じがたい実写シーンも登場する。近年のスーパーヒーローのアクション映像を観慣れた人にとって、このリアル感は貴重。ややヒット作が少なくなってきた時期のスタローンにとって、一発逆転作品としても記憶にとどめておきたい。
『バレット』
製作年/2012年 監督/ウォルター・ヒル 共演/サン・カン、サラ・シャヒ、クリスチャン・スレーター
ベテランらしい抑えた演技が光る!
監督は『ストリート・オブ・ファイヤー』などのウォルター・ヒルで、スタローンとはこれが初の作品ながら、長年、親しい関係だったという2人。そうした信頼感から、監督はスタローンに“抑えた演技”も提案したという。そうした演出によって、スタローンの多くの主演作の中でも独特のムードが生まれたのが、この『バレット』だ。
スタローンが演じるジミーは、スゴ腕の殺し屋である元海兵隊員。少しだけランボーも連想させるが、裏社会に生きる男だ。そんな彼が、相棒を殺されたことで復讐の鬼と化す。敵に近づくため、ジミーが手を組むのは刑事のテイラー。殺し屋と刑事。普通なら協力することのない彼らがコンビとなるわけで、正義と悪の混沌とした世界へと進んでいく。
スタローンも邪悪さとヒーローの両面を好演。すでに60代半ばになっていたので、たしかに全盛期のような肉体のキレはない。しかし、わずかな動きと銃撃という“テクニック”で魅せる。いぶし銀の活躍を観てほしい1作だ。
Photo by AFLO