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CULTURE カルチャー

2024.08.09

マット・デイモン×ケイシー・アフレックが新作で共演!
「ケイシーには愛とリスペクト、信頼を感じてるよ(笑)」



現在のハリウッドで、その“友情”が作品に結実している2人といえば、マット・デイモンとベン・アフレックを思い浮かべる人も多いはず。彼らが新たに設立した製作会社、アーティスト・イクエティが、昨年の『AIR/エア』に続き、2本目のプロデュース作品を送り出す。それが 『インスティゲイターズ 強盗ふたりとセラピスト』だ。ただこの作品は、ベンの弟、ケイシー・アフレックが共同脚本。そのケイシーとマットが主演を務めている。つまりアフレック兄弟とマット、3人の友情の結晶でもある。

マット・デイモンは10歳の時に2つ年下のベン・アフレックと出会い、当時5歳だったケイシーも含めた“幼なじみ”の関係が現在まで継続。こうして映画で実を結んでいる姿は、それだけで感慨深い。 『インスティゲイターズ』は、ボストン市長が溜め込んだ不正資金を強奪する、痛快犯罪アクション。マットは、とある事情で大金が必要なローリー、ケイシーは前科者のコビーを演じ、とんでもない方向へ進む犯罪劇でそれぞれの持ち味を発揮している。どんな思いで作品に向き合ったのか。そして2人の現在の関係性についても聞いてみた。
 

 
ーー本作はまずケイシーが脚本に関わり、その後にマットの出演、そしてベンとマットが製作という流れだったそうですね。

ケイシー「はい。僕はつねに何かのプロジェクトに関わる際に、どうにかして彼ら(マットとベン)を巻き込めないかとアイデアを巡らせます。ただしマットのような俳優は、脚本で書かれたキャラクターにぴったりであることが条件になります」

マット「僕はケイシーの脚本家としての才能を知っていました。僕らは子供の頃から一緒に成長し、同じ教師に習ったりしてきたので、考え方が似てるんです。脚本に関しても哲学が共通してますしね」

ケイシー「マットのローリー役は当初、そこまで大きな役ではありませんでした。しかも無口なキャラクター(笑)。でも彼が引き受けてくれたので、その意向も聞いて役が膨らんでいったのです」

マット「脚本の変更いえば、ダグ・リーマン監督の参加も大きかったんじゃない? 最初のケイシーらの脚本では(全体を3部構成として)第3幕がうまく機能してないと感じてました。ダグの意見も聞いて、人物の会話などを変更していったら面白い脚本になり、僕も一緒にやりたいと決意が固まりましたよ」
 
  

 
右:マット・デイモン/1970年10月8日生まれ。『ミスティック・ピザ』(1988年)で映画デビュー。待機作はネットフリックスの新作でベン・アフレックが監督を務める『Animals(原題)』 左:ケイシー・アフレック/1975年8月12日生まれ。『誘う女』(1995年)で映画デビュー。待機作はローレンス・フィッシュバーンと共演するSFスリラー『Slingshot(原題)』

ーーダグ・リーマン監督といえば、マットは2002年の『ボーン・アイデンティティー』(『ボーン』シリーズの1作目)で組んだ経験がありますよね。

マット「『ボーン・アイデンティティー』で思い出すのは、ダグが僕ら俳優に“ムードボード(監督のアイデアをビジュアル的にコラージュしたもの)”で演出意図を伝えてくれたこと。映画が完成した後、そのムードボードを見返すと、監督の目的がよくわかるんです。だから今回も僕らは、ダグの意図を汲むように細部まで注意を払いながら演技をしました」

ケイシー「ダグは本作の監督に最適でした。得意ジャンルがさまざまで、特に友情を描くのがうまいからです。僕は20歳の頃、ダグの『スウィンガーズ』を映画館で観たのですが、あまりに感動して翌日にもう一度観に行ったくらい。ダグの起用についてマットに相談したところ、『依頼するべきだ』と賛成してもらいました」
 

 
ーー今回あなたたちが演じたのは、人生が切羽詰まった状況で犯罪に手を染めるという、ちょっと悲哀を誘うキャラクターです。演技のアプローチに何か秘訣はありましたか?

マット「その人物が置かれている状況に対し、正直になるだけです。そうすれば映画を観る人も共感してくれるはずなので。(演じた)ローリーのように“困ったら犯罪に手を貸そう”と共感してほしいわけじゃありませんけど(笑)」

ケイシー「ローリーは、お金のために何でもしようとするけれど、その根底には父親としての愛情が貫かれていて、マットはそこをうまく表現したと思います」

マット「今のこの時代、心に不安を抱えている人も多いから、ローリーの気持ちもわかるでしょう。一方で本作はコメディ要素も強いので、楽しく笑いながら観てテーマを受け止められるはずですよ」

ケイシー「そうだね。カーチェイスや強盗撃など多くのことが起こる映画で、ユーモアもたっぷり含まれているいるし、登場人物も迷子のようになったりして、それらがすべて僕らの演技を導く光になった気がします。そのうえで演じたキャラがつねに“その人らしく”存在することを心がけました」
 
 
ーー『AIR/エア』のようにベン・アフレックが出演する可能性はなかったのですか?

マット「僕自身、つねにベンがキャストの一人になってほしいと願っています。でも今回、(ボストンとその近郊での)撮影期間中、ロサンゼルスの僕らのオフィスを取り仕切る人が必要で、ベンには残ってもらいました。それでも彼は脚本の草稿を読んだり、ポストプロダクションでは編集などにアドバイスしたり、プロデューサーとしてしっかり仕事をしていますよ」
 
 
ーーお二人は2002年に共演した『GERRY ジェリー』で共同脚本も務めました。その後、他にも共演作(「オーシャンズ」シリーズ、『オッペンハイマー』)を経て、関係性は変わっていきましたか?

ケイシー「マットの俳優としての成長は実感してきました。映画史上に残る何人もの名監督と仕事をしてきましたよね? ただ僕らの関係はあまり変わっていません。『GERRY ジェリー』の時におたがいを信頼し、一緒に創造的になる関係が築かれました。もちろん意見の対立はありますが、それによって関係性が壊れたりはしません。アイデアが気に入らなかったら別のアイデアを出して議論し、その際に自分のエゴは主張しないんです。あくまでも作品が良くなるよう意見を闘わせる感じ」

マット「僕もケイシーとは43年の付き合いになるけれど、彼からエゴを感じたことはありません。エゴはクリエイティブの大敵です。ケイシーには愛とリスペクト、信頼を感じてる、ってことでしょう(笑)」

Apple Original Films『インスティゲイターズ 強盗ふたりとセラピスト』8月9日配信
製作ベン・アフレック 製作・出演/マット・デイモン 監督/ダグ・リーマン 脚本・出演/ケイシー・アフレック 脚本/チャック・マクリーン 出演/ホン・チャウ、 マイケル・スタールバーグ、ヴィング・レイムス 配信/アップルTV

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取材・文/斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
画像提供 Apple 
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