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CULTURE カルチャー

2023.09.26


映画『ジョン・ウィック コンセクエンス』を10倍楽しむために、知っておきたいキアヌ・リーヴスのこと。【前編】

 

 
キアヌ・リーヴス
『ジョン・ウィック コンセクエンス』(2023年)

最新主演作にして、人気アクションシリーズ待望の第4弾『ジョン・ウィック コンセクエンス』が日本公開されたばかりのキアヌ・リーヴス。40年近いキャリアを誇り、ハリウッドの第一線に今も君臨するスター。ゴシップ誌にセレブ的に取り上げられたり、インターネットミームとして“いい人”ぶりが取りざたされたりなど、外野の声が尽きないのは人気者の宿命と言えるだろう。

とにもかくにも、キアヌは世界中で愛されている俳優であることは間違いない。そんな彼の魅力を、3回に分けて振り返る。1回目の本稿は基本事項でもある、彼の俳優としてのキャリアを改めてたどってみよう。 

 
 

 
キアヌ・リーヴス
『旅立ちの季節/プリンス・オブ・ペンシルバニア』(1988年)

1964年9月2日、レバノンに生まれ、子ども時代の多くの時期をカナダで過ごしたキアヌは1984年頃から俳優業に本格的に取り組むようになり、テレビ作品や映画の端役として役を得て、『旅立ちの季節/プリンス・オブ・ペンシルバニア』(1988年)をはじめとする低予算映画で主演を務めるようになっていく。

アメリカでブレイクするきっかけとなったのは、アレックス・ウィンターとともに主演を務めた青春コメディ『ビルとテッドの大冒険』(1989年)の大ヒット。ロックスターになりたい高校生コンビが、ひょんなことからタイムマシンを手に入れて、歴史の授業の落第を回避しようとする……という、かなりナンセンスなお話。しかし、キアヌが演じたバカキャラがウケて、彼は一躍、注目の若手俳優となり、1991年に続編『ビルとテッドの地獄旅行』でも同役に挑む。2020年には実に29年ぶりのシリーズ最新作『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』も作られた。
 

 
キアヌ・リーヴス
『バックマン家の人々』(1989年)

日本でも、この映画の公開以後、人気が高まっていったが、それを押し上げたのは同作以外の作品に依るところが大きい。端役出演した『危険な関係』(1988年)や『バックマン家の人々』(1989年)、主演を務めた『ハート・ブルー』(1991年)や『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)などでのイケメンぶりが大きくモノを言った感。当時の映画雑誌も、今後が期待される美男スターとして推していた。
 

 
キアヌ・リーヴス
『スピード』(1994年)

そんなキアヌを一気に世界的なスターに押し上げたのが、『スピード』(1994年)だ。ノンストップのスリルが持続するこのアクションで、爆弾テロを追跡する若きSWAT隊員を熱演。アクションで主演を務め、それを成功に導くのは俳優にとって王道の出世路線。キアヌはヒーローになりきって、見事にそれをクリア。キアヌ・リーヴスの名は映画ファンだけでなく、広く一般に浸透していった。

これを上回る成功を収めたのがサイバー世代のアクション『マトリックス』(1999年)。この世界にそっくりのバーチャルリアリティと暗黒の現実世界を股にかける本作で、キアヌはハイテクの力を借りて超絶アクションを披露。デジタルの時代のアクションヒーローへと進化していった。こちらも2003年に『マトリックス リローデッド』『マトリックス レボリューションズ』という2本の続編が作られ、2021年には第4弾『マトリックス レザレクションズ』が発表された。

ここでピークを極め、その後はヒット作に見放されていた時期もあるキアヌだが、アクションに出演すると、やはり映える。凄腕の殺し屋の復讐を体現した『ジョン・ウィック』(2014年)はソコソコのヒットにとどまったが、評判が評判を呼び、シリーズ化によって人気が沸騰。回を追うごとに右肩上がりの興行成績を収め、2023年の最新作『ジョン・ウィック コンセクエンス』はシリーズ最高の全米&世界興収をマークしている。

キャリアの分岐点となったのはアクションであるため、本稿はそれに偏ったが、言うまでもなくキアヌは他のジャンルにも意欲的に挑んでいる。次回コラムでは、それらについて触れようと思う。(中編に続く)
 

 

 
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文=相馬学 text:Manabu Souma
Photo by AFLO
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