お酒を飲んだ方が仕事の効率が上がる理論を実践!?『アナザーラウンド』
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夏の暑さもピークを過ぎ、そろそろ秋の気配。そうなると劇場公開の映画も、大人向けの名作が目立つようになる。この『アナザーラウンド』は、今年のアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した一作。前年に『パラサイト 半地下の家族』が受賞した賞なので、面白さは確約されている!?
この映画、基本のシチュエーションに、まずソソられる。「人間は血中アルコール濃度を0.05%に保つと、仕事の効率も上がり、想像力も豊かになる」という理論が実践されるのだ。0.05%というのは、つまりホロ酔い状態。ヘミングウェイやチャーチルなど過去の偉人もつねに飲み続けていた……ということで、主人公の高校教師マーティンとその仲間たちが試したところ、それまでソッポを向いていた生徒たちも授業に夢中。マーティンはぎくしゃくしていた家族との関係も改善されるなど、いいことずくめ! 果たしてこの理論は本当に正しいのか。中年男たちの痛快なチャレンジは、思わぬ方向へ突き進んでいく。
本作はデンマーク映画。デンマークでは、ビールやワインが16歳から店で購入できるということで、高校生たちが飲みまくって大騒ぎするシーンもある。マーティンの仲間の教師が、悩める生徒に飲酒を勧めるなんて、日本ではありえない指導にもびっくり。マーティン役は『007』シリーズやマーベル作品にも出演し、日本でも大人気のマッツ・ミケルセン。もちろん撮影はシラフで挑んでいるが、うっかり教室の柱にぶつかったり、ホロ酔い状態のマッツの演技はあまりにリアルだ。各国の政治家が公式の場で明らかに酔っ払っている映像も笑える。お酒は、ほどほどがいいのか。たまには思いっきり泥酔するのも悪くないのか。中年男たちの姿から、最後は「人生を心から楽しむべき」というメッセージが伝わってくるはず!
『アナザーラウンド』
監督・脚本/トマス・ビンターベア 脚本/トビアス・リンホルム 出演/マッツ・ミケルセン、トマス・ポー・ラーセン 配給/クロックワークス
2020年/デンマーク/上映時間115分
9月3日(金)より公開
(C)2020 Zentropa Entertainments3 ApS, Zentropa Sweden AB, Topkapi Films B.V. & Zentropa Netherlands B.V.