パリの格差社会に胸を衝かれる!『レ・ミゼラブル』
今年のアカデミー賞で、『パラサイト 半地下の家族』と最後まで国際長編映画賞を争ったのが、この作品。タイトル自体は、有名なビクトル・ユゴーの小説や、記憶に新しいヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画と同じだが、内容は全く別物。フランスの“今”を見つめた衝撃の1本になっている!
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『レ・ミゼラブル』
胸熱なポイントは?
”犯罪多発地区で生きる子供たちのたくましさにジ~ン!”
舞台となるのはパリ郊外のモンフェルメイユという地区。ユゴーの小説『レ・ミゼラブル』でも背景になった場所。移民や低所得者が多く暮らし、まさに格差社会を象徴するような地区だ。パトロールする警官たち、麻薬売人やムスリム同胞団、犯罪行為も繰り返す少年グループの過激を極める運命を描いていく。
冒頭は、サッカーワールドカップ優勝に熱狂するパリ市民の人々。その様子から、郊外の現実へ一転するのだが、少年たちが悪さをしながらも、そのノリは軽快。そのため深刻にならずに観ていられる。その演出がなんともうまい!
警官の失態を少年グループがドローンで撮影してネットに流そうとしたり、警官にも加害者の側面があったりなど、一筋縄ではいかないモンフェルメイユをスリリングかつテンポよく展開。といっても、なぜ細部にわたってこんなにまでリアリティがあるかというと、実は監督が同地区の出身だから。その場に引きずりこまれる感覚を味わえるのは、そんな理由からかもしれない。
そして、すべてが爆発するクライマックスは、怒涛のカメラワークと、俳優たちの生々しすぎる熱演が相乗効果を発揮! 観終わってしばらくは呆然とし、そのまま劇場を出ることになるだろう!
『レ・ミゼラブル』
監督・脚本/ラ・ジリ 出演/ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ、ジェブリル・ゾンガ 配給/東北新社、スター チャンネル ムービーズ
2019年/フランス/上映時間104分
2月28日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー。
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