『デッドプール2』『ビューティフル・デイ』
ライアン・レイノルズ主演の『デッドプール2』と、ホアキン・フェニックスが魅せる『ビューティフル・デイ』をピックアップ!
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物語で選ぶ編
ムネアツなポイントは? “遊び心にあふれたヒーローアクション!”
『デッドプール2』
とにかくおしゃべりで、自分のことを“俺ちゃん”と呼ぶお茶目な性格ながら、超カゲキなアクションを披露し、ヒーローとしての常識を覆したデッドプール。世界各国はもちろん日本でも“まさか”のブームを巻き起こした彼が、2年ぶりにスクリーンに帰ってきた。前作の大ヒットで製作費は大幅にアップしたが、過剰さと、いい意味での中学生レベルの“くだらなさ”は健在、というより加速!? ファンにはうれしい続編となった。
前作のラストで愛するヴァネッサを救い、彼女とのラブラブな生活を送っていたウェイド・ウィルソン。デッドプールの姿で危険な任務をこなす彼の前に、タイムトラベルで未来からケーブルという怪人が襲来する。ケーブルの目的は、ミュータントの孤児院で暮らすラッセルという少年を捕らえること。それを阻止するべく、デッドプールは超人メンバーをリクルートして“Xフォース”なるチームを結成する。が、募集して集まったのは……。と、前作のメンバーに加え、さらに奇抜なキャラが大量に投入される。
短めながら日本も登場するオープニングから、エンジン全開。いきなり衝撃的な事件が起こるなど、はっきり言って予想を超えていく展開。有名映画へのオマージュも満載で、最高に楽しい“特別出演”も用意されている。ライアン・レイノルズ、パトリック・スチュワートなど現実の俳優の名前が当然のように登場するし、デッドプールが“ここで1曲!”などとバックに流れる音楽を指示するなど、遊び心にあふれたサービス精神はアッパレとしか言いようがない。
日本人キャストの忽那汐里にも注目を。出番はそれほど多くないが、ピンクのヘアでキュートな魅力をまきちらし、デッドプールにも気に入られる“ユキオ(女性)”というキャラを楽しそうに演じている。超クールな能力を発揮するなど、本作で世界的な知名度もアップしそうな活躍ぶりだ!
全編、おちゃらけた描写と、豪快なバトルが目立つ。しかし感動シーンもすんなりハマっているから、脚本にも参加した主演ライアン・レンノルズの才能と苦心には感心するばかり。“作りたいものを作る”という意思が、この続編にはあふれているのだ。ライアンのキャリアを知る人にとって、エンドクレジットに挿入される映像はとても微笑ましく思えるので、最後までお見逃しなく!
『デッドプール2』
監督/デヴィッド・リーチ 出演/ライアン・レイノルズ、ジョシュ・ブローリン、モリーナ・バッカリン 配給/20世紀フォックス映画
2018年/アメリカ/上映時間120分
6月1日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation.
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
セレブで選ぶ編
ムネアツなポイントは? “凄みが増したホアキン・フェニックスに魅了される!”
『ビューティフル・デイ』
是枝裕和監督の『万引き家族』がパルム・ドールを獲得したカンヌ国際映画祭。昨年、同映画祭で男優賞と脚本賞を獲得し、話題を振りまいたのが本作『ビューティフル・デイ』だ。主演は、ホアキン・フェニックス。やたらとすごい目力が影響してか、イケメンというよりは『グラディエーター』のコモドゥスのようなクセのある役を多く演じてきた。そのため、俳優というより“怪優”という印象が強いのだが、本作ではその怪しい部分が、役柄に見事にマッチ。観る者に、とてつもない感動をもたらしてくれる!
ホアキンの役どころは元軍人で、行方不明者を探す仕事を生業にしているジョー。ある日、上院議員の娘の捜索を依頼され、ある組織から娘を見事に救い出す。しかし、依頼者が自殺したことで事態は急転。ジョーも何者かに襲われ、娘を奪われてしまう。そのうえ、仕事仲間や家族にまで危険が迫ってしまう。
ジョーはPTSDに苦しみ、常にフラッシュバックに悩まされている中年男だ。この闇を抱えた人間を、ホアキンが好演している。繊細な心の機微を表現する上手さは、『ザ・マスター』や『her 世界でひとつの彼女』でも証明済みなのだが、本作ではその凄みがさらに増したような印象を受ける。くたびれた表情も、ホアキンにしか出せない大人の男の味わいがにじみ出ていて、実にかっこいいのだ。
『レオン』を思わせる孤独な男と少女との絆の物語に、スタイリッシュな映像美と印象的な箇所はほかにもあるのだが、もうひとつ特筆しておきたいのが音楽だ。『ファントム・スレッド』で、オスカーにノミネートされたジョニー・グリーンウッド(レディオヘッド)が、キャラクターの心情などをソリッドな音で的確に表現。ややもすれば単調になりそうなドラマをスリリングで刺激ある作品に昇華させている。
『ビューティフル・デイ』
監督/リン・ラムジー 出演/ホアキン・フェニックス、ジュディス・ロバーツ、エカテリーナ・サムソノ 配給/クロックワークス
2017/イギリス/上映時間90分
6月1日より、新宿バルト9ほか全国ロードショー