映画『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』は上質な演技のアンサンブルが心地いい!
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ここ数年、ハリウッド作品は特大ヒットを狙えるフランチャイズと、映画マニアをうならせるアート系の二極化がさらに進んでいる印象。その傾向によってあまり目にしなくなった映画のタイプが、実力派スターによる大人のドラマやラヴストーリーだ。本作はそんな状況にちょっと不満のある人を喜ばせるはず。
基本はカップルと、彼らの親世代の4人が奏でる計6人のドラマ。恋人のアレンとの結婚を望んでいるミシェル。しかしアレンの態度は煮え切らず、ミシェルは振り回されている気分を味わう。一方、ハワードとモニカは不倫関係にあるようで、ベッドで口論している。そして映画館で出会ったサムとグレースは、その場で意気投合。歩きながらホテルへ行こうか迷う。この6人がどのような関係になるのか。できればここから先は知らないで本作を観れば、6人の“運命”に驚き、笑いながら、最後はホッコリとした気分になるだろう。
ダイアン・キートン(グレース役)、スーザン・サランドン(モニカ役)というオスカー女優の貫禄の共演。『ファーゴ』や『ブギーナイツ』などの名脇役ウィリアム・H・メイシー(サム役)の軽妙なサポート。そしてリチャード・ギア(ハワード役)の相変わらずダンディの極みともいえる存在感……。彼らの会話は上質な舞台劇を観ているかのよう。そこにジュリア・ロバーツの姪であるエマ・ロバーツと、『ハートブルー』のリメイクである『X-ミッション』で主演コンビの一人だったルーク・ブレイシーが溌剌としたエネルギーを加味。それぞれの結婚観や人生観に、いちいち頷いたり、“そうじゃないだろ!”とツッコミを入れたりしながら、6人の誰かの立場に自分を重ねながら観てしまう人も多くいるに違いない。上質な演技のアンサンブルが心地いいので、ハリウッドでこのジャンルの映画がもっと作られてほしいと、改めて感じてしまう。
『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』3月8日公開
製作総指揮・出演/ダイアン・キートン 製作・監督・脚本/マイケル・ジェイコブス 出演/リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレンシー、ウィリアム・H・メイシー 配給/AMGエンタテインメント
2023年/アメリカ/上映時間95分
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