世界は救わないアンチヒーローの破壊ぶりが痛快すぎる!『ブラックアダム』
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スター俳優たちがスーパーヒーロー役に挑むことが“常識”となった現在のハリウッド。そんな状況に満を持して乗り込んできたのが、あのロック様、ドウェイン・ジョンソンである。ただでさえ無敵を誇る彼が、超人的パワーを託されたらどうなるのか? 期待に応えるその雄姿は必見だ。
ブラックアダムとは、5000年もの眠りから目覚めた“破壊神”。一応、ヒーローキャラなのだが、人類のために戦う意思はゼロ。最愛の息子の命と引き換えに手に入れたのが、呪われた最強パワーであり、現代に甦った彼が、スーパーヒーロー軍団を相手に空前絶後のバトルを繰り広げる。
主人公が、いわゆるアンチヒーローでそこだけでも斬新だが、戦う面々も、空中飛行のエキスパートだったり、巨大化したり、嵐を操ったり、未来が見える魔術師だったり……と、多種多様な能力で対抗。それぞれの見せ場が用意されているので、アクション映画ファンのどんな欲求も満たす作り。そのすべてに応戦するブラックアダムのパワーに、ひたすら驚き、酔いしれることになる。
ドウェイン・ジョンソン自身、長年、このブラックアダムを愛してやまなかったので、今回の主演は悲願の達成。悪の香りを漂わせつつ、皮肉屋で変に正義感が強かったりと、観れば観るほど憎めなくなるムードは、ドウェインそのもの。まさに最高レベルの当たり役! 全米では彼の主演作として最高のオープニング記録を残したのも納得だ。DC作品として、スーパーマンなど他のヒーローとの今後の絡みも予感させる『ブラックアダム』だが、作品としては信じがたいスピード感とテンポで進んでいく。
ドラマ自体、寄り道は極力少ないし、アクション場面の映像も瞬殺的な編集によって、どんどん見せ場が繰り出される印象。余計なことを考えさせない勢いにのまれ、上映時間124分とは思えないほど、ものすごい量を味わった満腹感。“息もつかせぬ”というヒーローアクション映画の、これはひとつの理想形かも!
『ブラックアダム』12月2日公開
製作総指揮・出演/ドウェイン・ジョンソン 監督/ジャウマ・コレット=セラ 出演/ピアース・ブロスナン、オルディス・ホッジ、ノア・センティネオ、サラ・シャヒ、マーワン・ケン ザリ、クインテッサ・スウィンデル、ムハンマド・アーメル配給/ワーナー・ブラザース映画
2022年/アメリカ/上映時間124分
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