限られた人しか楽しめません……。そんな条件が出されると、人はますます欲求が高まってしまうもの。本作の舞台になっているのも、ごくわずかな人だけが足を踏み入れられる“隠れ家”レストラン。その設定だけで観たくなる人は多いはず!
カリスマといわれるシェフ、ジュリアン・スローヴィックが斬新な料理を出すレストランは、孤島でひっそりと営業していた。世界中から美食家が訪れるので、予約を取るのは至難の業(わざ)。この日も、選ばれた12人の客が1250ドルというフルコースを味わうために船でレストランへ向かうのだが……。
伝説のシェフによる極上のメニューとは、どんなものなのか? われわれ観客も客の気分になって目の前に出てくる斬新&大胆な料理に目を奪われ、その味を想像して悶絶してしまう。そんなシチュエーションの本作だが、じつは各メニューには信じがたいサプライズも用意されていたりして、どんどん不穏な空気が漂っていき、気がつけばそのレストランの秘密に衝撃を受け、目を疑うような事件も発生。ここまで予想外の展開に突き進む映画も珍しい。
集められた客は、ちょっとワケありのカップルや、かつて有名だった俳優、IT業界の金持ち、グルメ評論家や記者など、プライドが高そうな面々。彼らを上から目線で案内する給仕長の怪しげなムード、料理の写真を撮ってはいけないルールなど、違和感が積もっていく演出から目が離せない。
キッチンをはじめレストランのインテリアが魅力的だし、何を考えているかわからないシェフ役のレイフ・ファインズ、運命のカギを握る客のアニャ・テイラー=ジョイら、キャストたちの名演・怪演など全編に見どころが用意される。もちろんレアな食材をたっぷり使った料理、その美味しさまで想像させる映像も一級品で、終盤の“あるメニュー”なんて、映画を観終わった瞬間、速攻で食べに行きたくなるほど!
『ザ・メニュー』
製作/アダム・マッケイ、ウィル・フェレル 監督/マーク・マイロッド 脚本/セス・リース、ウィル・トレイシー 出演/レイフ・ファインズ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、ジョン・レグイザモ 配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン
2022年/アメリカ/上映時間107分
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