映画は、やはりスターの競演で楽しみたい。そんな人にうってつけなのが『アムステルダム』だ。しかも、その“オールスター感”が半端じゃないので、ハリウッドの層の厚さを改めて実感する、最高のチャンスになるだろう。
第一次世界大戦で負傷したバートとハロルドが、従軍看護師のヴァレリーに助けられる。3人は意気投合して、アムステルダムで一緒に暮らしはじめた。その後、離ればなれになった彼らだが、バートとハロルドが殺人の容疑者となったことで再会。世界の運命を変える陰謀に対し、3人は結託して攻防する。“ほぼ実話”をベースにした驚きのストーリー。1930年代を再現した街並みやファッションが鮮やかで、観ているこちらもその時代に一気にトリップしてしまう。やがて戦争を利用する拝金主義の影がちらつくシリアスな設定なのだが、基本はアクションあり、コミカルな要素もありのエンタメ作品だ。
医師になったバートを演じるクリスチャン・ベールが義眼も強調したインパクト大の芝居をみせ、弁護士のハロルド役、ジョン・デヴィッド・ワシントン(『TENET テネット』)、事件の核心へと導くキーパーソンのヴァレリー役のマーゴット・ロビーと、メイン3人の息の合った掛け合いが見どころ。とにかくアップが多用され、スターたちが顔の演技で圧倒する。そのほかにも後半でカリスマ的な見せ場を任されるロバート・デ・ニーロ、つねに怪しい存在感のラミ・マレック、ここ数年、大躍進の個性的ビューティーのアニャ・テイラー=ジョイ……と、有名どころが激しく演技の火花をちらす。脇役にも「あの人が!」という発見があったりも。その中でテイラー・スウィフトが、自身の魅力をあえて封印し、役者に徹していたりして、想定外のパートで楽しませてくれるのも本作の魅力だ。
『アムステルダム』10月28日公開
製作・出演/クリスチャン・ベール 監督・脚本/デヴィッド・O・ラッセル 出演/マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド・ワシントン、クリス・ロック、アニヤ・テイラー=ジョイ、ゾーイ・サルダナ、ロバート・デ・ニーロ、ラミ・マレック、テイラー・スウィフト 配給/ディズニー
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