【編集長試乗】やっぱり出来が違う!
新型レガシィ アウトバックは、一体なにがスゴイのか?
7年ぶりにニューモデルとして登場した7代目レガシィ アウトバック。ご存知のとおり北米でも圧倒的な人気を誇る〈スバル〉ブランドの1台だが、“New Luxury”を掲げるこの新型は、果たしてどんなキャラクターを持つモデルなのか? 今回は、長年『Safari』でクルマ担当を務める『Safari Online』編集長と、10年以上〈スバル〉を乗り継ぐ“スバリスト”のヘアメイクアップアーティストがさっそく乗車。新型レガシィ アウトバックで気になるポイントをチェックしながら、リアルなインプレッションをご紹介!
『Safari online』編集長 藤原 晃(右)
ファッションやライフスタイルに精通しながら、様々なクルマを国内外で試乗。その経験値と審美眼が光る。
ヘアメイクアップアーティスト 堀 紘輔(左)
+nineに所属。現在の愛車は〈スバル〉レヴォーグSTIスポーツ。〈スバル〉車特有の水平対向エンジン以外のエンジンには違和感を覚えてしまうほどの“スバリスト”。
まずはエクステリアをチェック!
堂々としたボディは風格が違う!
藤原 晃(以下、藤原):クルマのキャラクターって、当然エクステリアにも滲み出てきますよね。新型レガシィ アウトバックを見てまず感じたのは、堂々とした風格です。大半のSUVは背が高くて、それなりに存在感があるのですが、このクルマから感じるのはそれ以上のもの。精悍なボディの中にある堅牢な骨格が想像できるんです。足元にもしっかり感があります。ホイールは18インチで、タイヤの扁平率は60ですね。タイヤまわりが小さく見えるとヤワな感じがしますが、このクルマにそんな印象はありません。走破性の高さが見た目にも窺えるし、全方位、いつ見てもとにかく“頼れる”感じがします。堀さんはどうですか?
堀 紘輔(以下、堀):
そうですね、確かに。やっぱり“頼れる”感じは〈スバル〉ならではですね。自分は別の〈スバル〉車に乗っていますが、この新型レガシィ アウトバックも〈スバル〉らしいデザインが貫かれている点に惹かれます。それはフロントもリヤもそうです。でも藤原さん、やっぱり気になるのは乗り味ですよ。さっそく乗りましょう!
気持ち良さを実感できる余裕の走り!
藤原:う~ん、余裕ありありですね。今回走る道は、なだらかにアップダウンがある道ですが、新型レガシィ アウトバックの走りはとてもスムースです。トルクを感じながら、余裕のある走りが楽しめるという感じで、まさに自然体の走り。これは気持ちがいいです。低速でトルクが太いというのも魅力ですね。1.8ℓの水平対向ターボエンジンを積んでいますが、300N・mある最大トルクは1600~3600rpmの領域で出ちゃうんですものね。
堀:最も普段使いする、時速40kmから100kmの間で最もトルクが感じられる仕様になっているそうです。
藤原:なるほど~、そういう仕立てですね。それにクロスオーバーSUVだから、ある程度の車高があるのに、コーナーではあまりロールしないんですね。決して足元が硬くないのにフラット感があるというか。走ってみるとボディ剛性の高さも実感できます。背が高いために変にふらつくSUVもある中で、これは走りに安定と安心を感じますよ。それにパドルシフトがちゃんとついているのも僕なんかは嬉しいです。「スポーティな走りも是非楽しんでよ」って言っている気がして。効率よくエンジンブレーキを効かせて安全に走るほかに、実際2速~4速を使ってコーナーを楽しみたいときってあるじゃないですか。ゆっくりも楽しくて、その気になったらもっと楽しい、みたいな。
堀:そうですね。自分も新型レガシィ アウトバックはちょっと背が高いのに、ロールが少ないのに驚きました。だって、コーナーを曲がる際にカラダが持って行かれるのは怖いですから。それがこのクルマには全くない。しかもしっかり、しっとり効いてくれるブレーキフィールもいいです。停車するときにノッキングがないのがいいですね。これなら子供たちもクルマ酔いしなさそうです。
藤原:走りにクセがないのがいいです。運転慣れしていない女性をはじめ、どんな人でも運転しやすい。そうそう、運転中は外がとても見やすいですよ。本当に見晴らしがいいので、これなら遠出した際に海や山の景色を楽しみながら会話も弾むってものです。また、世田谷など、都内の細い路地を曲がる際にも見切りがいいし、安心感が違うんじゃないでしょうか。車内空間が広いので自然とリラックス気分になれるし、ストレスを感じない。
新型レガシィ アウトバックを選ぶ人って、週末は海や山へとアクティブに繰り出すような人も多いと思うんです。たとえば仲間とスキー、スノボやゴルフに行ったり、家族でキャンプへ出かけたり。観光しつつも温泉に行ったりとかもありますよね。そんなときに、気持ちよく山間の道を走れるのは、こんなクルマなんでしょうね。そう考えると、新型レガシィ アウトバックは気持ちよさを引き出す設計になっているのではないでしょうか? 見ても乗っても豊かな気持ちになれるし、それが人に寄り添う心地よさを増幅している。これが“New Luxury”のコアな部分なのかなと。堀さんは、ご自身のレヴォーグSTIスポーツと比べてどうですか?
堀:一見レヴォーグと似ていますが、乗り味は全く違いますね。新型レガシィ アウトバックのほうはアウトドア感が強く、レヴォーグはもっとスポーティです。ですが、乗り心地とボディの剛性感は似ています。購入前に、家族で欧州車をいろいろと試乗したのですが、走りと乗り心地の点でも、家族全員で一致したのがレヴォーグでした。それに、実家が京都で年に数回帰るんですけど、アイサイトXのおかげで運転のストレスが激減しました。5~6時間運転しても疲れません。とても快適で楽なんです。
藤原:新型レガシィ アウトバックもアイサイトXが装着されていますよ。これはクルマを楽しむうえで大きな安心材料です。
堀:実はこのクルマがアメリカで発表されたとき、日本での展開をずっと待っていたんです。でも、待ちきれなくて。試乗してみて、う~ん、やっぱりいいですね。
快適で静かな上質空間!
藤原:乗ってみて気づいたのですが、車内がずいぶんと静かじゃないですか? これも走りの性能として挙げられる点だと思います。というのも、自分は〈スバル〉の水平対向エンジンは、「ボボボボ~」という勇ましい音がするものだと思っていましたから。初代レガシィの印象そのままだったんです。ところが今は違う。エンジンはなめらかに回ってとても静かです。おそらく室内の遮音性も高まっているとは思いますが、いつものトーンで落ち着いて話せるのもいいですね。
堀:オプションにはなりますが、このクルマには〈ハーマンカードン〉のサウンドシステムが装着されています。室内の静粛性が十分あるので、いい音を楽しむことができるんですね。
藤原:〈ハーマンカードン〉とは! なるほど、そんな上質なオーディオが楽しめるほど、室内空間に自信ありということですね。確かにいい空間でいい音楽を聴けるのは、豊かなひとときになりますからね。それと、シートは柔らかく贅沢なナッパレザーを使用しています。座っているとお尻をしっかり包んでくれる上質なインテリアのような設えです。人の手が触るところに柔らかなレザーが配されているので、使う人が無意識に快適さを感じられる設計になっている。明るいカラーもとてもいいし、すべてが気持ちよく、ほどよいです。
堀:そうですね。走りに余裕があるうえに、室内で過ごす時間も余裕たっぷりというわけですね。どちらもこれみよがしな演出とは違う、奥ゆかしくも、気持ちよさを常に提供してくれるものです。
藤原:総合的な気持ちよさがあると思うんです。たとえば見晴らしのよさ、座ったときのシートの質感、インテリアの高級感、サスペンションやボディ剛性のよさなどが渾然一体となって、オーケストラ的に気持ちよさと味わいたい価値を作り上げている。静粛性の高い室内もそうですよね。すべてに調和がとれていて、「いいものを味わっている」、つまりそこから豊かな気持ちが生まれるんじゃないでしょうか。
出来のいいシャーシに確かな中身を感じる!
堀:〈スバル〉車にはじめて乗ったとき、フルインナーフレーム構造がとても衝撃的でした。振動が少なく、とにかく快適に走れるんです。〈スバル〉のレヴォーグと新型レガシィ アウトバックはシャーシがSGP(スバルグローバルプラットフォーム)になり、その中でもさらにひとつ上のフルインナーフレーム構造になっています。この先、自分のクルマ選びは、この2車種の中からしか選べないのかと(笑)。
藤原:カラダがそうなっているんですね(笑)。
堀:自分はクルマを選ぶ際に〈スバル〉だけでなく、気になるメーカーのカタログを全て取り寄せて隅々までチェックして、そのときのベストを調べるんです。でも毎回、残るのは〈スバル〉なんです(笑)。燃費以外で〈スバル〉を超えるメーカーはないと思っています。レヴォーグは安全性においてもJNCAPで最高評価を獲得していますし。
藤原:最近ではグッドデザイン賞を受賞しています。
頼れるのは、悪路からも容易に脱出できる“X-MODE”!
藤原:新型レガシィ アウトバックは悪路にも滅法強いというイメージがありますよね。 なんたって四輪駆動の性能の高さは〈スバル〉の十八番ですから。コーナーでの安定感もバツグンですし、悪路でも頼りがいがあります。そんな性能に加えて、様々な路面状況に上手に対応してくれる“X-MODE”も心強いです。
堀:新型レガシィ アウトバックはレヴォーグと比べてアウトドア感が強いと言いましたが、昔、〈スバル〉フォレスターに乗ってスキーに行ったとき、ゲレンデでチェーンが凍って割れてしまったことがあるんです。時間的にも交換できる状況ではなかったですが、この“X-MODE”のおかげで雪山から無事に自宅まで帰ってくることができました。
藤原:タイヤの接地感に不安はありませんね。最低地上高が213㎜もあるので、悪路でもクルマの下をぶつける心配もありません。路面状況によってモードを選択することで、四輪の駆動力やブレーキを適切にコントロールしてくれるようです。さらに、一度速度を決めると、どんな勾配でもブレーキの操作なく速度をキープしてくれる、“ヒルディセントコントロール”もついていますよ。安全に下るということがいかに重要かは、雪道などの滑りやすい路面で実感しますよね。
堀:まさにそのとおりですね。スキーやスノボに行くときにとても便利です。
藤原:あと、山間にある温泉も(笑)。
新型レガシィ アウトバック!
〈スバル〉には、「ドライバーが主役、ドライバーが中心」という思想がある。例えばアイサイトやアイサイトXなどの安全機能も、機械が制御するというよりも、ドライバーが気持ちよく運転するために作られたもの。高い性能がドライバーの心の余裕に繋がるのだが、これは実際に走ってみないとわからないかもしれない。
また、今回の試乗では、新型レガシィ アウトバックが、いかに上質なライフスタイルに寄り添おうとしているのかを実感することができた。New Luxuryは、その価値をむやみにまわりにひけらかすものではなく、自分やパートナー、家族にとって、自然体でありながら気持ちがいいもの。そんな世界観を持つ新時代のクルマを手にすると、自然に日々の豊かさを実感できるはず。「次の週末はどこに行こうか」、そんな会話が生まれてくるのも、自然なことだろう。今度はみなさんが自らステアリングを握り、その価値を実感してみてはいかがだろう?
※今回の試乗はクローズされた敷地内で行っています。
〈スバル〉レガシィ アウトバック Limited EX
●全長×全幅×全高:4870×1875×1675㎜
●ホイールベース:2745㎜
●車両重量:1690kg
●エンジン:1.8ℓDOHC水平対向4気筒直噴ターボ
●最大出力:130Kw(177PS)/5200-5600rpm
●最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/1600-3600rpm
●トランスミッション:マニュアルモード付8速リニアトロニック
●駆動方式:AWD(常時全輪駆動)
●メーカー希望小売価格(税込み):429万円