“ゆとり”と“攻め”を一挙両得!〈アウディ〉e-tron GTクワトロ
みなさん、新年あけましておめでとうございます! 当連載も2022年の1本め。やはりエポックメイキングなクルマから幸先よく(?)スタートしたいということで、やはりなんだかんだ最近気になるEVをご紹介したい。〈アウディ〉の超スタイリッシュな4ドアクーペ、e-tron GTクワトロだ。
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〈アウディ〉のBEVラインナップの中でも、頂点に君臨するモデルこそがe-tron GT。すでに発売されているe-tronやe-tronスポーツバックのようなSUVタイプと違い、ワイド&ローなスポーツカーシルエットを持つその姿はまさに威風堂々。風格すら漂う佇まいを見せるから、このスタイリングに食指が動いたって人も多いのでは?
日本でも2021年春に発表されたこのe-tron GT。実は、同6月には年内の日本割り振りぶんを売り切り、さらに2022年前半ぶんもすでに完売だという。やっぱみんな、スタイリッシュなクルマには目がないってこと⁉ さすが“クルマニア”のみなさん、イイものに対するアンテナ感度に衰えはないようで。
ボディサイズは全長4990×全幅1965×全高1415mm。RS7よりも全高が20mm低いうえ、なんとホイールベースは2900mmとゆったり。さらに驚きは、20インチというタイヤサイズを選択したこと。いやはや、自由度の高いモーターのレイアウトをこんなふうに生かすなんて、さすが〈アウディ〉デザインだ。
そして実はこのe-tron GT、当コラムでもすでに紹介済みの〈ポルシェ〉タイカンと同じプラットフォームを使用している。タイカンは19インチからのスタートに対してe-tron GTの20インチ。見比べてみるとこの1インチ、少しの違いで大違い。この大径タイヤがシャープなボディデザインにさらにピリッとアクセントを加え、ただエレガントなだけではない、パフォーマンス香る仕上がりとなっている。新しいシングルフレームグリルの解釈も、シンプルかつシャープでナイス。
しかし、本当に驚くのは乗ってから。トルキー&パワフルなのはいわずもがな。なんと20インチを装着していると思えないほどの、超絶滑らかなロードホールディング性を誇るのだ。試乗は羽田空港近辺。貨物車も多いし、工事している箇所もままある。そんな中、タイヤは路面を柔らかく捉え、ドライバーに角を丸めてインフォメーションを伝える。一体どんなサスペンションのセッティングをしているのか……、その手法は本気でお見事。
しかもコレ、実はエアサスではなくコイルサスを使用しているのだというから、さらに拍手。いや、これだけの重量選手はむしろ、減衰を予測させやすいメカサスのほうが得意分野なのかもしれない。
むろん、800Vシステムで駆動する前後2基のモーターを合わせた最高出力は、ブーストモード時で390kW、0-100km/h加速4.1秒(!)と文句なしに鮮烈。走り出しこそピーキーさは抑えられているものの、いったん踏みこめば内臓が喉から出そうな加速がビシッと味わえる。
そしてさすがに〈アウディ〉=クワトロのプライドは、BEVにこそ健在。〈ポルシェ〉タイカンではベースグレードで後輪駆動モデルが選べるが、e-tron GTはハイパフォーマンスのRSも双方が四輪駆動の“クワトロ”の設定。それゆえにコーナリングも正確で、安定性も高い。つまり“ゆとり”と“攻め”を、瞬時に味わえる電気スポーツモデルなのだ。
★DATA 〈アウディ〉e-tron GTクワトロ
●全長×全幅×全高:4990×1965×1415mm
●車両重量:2280kg
●ホイールベース:2900mm
●最高出力:390kW(530PS)
●最大トルク:640Nm
●駆動方式:四輪駆動
●税込み価格:1399万円