上品で美しく、静かに速い!〈アウディ〉イートロン スポーツバック
欧州プレミアムブランド勢から、いよいよ駒が出揃ってきた感あり。そう、電気自動車だ。クルマが大好きな『Safari Online』読者には、どこかチクッと胸が痛いお話しかもしれないけれど、実は世界的にどんどん内燃機関、つまりガソリンエンジンやディーゼルエンジンに対する規制は強まるばかり。特にCO2排出量への締め付けは加速度的となっている。だけど「ああ、クルマもここまでか……」と思うのは早とちりってもの。100年もの間、“クルマニア”の心を惹きつけてきた〈アウディ〉が出した答えは、未来への期待をもたっぷりと含んだ、とても魅力的なプロダクトだったから!
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〈アウディ〉初の量産バッテリーEVとなるのはイートロン(e-tron)。日本では、ルーフラインが美しいイートロン スポーツバックが先に導入となった。
縦横サイズはA7スポーツバックとほぼ同じと、かなりたっぷりとしたゆとりの大きさ。しかし、〈アウディ〉のSUVシリーズのデザインアイコンであるオクタゴン(8角形)のシングルフレームグリルを採用するなど、EVだからといって特別なデザインを与えた、というわけではないのがユニークだ。
話題のバーチャルエクステリアミラー装着車
バーチャルエクステリアミラー装着車。ドアの内側にサイドミラー代わりのモニターがある
ちなみに、とっくの昔に先陣を切っていた〈ビー・エム・ダブリュー〉のi3はもちろん、続いた〈ジャガー〉Iペイス、そして昨年発売された〈メルセデス・ベンツ〉のEQC、さらに今年の〈ホンダ〉イーなどの先発は、いかにも“特別なモデル”であることを示すように、“特別なデザイン”が施されていた。
でもイートロンは違う。なぜか? それは〈アウディ〉のこれからのEV戦略を紐解くとわかるかもしれない。なんと同社は2025年までに新車販売の約4割を電動化し、さらに電気自動車を20車種に展開するのだという。つまり、こうとも受け取れる。すでに〈アウディ〉にとってEVは特別なモデルじゃないのかも、な~んて!?
じゃあ走りが平凡か、といえば答えは大きく「ノー」。外観同様、EVならではの特別感があまり用意されていない(?)コックピットに乗りこんで(とはいえ“7”のつくモデル以上の高級車感はたっぷりなんだけど)、いざアクセルペダルを踏めば、車両重量2.5トン超の車体が羽のように軽~い挙動で「ギュン!」と恐ろしい加速を見せる。
最高出力300kWに対して最大トルクはなんと664Nm。まるでこのまま離陸してしまうんじゃないかってくらいの諸元は、文字どおり電撃加速を披露してくれちゃうのだ。しかもこのトルク、電気ならではの伝達の速さで、内燃機関にありがちなロスや遅れが微塵もない。もしかして未来って、時短のことなのかもしれない、な~んて思っちゃうくらい。
ハンドルの軽さの味付けの妙も、制御への自由度が高いEVならでは。「指1本で操作できちゃうんじゃない?」って言っても過言じゃないくらいのタッチに驚いてほしい。
もちろん〈アウディ〉ならではのクワトロ、つまり四輪駆動制御技術も電気の恩恵を受けた。油圧式の四輪駆動では制御不能だったエリアまで繊細にきめ細やかに制御を設定できるため、史上最も高性能な四輪駆動になったと豪語するその出来栄えは、ひと言でいうと超リッチ!
2.5トンの巨体をこちらも軽々、そしてドライバーに気付かせないよう完璧にマネジメントしてくれるから、ドライバーは「自分の運転技術を過信しすぎてしまうかも」、な~んていらぬ心配をしてしまうくらいだ。
さあ、ジャーマン3でも最後発の〈アウディ〉の答えを、いちはやく体験して!
★DATA 〈アウディ〉イートロン スポーツバック
●全長×全幅×全高:4900×1935×1615mm
●車両重量:2560kg
●ホイールベース:2930mm
●最高出力:300kW
●最大トルク:664Nm
●トランスミッション:1速固定式
●駆動方式:四輪駆動
●税込み価格:1327万円
●アウディ コミュニケーションセンター
TEL:0120-598-106