●今月のビジネスセレブ
グーグースリープCEO
パトリック・モリス[Patrick Morris]Profile
米国出身。ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院、香港科技大学のジョイントプログラムにて2006年MBAを取得。1995年に来日、1998年にB2Bイベント会社を共同設立し、2004年にJTBへの売却に成功する。その後は数々の企業で実績を残し、2018年、「良質な眠り」を提供することにより社会に貢献したいという思いからグーグースリープを設立。現在に至る。
ロレックス
オイスター パーペチュアル デイトジャスト
●愛用歴/約9年
●購入場所/ハワイ・アラモアナSC
●購入価格/約$9500
フルーテッドベゼルのリッチニュアンスと、3連ブレスレットのカジュアル感の好バランスが、手元に極上の洗練を醸し出す。
「ニュアンスブルーのインデックスの色み。よく見ればブルーとわかるというくらい繊細な色合いというのが洒脱で、さりげなく個性を主張します。これはなかなか珍しい色だと思うので、他の人とバッティングすることはまずありません」
ROLEX[ロレックス]
オイスター パーペチュアル デイトジャスト
1945年、3時位置の小窓にカレンダー表示を備える初の自動巻き防水クロノメーターとして誕生して以来、高級時計の代名詞として愛され続けている不朽の名品。べゼルやブレスレット、文字盤やインデックスの組み合わせによって表情を変える幅広いバリエーションの中からパトリックが選んだのは、3連ブレス&フルーテッドベゼル、シルバーのダイヤルにアラビア数字インデックスの、シンプルかつエレガントなモデル。
人生の節目に、なにか記念になるものをと、時計を購入するビジネスセレブは多い。パトリックが愛用するこの〈ロレックス〉も、彼が自身の40歳の誕生日を迎えたときに購入したという、メモリアルウォッチだ。
「40歳になったら、なにか記念になる時計を買おうと、数年間思いを温めていました。私が36歳のときに娘が生まれたのですが、それまでは、時間というのは当たり前のように流れていくもので、時の流れというのをあまり意識していなかったんです。でも、彼女の誕生が私の“時間”に対する意識を変えました。1歳、2歳、3歳と娘が成長していくのを見守っていくにつれ、時間の大切さというのにはじめて気づいたんです」
数ある時計ブランドの中から、パトリックが選んだのは〈ロレックス〉だった。
「私の父がずっと、これと同じオイスター パーペチュアル デイトジャストを愛用していたので、知らないうちに影響を受けていたんだと思います」
この“運命の1本”と出合ったのは、ハワイのアラモアナSCにある“ベンブリッジ・ジュエラー”というブティック。〈ロレックス〉の正規販売店だ。ブティックには様々なタイプの〈ロレックス〉が並んでいたが、パトリックは迷わずこのモデルを手に取ったという。
「この時計を見た瞬間、クラシカルな正統の美の中にもモダンさが光るそのバランス、そして繊細で美しいブルーのインデックスに惹かれました」
以来、パトリックはこの〈ロレックス〉とともに、40代を過ごしてきた。
「今日のようなカジュアルな装いにもさりげなく品格を添えてくれるし、ビジネスのスーツスタイルにもマッチする。ほぼ毎日つけていますね。購入してから来年で10年になりますが、全く飽きることはありません。〈ロレックス〉というブランドと、そのプロダクツの素晴らしさを日々、実感しています」
パトリックにとって、まさに“相棒”と呼ぶにふさわしいこの〈ロレックス〉。大切にしてきたが、一度だけ失いそうになり、肝を冷やしたことがあったという。
「あれはまだ娘がもっと幼かった頃、彼女を叱ったことがあったんです。そのときに娘が仕返しとして、こっそりこの時計をゴミ箱に捨てたんですよ(笑)。幼いながら、自分の父親が一番大切にしているものだとわかっていたんですよね。ひと晩寝て翌朝には、彼女は昨晩叱られたことも忘れてケロッとしていたけれど、私は時計が見当たらなくて真っ青。必死になって探していたら、娘が自分が捨てたことを思い出して泣いて謝ってきたんです。でも、ゴミはもう出してしまった後。慌ててゴミ置き場に駆けつけたら、幸いにも回収される前で、無事にレスキューすることができました(笑)。今となっては笑い話、本当にいい思い出ですが、今も娘を叱ったときはジョークとして、“でも時計だけは捨てないでね”とお願いしています(笑)」
なかなか手強いそのお嬢さんにも、「パパがなぜこの時計を買ったのか」という話を言って聞かせている。
「そうして、折に触れ、彼女にも時間の大切さというのを教えるようにしています。妻と、娘と、家族で一緒に、大事な時間を幸せに過ごしていこうねと」
ビジネスではずっとテクノロジー関連の仕事をしてきたパトリックだが、時計に関しては昔ながらの機械式時計以外に選択肢はなかった。
「現代社会はテクノロジーによって回っていますが、私自身はテクノロジーに支配されたくないという思いがあります。デジタルとアナログ、それらを自分らしいバランスで生活に取り入れていたい。腕時計というのは、ただ単に時刻を知るためのツールではありませんからね」
来年、次の人生の節目である50歳を迎えるパトリック。そのときには、次の運命の1本に出合いたいと瞳を輝かす。そしてもう、意中の時計は決まっている。
「〈ロレックス〉の、“コスモグラフ デイトナ”です。10年近く今の時計をほぼ毎日使ってきたことで、このブランドの真価を体感してきました。それは揺るぎない伝統であり、高い機能性であり、完成されたデザインのクールさ。そして耐久性に非常に優れた堅牢さ……いつか自分の時間がなくなるそのときまで、ずっと愛用し続けていける時計だと確信しました」
10年ごとの節目に、1本ずつ。大切に選んだ時計を、大切に使い続けていく。パトリックの時計との付き合い方には、彼の人柄と知性が映し出されている。
「時間を見るたびに、時間というのはいかに貴重なものかということを、この時計は思い出させてくれます」
終着点にたどりつくまで、人生という旅をともにしていく〈ロレックス〉。それはきっと、彼に時間の大切さを認識するきっかけを与えてくれた娘に、そしてまたその次の世代へと受け継がれ、幸福な時間を刻み続けていくに違いない。
QOLを上げる良質な睡眠を約束する寝具ブランドパトリック自身のマットレス購買体験をきっかけに市場調査をスタート。「日本には“良質な眠り”の提供を使命とするブランドがまだない」と気づき、一流かつ本物の「眠り」を追求、“better sleep better you(よりよい人生に、よりよい睡眠を)”をモットーとする〈グーグースリープ〉を2018年に創業。マットレスを徹底的に研究し、高品質なクオリティを適正価格で実現した“guguマットレス”を、100日間返品保証など、ユニークで良心的なサービスとともに提供する。
雑誌『Safari』5月号 P220~221掲載
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photo : Tomoo Syoju(BOIL) text : Kayo Okamura