Behind the success of businessmen
趣味も仕事も自分の理想にこだわってきた。
ビジネスの世界で結果を出している人は、その結果を導き出すために自分を高めているはず。今回は、リユース市場で急成長を遂げている買取専門店〈買取大吉〉を運営するエンパワーの取締役として活躍する清水航輝さんに、その原動力について語ってもらった。
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〈ニコン〉のデジタル一眼レフカメラ“DF”を愛用。出かける際に持ち歩き、こんな写真を撮ってみたいと思ったものを、試行錯誤しながら撮影。撮れたときの達成感がたまらないという
28歳という若さで、エンパワーの取締役を務める清水航輝さん。同社の運営する買取専門店〈買取大吉〉は、直営店・フランチャイズ加盟店合わせ650店舗にまで急成長中。昨今では、利益率を高める施策として“大吉オークション”を開始。改善した利益率は、店頭のお客様の買取価格へ還元するなど、顧客満足に軸足を置いた施策で、業界No.1を目指している。そんな同社に入社1年に満たず取締役に抜擢。成長の原動力となったのが清水さんだ。
「不動産の営業職をしていた22歳の頃、単純ですが、“稼げる仕事”はないものかと探していました。それで、伸びはじめていた古物業界に入りました。前職でフランチャイズのマネージメントを担当していたので、その実績を認めてもらって当社に転職した形になります。私が入社した当初は管理職が少なく、責任者不在の部署がいくつかありました。それらの部を『自分がやります!』といってどんどん引き受け、取締役になる頃には従業員の9割が自分の部下という状態になっていました。数字的な実績もありますが、取締役に抜擢された理由はそこだと思います」
では、若くして重責を担う存在になることを厭わないのは、なぜなのだろうか。
「学生時代にお金で不自由した経験が大きいです。アルバイトをしたときに、今以上の収入を得るためには1時間あたりの自分の対価を高くしなくてはと考えました。そのためには自分が社会に必要とされる価値ある人間になることがベストだと。ここに入社した際も、とにかく会社にとって抜けられたら困る存在にならなきゃと意識しました。小さな裁量でも、それを集めれば自分のキャリア以上に大きな裁量を与えられる。そう信じていたので、自分以上の力が出せるよう、あらゆる仕事を引き受けようと思ったのです」
そんな仕事の原動力となるのが、いいモノを身につけたいという洒落心。しかしそれにも、見た目だけではない大切な意味があるという。
「いいスーツや靴をまとう人は、そこに掛けられるお金を持っていて、お金を持っているということはそれだけ社会に必要とされていることでもある。所有欲というより自分に対する評価として、価値あるものをまとうことには意味があると思ってます。また、若い部下が上司の装いを見て、『この会社で頑張っても、この生活水準にしかならないのか』と思わせてしまうことは、会社にとってプラスにならないとも思うのです」
一方で、なにげない日常を写真に収める趣味も原動力になっているよう。
「普段は見過ごすような風景をいかにきれいに撮るか。そんなテーマで撮っていることが多く、オートではなくマニュアルで試行錯誤しながら撮影しています。少しでも自分が思い描くものにしたいとこだわることで、自然とスキルがアップするんです。その達成感は、こだわりを持って挑むビジネスとの向き合い方に通ずるものがあるかもしれません」
直営店として新たにオープンした、ららぽーと愛知東郷店
「誰をベンチマークにして仕事をするのかは、非常に重要なこと。部下のベンチマークになる装いにもこだわりたい」と語る。取材当日はナポリ仕立ての良質なスーツをまとう。愛用している革靴は日本の熟練職人が“品質本位”で仕立てる〈三陽山長〉
株式会社エンパワー 取締役
清水航輝さん
1994年、神奈川県生まれ。高校卒業後、アパレル、不動産業界を経て、古物業界へ。エンパワー入社後、約半年で取締役に就任。〈買取大吉〉の直営店や出張買取、催事、マーケティングなど幅広い部門を統括する。
『Urban Safari』Vol.34 P33掲載
photo:Tomoo Syoju(BOIL) text:Takumi Endo