『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』
製作/1998年 監督・脚本/ガイ・リッチー 共演/ジェイソン・フレミング、デクスター・フレッチャー、ビニー・ジョーンズ
俳優デビューを果たした記念すべき作品!
ロンドンのダウタウンで、一攫千金を夢見てキャンブルに挑むも、敗れてすっからかんになってしまった若者4人組。借金の返済が迫り、困った彼らは麻薬と大金の強奪という危険な賭けに出て、まんまと成功させる。ところが、これは麻薬組織とギャングの抗争を招いてしまい、4人はそれぞれ予期せぬトラブルに巻き込まれていく……。
ステイサムの俳優デビュー作。4人組の中で、いかにも下町育ちらしい威勢のよさと人懐っこさを併せ持つ若者にふんし、キラリと光る個性を発揮。劇中ではブランド品を装ったニセ時計を露店で売っていたりするが、ステイサムはデビュー以前、露天商の仕事をしていたこともあり、それだけにこのキャラは実体験に基づいているとのこと。
同じくデビュー作となったガイ・リッチー監督は、ステイサムの盟友というべき存在。『スナッチ』に『リボルバー』、そして『キャッシュトラック』『オペレーション・フォーチュン』と、彼らの友情とコラボレーションは現在も続いている。
『トランスポーター』
製作年/2002年 製作・脚本/リュック・ベッソン 監督/ルイ・レテリエ、コリー・ユン 共演/スー・チー、マット・シュルツ
抜群の身体能力を披露!
主人公フランク・マーティンは、どんなヤバいブツでも約束の時間までにキッチリ送り届ける、プロの運び屋。ある日、依頼されたトランクの中に、中国系の若い女性ライが拘束されていたことから、彼は予期せぬトラブルに巻き込まれる。人身売買に手を染める犯罪組織に襲撃され、命を狙われる危機の連続。ライを見捨てることもできず、戦いを決意したフランクは、やがて意外な黒幕の正体に迫っていく。
『レオン』のリュック・ベッソン監督の製作・脚本の下で、ステイサムが初主演を飾ったノンストップ・アクション。運び屋としてのルールを自身に課し、それを守り続けていたストイックな主人公が、それを破ったばかりに、大事件に巻き込まれる。元特殊部隊員という設定で、アクション場面も多いが、抜群の身体能力でそれを体現するステイサム。そんなハードボイルドなヒーロー像が好評を博し、後に彼の主演で続編2本が製作されたのは、ご存知のとおり。
『セルラー』
製作年/2004年 原案/ラリー・コーエン 監督/デビッド・R・エリス 脚本/クリス・モーガン 出演/キム・ベイシンガー、クリス・エヴァンス、ジェイソン・ステイサム、ジェシカ・ビール
誘拐された女教師の頼みの綱は1台のケータイ!
自宅に侵入した男たちによって、高校教師のジェシカが誘拐される。屋根裏部屋に監禁された彼女は、犯人たちが破壊した電話器のコードを接触させて修復。その電話からたまたま発信できたのが、見ず知らずの青年、ライアンの携帯電話だった。最初は状況がわからず、変な電話だと無視する彼だが、ジェシカの置かれた状況が事実だとわかり、電話のやりとりで救出を試みる。2004年の作品で、タイトルの『セルラー』は、セルラーフォン(携帯電話)のこと。スマートフォンが主流となった現在はあまり使われなくなった言葉。
ジェシカが唯一、連絡がとれるのがライアンということで、2人の会話が命綱になって緊迫感がぐんぐん上昇。ジェシカが理系の教師という設定も、絶妙に使われる。生死ギリギリのジェシカのサバイバルをキム・ベイシンガーが熱演するが、最初は軽いノリのライアン役、クリス・エヴァンスが、正義のヒーローとしての使命感をもつ変貌を鮮やかに体現。この作品の7年後、彼はキャプテン・アメリカを演じると考えると感慨深い。犯人の素性や犯行の動機もショッキングだし、ラストまで一気の勢いのノンストップ感も魅力だ。
『アドレナリン』
製作年/2006年 監督・脚本/マーク・ネベルダイン、ブライアン・テイラー 出演/エイミー・スマート、ホセ・パブロ・カンティーロ、エフレン・ラミレス
クレイジーな役でも魅力倍増!
敵対組織の罠に落ち、睡眠中に謎の劇薬を打たれた腕利きの殺し屋。それはアドレナリン分泌を抑制して心肺停止へと近づける死の秘薬だった。生き延びるためには興奮を持続させつつ、アドレナリンを出し続けなければならない。自分をエキサイトさせようとあの手この手を繰り広げつつ、殺し屋は解毒剤を求めて敵の行方を追いかける!
バカバカしくもアリかもしれない設定を真剣に映画にして、ステイサムをユーモラスなアクションヒーローにしてしまった快(怪?)作。全力で走ったり、ドラッグをキメたり、×××をしたりなどの、主人公の涙ぐましいまでのアドレナリン放出のための奔走が魅力。
ハードボイルドなキャラを保ったままで、破天荒なことをしてしまうステイサム像が笑える。ネヴェルダイン/テイラーのアップテンポの演出も光り、好評を受けて続編『アドレナリン:ハイ・ボルテージ』も製作されたが、こちらもステイサムのクレイジーな演技が光っているので要チェック!
『デス・レース』
製作年/2008年 監督・脚本/ポール・W・S・アンダーソン 共演/ジョアン・アレン、イアン・マクシェーン、タイリース・ギブソン、ジェイソン・クラーク
ステイサムらしい硬派キャラに見惚れる!
舞台は近未来のアメリカ。刑務所が民営化されたことにより、囚人たちは自由と引き換えに“デス・レース”と呼ばれるカーレースに駆り出され、それはネットに中継されて大衆を熱狂させていた。冤罪で投獄された元レーサー、エイムズは刑務所から出るために、命を落とするのが当たり前のこのレースに挑み、やがて冤罪の背後に潜んでいた陰謀にも迫ることになる。
無名時代のシルベスター・スタローンが出演していたことでも知られる1975年製作のカルトなSFアクション『デス・レース2000年』をリメイク。オリジナルは風刺やギャグも見て取れたが、ここではステイサムの硬派なキャラクターに寄せて、シリアスなアクションを構築。無実を証明したい一心で爆走する主人公にふんしたステイサムのアクションヒーロー然とした姿に見惚れる。『バイオハザード』シリーズの監督を休んでまで参加したポール・W・S・アンダーソン監督のイイ仕事。
『ワイルド・スピード SKY MISSION』
製作年/2015年 監督/ジェームズ・ワン 脚本/クリス・モーガン 共演/ヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソン、ミシェル・ロドリゲス
ドウェインとの格闘アクションに大興奮!
現在進行の大人気アクションシリーズ『ワイルド・スピード』の第7作。クルマの運転とチームワークを得意とする犯罪者集団ドミニクと仲間たちの前に立ちはだかる、新たな敵。それは前回のミッションで弟を投獄されたことに恨みを抱き、復讐に燃える元英国特殊部隊員だった。この男デッカード・ショウの執拗な追撃に苦しめられながら、ドミニクらは米国政府機関からの密命を受けて、世界を救うための新たな任務に挑む。
シリーズ前作のラストでステイサムふんするデッカードの登場はすでに予告され、ファンの期待を高めたていたが、それを裏切らない大熱演。ヴィン・ディーゼルやドウェイン・ジョンソンらレギュラーのタフな役者たちとの肉弾バトルの熱演はもちろん、切れ者ぶりにも説得力をあたえ、シリーズ最強のヴィランになりきった。
『MEG ザ・モンスター』
製作年/2018年 監督/ジョン・タートルトープ 出演/ジェイソン・ステイサム、リー・ビンビン、レイン・ウィルソン、マシ・オカ
古代のサメが蘇る!
今作でステイサムが演じるのは、深海のレスキュー・ダイバー。200万年前に絶滅したとされる巨大サメ“メガロドン”が現れ、海洋研究施設に呼ばれた彼が、全長23mものサメに立ち向かう物語。貴重な巨大サメを捕獲し、金儲けに利用しようとする大企業の思惑も絡んで、事態はとんでもない方向へ!ジェイソン・ステイサムといえば、水泳の飛び込み選手としてイギリスの代表選手にも選ばれた過去がある。ゆえにダイバーは、最高のハマリ役! 飛び込みの妙技は『メカニック:ワールドミッション』でも披露していたが、今回は自慢の泳ぎをたっぷり見せてくれる。まさに水を得た魚で、海中でのアクションのかっこよさは誰もが認めるはず。要所のスペクタクルな見せ場では、カメラワークやカット割り、編集などが絶妙なので、予想外の興奮と臨場感を届けてくれる。
『ワイルド・スピード スーパーコンボ』
製作年/2019年 監督/デビッド・リーチ 出演/ドウェイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサム、イドリス・エルバ、バネッサ・カービー
2大アクション俳優のコンビプレーに釘付け!
舞台はロンドン。MI6のエージェント、ハッティが新型ウイルス兵器を手にしたまま姿を消してしまう。行方を追う政府は、事件を解決するため元FBI特別捜査官ホブスと元MI6エージェントのショウを招集。しかし、2人は過去に因縁があり、犬猿の仲。なにかといえば、子供のように意地を張り合う……、というユル〜いアクセントが本作の特徴。もちろん、ウイルスを狙う改造人間の出現など、アクション映画の醍醐味であるブッとんだ状況は満載。笑いながら気軽に楽しめる内容に仕上がっている。
ロンドン市街での一大カーチェイスは、ワイスピらしい見せ場。特に、敵が魅せるバイクアクションは圧巻! コンピュータ制御されたマシンで、様々な障害物をスリ抜けていくサマは、これまでに観たことのないほどの演出で、アドレナリンがガンガン上がるはず。さらにインパクトを放つのが、ドウェインとジェイソンによる敵との格闘バトル! パワーで敵を退治するドウェインに対し、キレとスピードで敵をバッタバッタと叩きのめしていくジェイソン。2人の特長を反映したバトル演出は、実に痛快だ。ワイスピの支柱である“ファミリー”というテーマも意外なキーポイントとなっているので、やはりシリーズファンは必見かと!
『キャッシュトラック』
製作年/2021年 製作・監督・脚本/ガイ・リッチー 出演/ジェイソン・ステイサム、ジェフリー・ドノバン、ジョシュ・ハートネット、スコット・イーストウッド
結末が読めないクライムサスペンス!
現金輸送専門の警備会社にドライバーとして応募した主人公のパトリック。犯罪に遭うリスクも高い仕事なので、採用されるには運転や銃撃の技術も試されるのだが、彼はギリギリでパス。新米ドライバーとして仕事をこなすなか、輸送車を狙った事件も発生し……と、この映画の場合、ストーリーの“さわり”だけ知っておいた方が、途中からの展開に大いに驚き、楽しめるはず。ただ、これだけは想像できるだろう。ステイサムが主人公を演じていたら、ただ者ではない、ってこと!
ガイ・リッチーの映画のひとつのパターンは、犯罪絡みの登場人物たちが、各グループの視点でドラマを展開。時間も自在に前後したりして、それらが大きな事件でひとつに結びつく作りだ。本作もこれを踏襲するが、いつものリッチー作品に比べると、コメディ色は封印され、シリアス&ハードなテイストが濃厚。そこが新しく感じるし、緊迫感やスリルをたっぷり味わえる。ラスト10分でも、どんな結末へたどりつくかわからない人も多いのでは? 少なくとも、ジェイソン・ステイサムの映画が好きな人なら、彼の本領が100%以上発揮されているので、大いなる満足感に浸れることは断言したい。
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』
製作年/2023年 監督/ルイ・ルテリエ 脚本/ジャスティン・リン、ダン・マゾー 出演/ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、ジェイソン・モモア、ナタリー・エマニュエル、ジョーダナ・ブリュースター、ジョン・シナ、ジェイソン・ステイサム、サン・カン、ヘレン・ミレン、シャーリーズ・セロン、ブリー・ラーソン
原点回帰のストリートレースに熱くなる!
ドミニクは、恋人のレティや息子のリトル・ブライアンとLAで静かな生活を送っていたが、10年前、リオ・デ・ジャネイロで彼と仲間が起こした金庫強奪事件への恨みを晴らすべく、かつてない強敵のダンテが現れる。そのダンテの策略によって、ドミニクとファミリーは空前の窮地に立たされることに……。
LAからローマ、リオ、ロンドン、ポルトガル、さらに意外な場所まで、大スケールの展開は最近のワイスピらしい。毎回“ありえねぇ”と叫んでしまうアクション。前作では宇宙まで行ってしまい、どこまで振り切れるのかと期待していたら、今回も超ハードなレベルを実現する。一方でシリーズの原点回帰ともいえる、ストリートレースが久々に復活。1作目からのファンを満足させることだろう。さらに思わぬ人物のサプライズ登場や、終結へ向かう物語ということで胸が引き裂かれる決断も用意されるなど、見どころ満載。
『MEG ザ・モンスターズ2』
製作年/2023年 製作総指揮・出演/ジェイソン・ステイサム 原作/スティーヴ・オルテン 監督/ベン・ウィートリー 原案・脚本/ディーン・ジョーガリス、ジョン・ホーバー、エリック・ホーバー 出演/ウー・ジン、ソフィア・ツァイ、ペイジ・ケネディ
豪快なアクションが日々のストレスを発散させてくれる!
2018年に公開され、日本でも意外なヒットを記録した前作は、体長23mという巨大ザメ“メガロドン(通称MEG)”の大暴走で驚かせたが、この続編では、さらに想像を超える体験を届けてくれる。迫力も、スリルも、そして笑いやツッコミどころも含め、ここまでのサービス精神はアッパレ。そんなスペクタクルに仕上がった。
冒頭がいきなり、6500万年前の白亜紀のシーンで、恐竜たちとMEGの闘いが描かれ、呆気にとられる。そこから舞台は一気に現代へと移り、地球上で最も深いとされるマリアナ海溝で主人公たちの潜水探索が展開。さまざまな深海生物が登場し、海底火山の噴火などレアな映像が繰り出されるなか、あのMEGが大パニックを引き起こすことに……。モンスター映画らしい流れに、われわれ観客も安心して身を任せられることだろう。人間vs MEGだけでなく、人間vs人間、さらに別のモンスターまで入り乱れ、すべてが“やりすぎ”な設定へ突き進むのが、このシリーズならでは。MEGに飲み込まれる人々を、口の中の視点でみせるなど斬新なビジュアルも多数。辻褄を考える余裕も与えないこの豪快な作りは、ある意味、貴重!
『オペレーション・フォーチュン』
製作年/2023年 製作・監督・脚本/ガイ・リッチー 出演/ジェイソン・ステイサム、オーブリー・プラザ、ジョシュ・ハートネット、ケイリー・エルウィズ、ヒュー・グラント
空前のチームプレーが楽しめるスパイアクション!
ステイサムが演じるのは、英国諜報局MI6に雇われる有能エージェントのオーソン・フォーチュン。託されたのは、100億ドルで取引されるという、最高機密を追跡し、回収するミッション。フォーチュンが集めたのは、天才ハッカーや凄腕のスナイパーで、実体のわからないターゲットに対し、空前のチームプレーが展開していく。気心の知れた監督のせいか、ステイサムの演技やアクションには、いつも以上に余裕たっぷり。彼らしい“オラオラ感”も名人芸の域という印象。
今回はチームの面々の個性が強烈で、ステイサムは彼らの魅力をバックアップする感じが、これまた微笑ましい。ミッションに巻き込まれるハリウッドの大スターを演じるジョシュ・ハートネットが、自虐的なギャグもこなして笑いを取るし、敵側のボス的なキャラのヒュー・グラントが場をさらう怪演。集団劇の面白さも、『ロック、ストック〜』から続く、ガイ・リッチー監督の得意技だと改めて実感してしまう。ミッションの舞台となるのが、ロンドン、マドリード、LA、モロッコ、カンヌ、トルコ、カタールのドーハと、とにかくゴージャスな場所ばかりだし、セレブな気分を盛り上げる仕掛けも満載。エンタメの王道として楽しめるこの作り、誰にでもオススメできる!
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photo by AFLO