【まとめ】ハラハラドキドキの展開に血が騒ぐ!
怒涛のアクション映画100選!PART03
『Safari Online』で紹介してきた映画作品の中から、ハラハラドキドキのアクション映画に絞って再構成し、一挙ご紹介します!
『ディア・ハンター』
製作年/1978年 製作・監督/マイケル・チミノ 出演/ロバート・デ・ニーロ、ジョン・カザール、メリル・ストリープ
若きデ・ニーロの共感力がスゴイ!
ロバート・デ・ニーロの初期の代表作といえば、『ゴッドファーザー PARTⅡ』や『タクシードライバー』を挙げる人が多く、早くから強烈なキャラクターを自分のものにする“怪物的名優”と認知されていた。そんな初期のキャリアの中で、“どこにでもいそうな若者”を名演した大傑作が『ディア・ハンター』だ。
アメリカ、ペンシルヴェニア州の鉄鋼の町に住むマイケルは、仲間とともにベトナム戦争に出征することになる。壮行会となるパーティや鹿狩り(ディア・ハンター)という日常風景が一変。ベトナムでのドロ沼の苦境から、あの有名なロシアンルーレットへとなだれ込む。基本的には戦争映画なのだが、出征前の友情を描くシーンがことのほか長いので、観終わった後は、ヒューマンドラマとしての感動が強い。
マイケル役としてのデ・ニーロは、戦争という極限状態で狂気をちらつかせる瞬間もあるものの、強い個性の仲間を思いやる、穏やかな印象が強い。そこに素直に共感させるところが、若きデ・ニーロの才能だ。親友に思いをはせるラストシーンの彼の表情は忘れがたい。アカデミー賞では作品賞など5部門受賞。
『レイジング・ブル』
製作年/1980年 監督/マーティン・スコセッシ 出演/ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシ、キャシー・モリアーティ
体重を27kg増やした伝説的作品!
最近ではクリスチャン・ベールや、日本の鈴木亮平のように、役に合わせて極端な体重の増減に挑む俳優が増えたが、その原点といっていいのが今作のデ・ニーロだ。すでにアカデミー賞では助演男優賞を受賞済みで、主演男優賞にも2度ノミネートされていた彼が、念願のその主演男優賞に輝いた記念すべき一作である。
デ・ニーロが演じたのは、実在のミドル級ボクサー、ジェイク・ラモッタ。納得のいかない判定負け、八百長試合などを経験し、タイトルマッチで復活するも、性格が災いして破滅的人生にも導かれる。デ・ニーロはボクサーらしい肉体を作り上げたうえに、引退後の太った姿を再現するため、なんと体重を27kgも増量。信じがたい変貌は、いま改めて観ても驚くばかり!
全編、モノクロ(タイトルなど一部のみカラー)なのだが、その美しさは、ため息が出るほど。生々しさに徹するボクシングのシーンも、モノクロゆえの荘厳さが漂っている。そんな極上の映像美とともに、栄光と挫折、プライドが激しく交錯する劇的な男の運命が強烈に迫ってくる、まぎれもない傑作だ。
『スピード』
製作年/1994年 監督/ヤン・デ・ボン 出演/キアヌ・リーブス、デニス・ホッパー、サンドラ・ブロック
短髪姿のたくましいキアヌが楽しめる!
キアヌ・リーヴスとヒロインのサンドラ・ブロックが大ブレイクした大ヒットノンストップアクション。時速80km以下になると爆発する爆弾を仕掛けられたバス。そこに飛び乗ったSWAT隊員のジャックが、いかに80km以下に速度を落とさず市中を走るか、いかに犯人にバレずに乗客を救出するか、いかに犠牲者を出さないか――車内を監視しながらも姿を見せない犯人と頭脳戦を繰り広げ、最後までハラハラドキドキ!
冒頭はエレベーター、メインはバス、最後は地下鉄といずれも動く密室を舞台に狂気の爆弾魔(デニス・ホッパー)と対峙するジャックがかっこよく、劇中ジャックがつけている〈Gショック〉(実際にもSWAT隊員が着用しているそう)やクルーカットが大流行。運転手のケガにより急遽バスのハンドルを握ることになった女子大生のアニー(サンドラ)との淡いロマンスもいい。
走る姿が豪快だったり、暴走バスを追いかけてド派手なカーチェイスを披露するなど、たくましいキアヌが観たいならうってつけな1本だ!
『マトリックス』
製作年/1999年 監督・脚本/ラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー 出演/キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス
最強へと成長するキアヌにグッとくる!
言わずと知れたアクション映画の金字塔。コンピューターによって作られた仮想現実から目覚めたネオ=キアヌが、モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)やトリニティ(キャリー=アン・モス)と共にコンピューターから人類を解放するための戦いに身を投じていく姿が描かれる。
VFX、ワイヤーアクション、バレットタイムなど、本作以前・以後ではアクションの撮影技術や表現方法がガラリと変わったことでも歴史的な1本。カラダを後ろにそらして銃弾を避けたり、対峙するふたりが空を舞いながら銃を向けあうなど、有名なシーンは今観てもワクワク度MAX。
特にキアヌが道着姿となり、格闘術を学ぶシーンは日本人にとって胸熱シーン。第2、3作と強くなっていくキアヌもいいのだが、やはり第1作での成長していく姿にはグッとくるものがある。
『ジョン・ウィック』
製作年/2014年 監督/チャド・スタエルスキ 出演/キアヌ・リーブス、ミカエル・ニクヴィスト、アルフィー・アレン
寡黙で孤独というキアヌらしさに魅了される!
裏社会で生きる凄腕の殺し屋だった男ジョン・ウィック。愛する女性と結婚し、平穏で幸福な日々を送っていたが、やがて妻は病死。さらに亡き妻が残した愛犬をかつての裏組織に殺されたことで憤怒、壮絶な復讐を遂げていくハードボイルドな作品。
本作では、柔術(カンフー)とガンアクションを融合した“ガンフー”を披露。敵をバッタバッタと倒していく様は痛快。『マトリックス』では流れるような華麗なアクションで魅了したが、こちらは至近距離での壮絶な格闘&銃撃戦が満喫できる!
また本作で演じるキャラは、寡黙で孤独な男。そういう面では、“サッドキアヌ”らしさも楽しめる1本といえるだろう。ちなみに製作総指揮も兼任している。
『アイアンマン』
製作年/2008年 監督/ジョン・ファブロー 出演/ロバート・ダウニーJr.、テレンス・ハワード、ジェフ・ブリッジス
魅力のすべて詰まっている!
アイアンマンなくして、現在のロバート・ダウニーJr.なし。2008年の『アイアンマン』以降、『アベンジャーズ/エンドゲーム』までの計10作で、マーベルコミックのスーパーヒーロー、アイアンマンを演じている。
『アイアンマン』登場時、巨大軍需企業のCEOだったトニー・スタークは、自社製品の罪を悟って改心。自らパワードスーツを開発し、平和のために戦うアイアンマンと化す。とんでもない金持ちで、とんでもない天才だが、それゆえに傲慢さも顔を出しがちなトニー・スタークは、もはやダウニーJr.以外に演じることなどできないキャラクター。
飄々としていて不遜な態度やスパイシーなユーモア、その内側に見え隠れする繊細さなど、彼のすべてを愛さずにはいられないシリーズファンが世界中に存在する。もちろん、ダウニーJr.の入門書としても最適。
『レヴェナント:蘇えりし者』
製作年/2015年 製作・監督/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 出演/レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン
レオ史上、最も粗野で男らしい!
ディカプリオがアカデミー賞候補入り5度めにして、初めて栄光をつかんだ1作。クマに襲われて重傷を負った男が、西部開拓時代の荒野で決死のサバイバルを繰り広げる。リアリティを追求するアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の下、ディカプリオは氷点下の中で裸になり、凍った川に飛び込み、動物の生肉を血まみれになりながら口にする体当たり演技を披露。
台詞もほとんどない中、自分を裏切った仲間への復讐心を胸に、生きることを渇望する男の心情を目と全身で語っているのがいい。ディカプリオ史上最もリアルなディカプリオとして、オスカー受賞も納得。また、過酷な事態に翻弄される主人公を演じてハマるディカプリオを知る意味でも、『インセプション』や『シャッター アイランド』などと並んでマスト作品。
『トップガン』
製作年/1986年 監督/トニー・スコット 出演/トム・クルーズ、ケリー・マクギリス、ヴァル・キルマー
20代前半の魅力がたっぷり!
アメリカ海軍の戦闘機兵器学校トップガンの天才パイロット“マーヴェリック”の挫折と成長、女性上官との恋愛を描いた世界的大ヒット作で、トム・クルーズがトップスターの仲間入りを果たした。MV感覚の疾走感あふれるスタイリッシュな映像はまさにトニー・スコット印。特にケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」やベルリンの「愛は吐息のように (Take My Breath Away)」は聴けば、この作品が思い浮かぶという人も多いのでは? アメリカ海軍全面協力のもとで実機を使用した飛行シーンも今観ても色褪せない迫力を感じさせる。
そして何と言ってもトムのかっこよさと言ったら! 若さゆえの無謀さ、アツさ、生意気さ、真っ直ぐさなど、20代前半のこの頃にしか出せない魅力がたっぷり。命知らずの危険な操縦をしつつもギリギリのところで敵機をかわすシーンは、本作で海軍志望者が増えたというのも納得のハラハラの爽快感だ。今年、34年ぶりの続編『トップガン マーヴェリック』が12月に公開予定。
『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』
製作年/2018年 監督/クリストファー・マッカリー 出演/トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、ヴィング・レイムズ
凝ったアクションするトムが観たいならコレ!
今やトム・クルーズのライフワークともなっているテッパン人気シリーズの6作めにして最新作。今回は敵に盗まれたプルトニウムを奪還するべくイーサン・ハントたちが世界を飛び回る。毎回、度肝を抜くアクションに自ら挑むトム・クルーズが今回も上空8000メートルからジャンプしたり、バイクチェイスしたり、ビルからビルへ飛び移ったり(このシーンで全治9カ月のケガをした)など、全編がクライマックスかというド迫力! 毎回、前作を上回る凝ったアクションを披露するのがもはやトムの生きがいとなっているに違いない。
命知らずでどんな不可能なミッションも遂行してしまうイーサン・ハントはトム・クルーズの当たり役でかっこいい!の一言だが、仲間のルーサー=ヴィング・レイムズやベンジー=サイモン・ペグとの軽妙なやり取りも見どころだ。
『コラテラル』
製作年/2004年 監督/マイケル・マン 出演/トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス、ジェイダ・ピンケット・スミス
悪いトムを堪能するならコレ!
トム・クルーズが初めて悪役を演じたことで話題になったサスペンス。証人抹殺のため、夜のLAに降り立った冷酷な殺し屋のヴィンセント(トム・クルーズ)と、彼をたまたま乗せたタクシー運転手のマックス(ジェイミー・フォックス)の一夜の攻防が描かれるのだが、古くは『ヒート』、近年では『フォードVSフェラーリ』など、男と男が対峙する作品を手がけたら天下一品のマイケル・マンがメガホンをとっただけに、本作もハードボイルドでシビれる展開。随所に散りばめられる哲学的なセリフ、夜のLAの光と闇の描写、トムやジェイミーをはじめ、マーク・ラファロやハヴィエル・バルデムなどの雄々しい面構え。すべてがかっこいい。
ヴィンセントとマックスのタクシーの中での会話やクライマックスの対決も見どころだが、中でも特にヴィンセントがマックスに言い訳的に「俺は撃っただけだ。殺したのは銃弾だ」と言うセリフが印象的。
『デッドプール』
製作/2016年 監督/ティム・ミラー 出演/ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン
スーパーヒーローの毒舌トークがとにかく愉快!
末期がんを告知された傭兵のウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)が、治療と引き換えに極秘人体実験の被験者に。驚異的な治癒能力を手に入れ、スーパーヒーローの"デッドプール"と化す。…が、世のため人のために戦うほかのヒーローとは違い、ウェイドはもともと気まぐれな傭兵で、煩悩だらけ。しかも、かなりおしゃべりで口も悪いウェイドの戦いは、人体実験の過程で彼の全身を醜く焼けただれさせた悪徳科学者への復讐を掲げながら、混沌へと突き進む。
自らを"俺ちゃん"と名乗り、おちゃめな態度で心の傷を隠すウェイドのマシンガントークは聞いているだけで(相当疲れるが)愉快だし、あらゆるポップカルチャーネタもふんだんに盛り込まれていてかなり楽しい。また、おしゃべりが過ぎて、彼の物語を見ている観客に話しかけてくることもあり(!)、文字通り笑いの渦に巻き込んでくるのも愉快。
『ブラックパンサー』
製作年/2018年 監督/ライアン・クーグラー 出演/チャドウィック・ボーズマン、マイケル・B・ジョーダン
他者を受け入れ、慈しみ合いましょう!
高い文明と科学技術を持つワカンダの国王にして、スーパーヒーローの“ブラックパンサー”でもあるティ・チャカ(チャドウィック・ボーズマン)。技術の悪用を防ぐため、何世代にもわたって諸外国とのつながりを断ってきたワカンダだったが、大きな戦いを終えたティ・チャカはワカンダの真実を公表し、知識や技術を世界と共有することを決意。
自ら国連本部に赴き、重大発表のスピーチを行う。「私たちは、模範となりたい。この地球上の兄弟姉妹として、私たちはどのように互いと触れ合うべきか。他者を受け入れ、慈しみ合いましょう。人類は1つの民族として生きるのです」。このティ・チャカの言葉は分断著しい現代に向けられたものであり、全人類が真摯に受け止めるべきものだといえる。
『ブレイブハート』
製作年/1995年 監督・出演/メル・ギブソン 出演/ソフィー・マルソー
命は奪えても、自由は誰にも奪えない!
13世紀末のスコットランドで、残虐な英国王エドワード1世の侵略と圧政に苦しみ、家族を皆殺しにされたウィリアム・ウォレス(メル・ギブソン)。そんなウォレスがスコットランドの独立を目指し、民衆の支持を得て抵抗運動を展開していく中、英国の大軍とスコットランドの兵たちが激突する地で大演説。
怖気づくスコットランド兵たちを前に、「命は奪えても、自由は誰にも奪えない!」と訴える。しかも、この言葉の真の意味がじわじわと胸に迫ってくるのはウォレスのその後の運命を知ってから。やがて英国軍に囚われた彼は惨たらしく処刑されながらも、最後まで自由の尊さを叫ぶ。自らを犠牲にしても、大勢の未来のために自由を求める。ウォレスの強い意志から学べることは多い。
『ディパーテッド』
製作年/2006年 製作・監督/マーティン・スコセッシ 出演/レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグ
警察とマフィアに潜入した男たちの交錯にハラハラ!
レオナルド・ディカプリオとマット・デイモンの競演による覆面捜査もの。バイオレンス描写を得意とするマーティン・スコセッシ監督によるツボを押さえた演出で、アカデミー賞作品賞に輝いている。
ディカプリオ演じるビリーは警察から犯罪組織に、デイモン扮するコリンは逆にギャングから警察へと、それぞれ身分を偽って潜入することに。犯罪組織、警察と、どちらも内通者がいることに気づくが、人狼ゲームさながらに正体をつかむことができない。周囲を欺いて暮らすうちに、本当の自分を見失いそうになり、苦悩するビリーの姿は観ていて、心が痛むはず。
全編とおして緊迫感があるのだが、イチオシなのは2人が最接近する劇場のシーン。ビリーの仕掛けた罠と知らず、組織のボス、コステロとコリンが密会。後方で息を潜めるビリーは、立ち去るコリンを追いかけ路地裏を駆け抜ける。暗闇で、互いの存在を感じ取り、武器を構える……と、残念ながら、ここでのマッチアップはお預け。しかし、互いの身分がバレるかもしれない、というドキドキ感は存分に味わえる名場面だ。
『ザ・ブリザード』
製作年/2016年 監督/クレイグ・ギレスピー 出演/クリス・パイン、ケイシー・アフレック、エリック・バナ
救助に大事なことは、“捨て身の覚悟”と“千載一遇の機会を逃さないこと!”
1952年、未曽有のブリザード(暴風雪)がアメリカ東海岸を直撃! 巨大タンカーが座礁して真っ二つになり、32人の生存者が海の只中に取り残されてしまった(コレって実話)。この事故がとんでもなかったのは、あまりにも救出が困難な状況だったこと。風速40mの大吹雪、波の高さは20mもある。通常であれば救助に向かえる天候ではない。が、そんな中救出に向かったのがわずか定員12人の救命艇一艘。しかも、船のコンパスが壊れてしまい、乗りこんだ4人の湾岸警備隊員は運と勘だけで沈みゆくタンカーを見つけなくてはならなくなったのだ!
映画の中で男らしさを感じるのが、救出に向かう湾岸警備隊の勇気。正直、嵐の中でタンカーを探すのは命がけの行為。しかし、沈みゆく命を救うには、無謀ともいえる捨て身さで挑まないとできないことを救助隊は教えてくれる。さらに、12人乗りの救命艇で、生存者32人を救わなければならない窮地では、全員の乗船を即決。最後の1人が救助艇に乗ったあとタンカーが沈没。救助はワンチャンスを掴まなくてはダメ。迷っていてはいけないことを肝に命じておきたい。
そして一方、救助を待つ人たちの機転も胸に刻みたい。救助艇の目印となる灯台が、嵐による停電でダウン。それを知った人々は、クルマを持ち寄り、ライトを点灯させて船の向かう先を誘導したのだ。何が起こるかわからない災害時。頼りになるのは、恐れずに立ち向かう心意気と先を読む発想ということだ。
『カリフォルニア・ダウン』
製作年/2015年 監督/ブラッド・ペイトン 出演/ドウェイン・ジョンソン、カーラ・グギーノ
巨大地震での救助はヘリコプターが有効!?
サンアンドレアス断層が縦断するカリフォルニア州は地震多発地帯として知られている。そんな中、いまだ誰も体験したことがないレベルの大地震が襲ってきたら? そんな「もしも」をスペクタクル描写満載で描いたパニック超大作が『カリフォルニア・ダウン』。大都市ロサンゼルスが崩壊、サンフランシスコも崩壊。アメリカが誇るフーバーダムも決壊。そんな中、“ロック様”ことドウェイン・ジョンソン扮するレスキュー隊員が家族を救出するべく大奮闘する。
この作品で描かれる地震は超巨大レベル。想像を超える揺れに、高層ビルは次々と崩れ落ち、中には真ん中から裂けて崩壊するビルまで出てくる。逃げ惑う人々の上には瓦礫が降りかかるなど、さすがに地上では救助どころではなさそう。そうなると、「主人公のようにヘリコプターでのレスキューが現実的なのかもしれない」。実際、我々が住む日本も、南海トラフ巨大地震が懸念されているため、他人事ではない。避難ルートの確認や、食料の備蓄はもちろん備えておくべき。そのうえ、ドウェイン並みにヘリコプターの免許を取得しておけば、これほど“頼りになる男”いないかも!?
『バックドラフト』
製作年/1991年 監督/ロン・ハワード 出演/カート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン、ロバート・デ・ニーロ
火災現場では、不用意にドアを開けてはいけない!
消防士となった兄弟の葛藤と絆を描いた感動作。同じく消防士だった父親の後を継いで消防士一筋でやってきた兄スティーブンと、新米消防士として現場に配属された弟のブライアン。2人が駆けつける火災現場シーンでのリアルな炎の表現がなんとも圧巻な作品で、話題となった。
この作品が教えてくれるのは、とにかく火災に際には「不用意に扉を開けちゃダメ!」ということ。火災で高温になった密閉空間の扉や窓を開けると、急速に酸素が流れこんで大爆発が起きる現象“バックドラフト”が襲いかかるからだ。
消防士でもないのに燃えさかる炎の中で救出活動する機会はまずないが、しかし万が一、火災現場での救助に直面したら、扉を開ける際には十分気をつけるべし。そのためにもまずは本作を観て心の準備をしておけば、いざというときにオタオタせずに済むはずだ!
『守護神』
製作年/2006年 監督/アンドリュー・デイビス 出演/ケビン・コスナー、アシュトン・カッチャー
混乱の中でも冷静さを失わないこと!
アメリカ沿岸警備隊のエリート養成学校を舞台に、“守護神”の異名を持つ伝説的な沿岸警備隊員ベンと新人訓練生ジェイクの絆と成長を描いたアクションドラマ。この映画が興味深いのは、新人ジェイクを1人前にするという物語だけでなく、教える立場のベンがジェイクを通じて過去のトラウマから立ち直るという点も織りこまれているところだ。クライマックスでの命を賭けた2人のレスキューシーンは胸が詰まること必至。
本作が教えてくれるのは、救助現場での心得。舞台こそ、嵐の中でのレスキューと現実ではなかなか遭遇しないシチュエーション。しかし、ケビン・コスナー演じる教官ベンが語る、「混乱の中でも冷静さを失うな」という教えは、あらゆるケースに当てはまる。劇中でも、事故に遭遇した救助者が動揺して暴れるため、救助作業の邪魔となる場面が出てくる。その際にベンは顔面を殴って黙らせる荒技を披露(⁉)。そこまでしなくともいいだろうが、万一の場面では、まず冷静になることが“頼れる男”の第一歩であることは間違いない。
『エベレスト3D』
製作年/2015年 監督/パルタザール・コルマウクル 出演/ジェイソン・クラーク、ジョシュ・ブローリン、サム・ワーシントン、キーラ・ナイトレイ
どんな状況でも“最後まであきらめないこと”
1996年に発生した、エベレスト登山史上最悪といわれた大量遭難事故を映画化した作品。遭難したのは探検家ロブ・ホールが率いる登山隊。病理学者のベックのほか、日本の登山家・難波康子も参加していた。彼らの多くはエベレスト登頂には成功したのだが、ふとした判断の遅れから下山中に強烈な嵐に襲われて、立ち往生してしまったのだ。
遭難を知ったベースキャンプでは、登山ガイドのガイらがレスキュー活動に奔走。難所で身動きができないロブには、なんとか気力を振り絞って下山してもらわなくては! と、自宅で彼の帰りを待つ妻と衛星電話を繋いで会話をさせる。また、命からがらベースキャンプへ戻ってきたベックには、すぐに救助ヘリを要請。本来ヘリコプターを飛ばすことができないほどの高度だが、救助ヘリ側も命がけでフライトを敢行する。
この物語が素晴らしいのは、遭難者たちのサバイバルだけでなく、彼らを救おうとレスキュー活動する者たちの“最後まであきらめてはいけない”というメッセージがしっかりと描かれているところ。“頼れる男”は“あきらめない男”でもあるべきなのだ。
『シャーロック・ホームズ』
製作年/2009年 監督/ガイ・リッチー 出演/ロバート・ダウニーJr.、ジュード・ロウ
互いの弱点を補うバディが理想なら、このホームズ&ワトソンを見習うべし!
難事件に挑むバディといえば、やはり19世紀ロンドンの名探偵シャーロック・ホームズと相棒のジョン・ワトソン。アーサー・コナン・ドイルの小説を原作に、これまで様々なホームズとワトソンが誕生してきたが、ロバート・ダウニーJr.&ジュード・ロウのホームズ&ワトソンは互いへの精神的依存度が高めなのが特徴。天才肌で面倒臭い男ホームズを、冷静で常識的なワトソンが、なんだかんだでナイスサポートしている関係だ。
それは連続殺人犯などを追いかける際などに顕著。ついつい派手に暴れすぎて、ついには留置所送りになるホームズに、ガツンと説教するのがワトソンの役目だ。また、彼ら2人は互いを補うだけでなく、似た者同士のところも。ホームズが細身だが鍛え抜かれたボディで壮絶アクションを披露すれば、戦争経験のあるワトソンも武闘派ぶりを発揮。互いにじっとしていられない性分なので、結局は2人で騒動を巻き起こしてしまう。
事件解決という目標を達成するには、バディ同士の相違点と共通点のバランスがキモだと実感させる。そういった意味でも、ホームズ&ワトソンの相棒関係は実に理想的!?
『バッドボーイズ』
製作年/1995年 監督/マイケル・ベイ 出演/ウィル・スミス、マーティン・ローレンス
子供の頃のような無邪気な関係になれるマーカスとマイクに憧れる!
学生時代の親友みたいにくだらない話をし、ときには文句を言い合うが、やっぱり離れられない。そんな腐れ縁のようなバディが理想ならば、なにかと暴走してしまうこの2人に魅了されるに違いない。
マイアミ市警に保管されていた1億ドル相当の押収ヘロインが、何者かに盗まれた。外部に漏れる前に解決したい当局は、マーカスとマイク両刑事にその任を命じる……。家族主義者のマーカスと、プレイボーイのマイク。正反対の性格で事件現場でもケンカをはじめるほどだが、いざとなったら抜群のコンビネーションを発揮する。悪ガキが大人になったような彼らは、常に掛け合い漫才のようなやり取りをしている。この間柄が、なんとも羨ましく思えるバディだ。
胸が熱くなるのは、互いを救出する場面。マーカスが敵の乗るクルマに轢かれそうなピンチにマイクが飛び出して助ければ、クライマックスでの空港倉庫内の銃撃戦では、今度はマーカスがお返しとばかりにマイクの窮地を救う。これぞバディの醍醐味、と思わせる名シーンだ。そして事件解決後には、「やっぱりお前は最高の相棒だ」と語り合う。波長が合う人こそ、何者にも代えがたい存在なんだと気づかされる1本だ。
『ヴェノム』
製作年/2018年 監督/ルーベン・フライシャー 出演/トム・ハーディ
地球外生命体だって意外と楽しいかも!?
ときとして、文化も常識も全く異なる相手とバディを組まなくてはいけなくなることも。その場合に参考にしたいのが本作での、エディとシンビオートの関係性だ。なにせ、シンビオートは地球外生命体(!)。それと意思疎通を図っていくのだから、これ以上の苦労はないだろう。
敏腕だが落ちぶれてしまったジャーナリストのエディ・ブロックと、彼に寄生する液体型地球外生命体のシンビオート。ひょんなことから運命共同体となった彼ら。しかしながら、肉体を共有し、一挙一動を共にする2人の関係は紛れもなく“相棒”だ。もちろん、寄生された当初のエディはシンビオートの存在を受け入れられず、アタフタしたり、憔悴したり。シンビオートには凶暴性があり、人間を喰らおうとするのだから、それも致し方ない。
だが、そんなエディとシンビオートが、悪の財団との闘いを繰り広げる中で相棒感を強めていく。人間を見れば誰でもパクつこうとする食いしん坊のシンビオートと、彼を制するエディ。自分をフッた元恋人を相手にまごつくエディと、彼に発破をかけ背中を押すシンビオート。いつの間にか、仲良し!? となると、肉体の共有は意思疎通において、むしろ利点といえるかもしれない。映画のように寄生はできないけれど、なにもかも異なる相手とは、かえってシェアハウスで暮らすといった密着生活を送ればベストな関係になるかも!?
『コードネームU.N.C.L.E.』
製作年/2015年 監督/ガイ・リッチー 出演/ヘンリー・カビル、アーミー・ハマー
“目的が同じなら手を組む”プロらしい関係性こそ現実的なバディ!
大人ともなると、ベタベタと依存し合う関係性よりは、普段は別行動だが目的が合致すると命を投げ出してでも助け合う、そんな距離感が理想。そう思っている人には、こちらのバディがおすすめ。
CIAとKGB。女たらしのお調子者と超真面目な堅物。大きな心臓と脆弱なメンタル。敏腕スパイであるという共通点以外は、生まれ育った国も、性格も対照的。そんな男2人が世界の破滅を阻止するため、手に手を取り合って巨悪に立ち向かう。しかも、時代は冷戦下の’60年代。どう考えても上手くいきそうにないが、意外と好相性なのがCIAのナポレオン・ソロとKGBのイリヤ・クリヤキンだ。
互いの行動を監視しては、それを非難し合う2人。しかし、ソロが敵に捕まり拷問を受けているとなれば、密かに取りつけた追跡装置が役に立ち、クリヤキンがその窮地を救う。結果的に凸と凹がぴったりはまる、そんな展開がなんとも面白い。もともと友達同士でなくとも、取り巻く環境が異なっていても、性格や生き方すら違っても、共有する目的があれば人は通じ合えることをソロとクリヤキンが教えてくれる。
『ヒート』
製作年/1995年 製作・監督・脚本/マイケル・マン 出演/アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ
男なら、何事にも“プロ意識”を持って挑め!
ロバート・デ・ニーロ演じるギャングのボス、ニール。そしてアル・パチーノ演じるLA市警刑事のヴィンセント。ともに自分の仕事に過剰なまでのプライドを持った、プロ中のプロだ。そのうえ、名優同士がハイレベルの熱演を披露。絶対に譲れない男のプライドを表現したこの『ヒート』は、ハードな男の世界を体感させてくれる。
そんな男のプライドの中でも我らが参考にすべきは、 “プロ意識”の高さだ。強盗集団を率いるニールの場合、たとえば白昼、銀行へ押し入るシーンでは、その大胆かつ冷静な動きに犯罪者ながら“仕事人”としての完璧さが光る。それを象徴するのが、家具が一切置かれていない彼の自宅だ。この理由は、「30秒フラットで高飛びできるよう面倒な関わりを持つな」という言葉にある。要は、危険が押し迫ったときに身一つで逃げられるように。そして、大切な人がいたらその人まで巻き込まないように……っていう彼の哲学なわけ。犯罪者だということを除けば、その生業にストイックに向き合う姿勢やプロとしてのあり方は、男として学ぶべきところがある。
そしてヴィンセントもまた“仕事に憑かれた男”だ。仕事に没頭するとほかの事を忘れて行動してしまう性格。その代償として、家庭を失うという男の悲哀も突きつけられるのだ。この主人公2人を中心に『ヒート』に出てくる男たちに共通するのは、損得に関係なく、カラダの中から湧き出してくる“本能”が原動力になっているという点。実際には、まわりに迷惑をかけるので真似できないが、その本能のままに行動できる男らしい心意気だけは持っておきたい。
『ラスト・オブ・モヒカン』
製作年/1992年 製作・監督・脚本/マイケル・マン 出演/ダニエル・デイ・ルイス
男なら、約束を守る有言実行な人間になれ!
愛する女性のために、自らの命を差し出す勇気はあるか? この『ラスト・オブ・モヒカン』でダニエル・デイ=ルイスが演じるモヒカン族のホークアイは、要所で究極の決断を口にする。イギリス軍指揮官の娘で、愛する女性のコーラが火あぶりの刑に処せられそうになると、代わりに自分を火あぶりにしてくれとまでいうのだ。その自己犠牲の精神は、マイケル・マン映画の中でもトップクラスだろう。
主人公ホークアイの原動力はなにかといえば、シンプルに“約束や誓いを守ること”である。イギリス人開拓者の息子ながら、アメリカ先住民のモヒカン族に育てられたこともあって、自分の言動への責任感や覚悟が半端ない。コーラが連れ去られるときのホークアイのセリフがすべてを物語っている。「何があっても生き延びるんだ。そうすれば俺が見つけてやる。どんなに時間がかかっても、どんなに遠くの場所にいても、必ず見つけ出す」。有言実行の男に誰もが惚れるはずである。
『マイアミ・バイス』
製作年/2006年 製作・監督・脚本/マイケル・マン 出演/コリン・ファレル、ジェイミー・フォックス
男なら、度胸を据えて立ち向かえ!
麻薬組織に潜入捜査をしていたFBI捜査官が殺害された。情報漏えいを疑うFBIは、捜査に関与していないマイアミ特捜課ソニーとリコに漏えいルートの割り出しを依頼。2人は麻薬の運び屋に成りすまし、組織との接触を図ろうとする……。潜入捜査という過酷な任務が男ゴコロをくすぐる一作。オリジナルのテレビシリーズ版も手掛けていたマイケル・マンが、雰囲気を一新させ、ハードボイルド映画に仕立てている。
当然ながら、そんな2人を潜入先の組織は警戒。現場を取り仕切るイエロは疑いの目を向け、詰問してくる。そこでのソニーとリコの駆け引きが実にお見事。慌てず、騒がず、自らを説明。それでも脅してくる相手に、手榴弾を片手に握りしめ、覚悟を示す。この一歩も引かない度胸のよさに男らしさを感じずにはいられない。
男たちがしのぎを削る世界が得意なマイケル・マン作品にあって、本作はコン・リー演じる美女イザベラとソニーが恋物語を展開。珍しくラブシーンも多いのだが、でも観せたいのはそこではない。愛した女性を組織から逃がすために命を賭けるなどの、男の熱い生き様、そしてみなぎるスピリットだ。人生の中でピンチは何度も訪れる。つい逃げたくなるが、そこは度胸を据えて立ち向かいたい。そこにそこ男の美学があると、この映画は教えてくれている。
『サウスポー』
製作年/2015年 監督/アントワーン・フークア 出演/ジェイク・ギレンホール、フォレスト・ウィテカー
王座から転落した後、いかに復活したらよいか?その答えがここにある!
無敵のチャンピオンの座についた者は、その座から転落したときにこそ、真の強さが試される。この映画の主人公は、まさにその典型的な例だ。世界ライトヘビー級の王者となったビリー・ホープは、パーティの席でライバル選手から挑発され、大ゲンカに発展。相手の仲間が撃った銃によって、ビリーの妻は命を落としてしまう。自暴自棄になったビリーは当然のごとく試合に負け続け、生きる希望も失い、ついには自殺未遂も引き起こす。そのことで、愛する娘とも引き離されてしまう。
絵に描いたような転落劇だが、何もかも失ったどん底状態でも、人は立ち上がることができるのだ。この『サウスポー』は、そんな人間の“本能”をストレートに描き、有無を言わさぬ感動を届けてくれる。復活を支えるのが、かつてのライバル選手のトレーナーだという設定も絶妙だ。ビリー役のジェイク・ギレンホールが王者時代→絶不調時→復活時と、肉体をリアルに変化させ、ボクサーの奇跡を文字どおり体現している。その役者魂が、観る者を圧倒する。
『ビニー/信じる男』
製作年/2016年 原案・監督・脚本/ベン・ヤンガー 出演/マイルズ・テラー
大怪我をしても信念があれば復活できる!
アスリートにとってケガは重要なターニングポイントとなる。ましてや選手生命を危うくする大ケガの場合は、その後の人生を一変させてしまう。今作の主人公、ビニー・パジェンサはプライドが高く、自分の実力を信じて疑わない、ボクサーらしい資質を備えた男。そんな彼がチャンピオンにコテンパンに打ち負かされる。これが一度めの挫折。2度目は、新たなトレーナーに指導を仰ぎ、階級を上げて、念願の王座を掴んだビニーに訪れる。チャンピオンになったその直後に交通事故で首を骨折してしまうのだ。なんと、ボクサーとしての再起は不可能という最大の挫折に苦しむことになる。
復活を目指すには、一か八かの賭けが必要だった。そして何より、その賭けには強い“信念”も要求される。ビニーは失敗のリスクが高いといわれる脊髄固定手術を受け、そしてボクサーとして再びリングに上がるため、過酷なリハビリに挑んだ。これがフィクションなら出来すぎの話だろう。だが、ビニー・パジェンサは、5度の世界チャンピオンに輝いた実在のボクサー。アスリートの大ケガからの復活という点で、ここまで壮絶でドラマチックな実話も珍しい。タイトルどおり“信じる”心こそが、肉体の回復も呼び起こすのである。
『デイライト』
製作年/1996年 監督/ロブ・コーエン 出演/シルヴェスター・スタローン、ヴィゴ・モーテンセン
絶望的な状況下、いかに皆を鼓舞するのかが大事だ!
もしも、長~いトンネル内で交通事故に巻きこまれたら? そんな自分にも本当に起こりうる恐怖をまざまざと描いた本作。それだけに、いざという時のための脳内シミュレーションにはうってつけの作品だ。
危険な廃棄物を積んでいる大型運送車に暴走車が激突したことから、海底トンネル内で大爆発が起き、多くの人たちがトンネル内に取り残されてしまう。外部と連絡もとれず、空気もだんだんと薄くなり、誰もが疑心暗鬼状態へと陥るはめに。ヒット作『ワイルド・スピード』で知られるロブ・コーエン監督だけに、パニックシーンはド迫力。
本作で参考にしたいのが、災害下における人間の心理状況。パニックになると、自分の身を守ることしか考えられなくなることもある。それを肝に命じておきたい。そこで理想としておきたいのが、スタローン演じるタクシー運転手ラトゥーラの行動。トンネル内に残された人々に対して「希望はある。諦めちゃダメだ!」とあきらめずに鼓舞するのだ。子の姿を見て、生存者たちは人命救助に尽力するスタローンに協力するようになる。脱出途中では、老人ジョージを連れていくことができない、無念の決断を下すシーンもあるが、それを乗り越えて一致団結し、脱出を目指していく。
『サンクタム』
製作年/2010年 監督/アリスター・グリアソン 出演/リチャード・クロスバーグ、リース・ウェイクフィールド
地下洞窟が増水するとこんな危険な目に!
ジェームズ・キャメロン製作総指揮による冒険パニック映画。パプアニューギニアの巨大地下洞窟を調査していた探検隊が豪雨によって閉じこめられ、水没の危機に立ち向かうことに。実はこの作品はキャメロンの仕事仲間で、洞窟探検家でもあるアンドリュー・ワイトの体験談から生まれた作品なのだ。高性能な3Dカメラで撮影された洞窟内の神秘的な美しさにはついつい魅了されてしまう。
タイでの脱出劇も困難を極めていたが、増水した洞窟内を抜け出すのはとても難しいことが本作を見るとよくわかる。水の勢いで大岩が落下して出口をふさいでしまったり、水流によって流され岩肌にカラダを打ちつける、なんてことも。脱出に手こずると当然ながらボンベ内の酸素も少なくなるし、酸素チューブが破裂するといった想定外なトラブルも起こったりする。
確かに本作のような地下洞窟の潜水は、冒険家でなければなかなか行わないことだろう。けれども、台風による増水被害は日本でも発生するし、先日などはヨルダンのペトラ遺跡で観光中に濁流が流れこみ、危機一髪で避難したなんていう出来事もあった。水の怖さを知る上でも、本作を見ておくことをおすすめします!
『タワーリング・インフェルノ』
製作年/1971年 監督/ジョン・ギラーミン 出演/スティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン
“絶対安全”は信用しないことが生存への第一歩!
地上138階という高層ビルでの火災の恐怖を描いたディザスター大作。全自動化された最新の防火システムを備えた高層ビルだが、電気系統の故障からシステムが作動せず、事態を甘く見ていた人々が最上層に取り残されてしまう。福島第一原発も電気系統のトラブルから大惨事を招いたように、“絶対安全”を謳ったものほど、想定外の出来事には意外と弱いことがわかる。
高層ビル内の火災は、廊下や非常階段が煙突効果を担ってしまい、想像以上に火のまわりが速い。本作を観ると、むやみにドアを開けずに冷静に避難通路を見極めることが重要であることがわかる。高層ビルの設計士を演じたポール・ニューマンが最後まで生き残ったように、巨大施設の構造を理解している人と行動をともにするのも大事なこと。ちなみにファイヤーマンコートを粋に着こなすマックイーンのダンディさにも注目。
『勝利への脱出』
製作年/1981年 監督/ジョン・ヒューストン 出演/シルヴェスター・スタローン、マイケル・ケイン
計画通りにいかなくても、諦めなければチャンスはやってくる!
第二次世界大戦中、ドイツ軍とその捕虜となっていた連合軍との間で行なわれたサッカーの親善試合を題材にした異色の戦争脱出映画。シルヴェスター・スタローン、マイケル・ケインら人気スターに加え、“サッカーの王様”と呼ばれた元ブラジル代表選手のペレが出演。脱走サスペンスの妙味とサッカー映画としての面白さを同時に楽しませてくれる。
さて収容所にいる捕虜がどうやってスタジアムから逃げるかというと、そこにはレジスタンス組織が一役買っているわけだ。控え室にある浴槽へと繋がるトンネルを密かに掘って、ハーフタイム中に捕虜チームを脱走させようとするのだ。ところが、試合を戦っている捕虜たちは、劣勢な試合ながら「必ず勝てる」とテンションが上がりまくり。途中での脱走を拒み、試合を続行してしまう。
試合は奇跡の同点シュートに、終了間際のPKで捕虜チームのキーパー、スタローンがビッグセーブを決めたことで敵味方関係なく大喝采。興奮した観客がグラウンドになだれこんでしまう。そこに紛れた捕虜チームは群衆に囲まれる中でレジスタンス組織が用意した私服に着替えて、まんまと外へと逃げ延びる。計画通りとはいかないものの、希望さえ持っていれば、いつかチャンスは転がってくる、ということを教えてくれる作品だ。
『オーシャンズ11』
製作年/2001年 監督/スティーヴン・ソダーバーグ 出演/ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン
凄腕の詐欺テクニックを知れば、対処すべきセキュリティ方法がわかる!
どんな警備も突破する凄腕たちを前にすると、その安全神話も崩壊気味だが、シンプルに普段と違う出来事や人がいたら怪しむことが第一と思わせるのが本作。
凄腕の詐欺師ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)が犯罪スペシャリストの仲間たちとともに、ラスベガスのカジノの金庫破りに挑む。金庫破りと一口に言っても、ダニーらが狙うのはセキュリティ万全の巨大金庫。実行当日、ベガス3大カジノの金が集まる金庫には1億6000万ドル以上の金が眠っているらしく、プロジェクトは壮大さを極めていく。
リーダーのダニーをはじめ、カジノのディーラー、事情通の資産家、爆破の専門家、中国雑技団の曲芸師、通信技師、スリなど、揃った面々は全員その道のプロフェッショナル。いわば、総力戦のため彼らの計画を見破るのはプロでもなかなか難しいうえに、そもそもカジノ経営者でも
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text:Hiroaki Saito、Hikaru Watanabe、Mayuko Kumagai、Manabu Souma、Toru Yonehara