『ミッション:インポッシブル/ファイナルレコニング』(5/23公開)
2024年には洋画の実写作品に特大ヒットが出なかったが、その分、2025年は巻き返しが期待される。この命運を握っているのが、日本でも圧倒的な人気を誇るブロックバスターのシリーズ2作だ。
2022年の『トップガン マーヴェリック』は日本での興行収入が138億円、2023年の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE』は同54.3億円と、トム・クルーズ主演作はハイアベレージの成績を残している。後者の続きで、シリーズ通算8作目となる『ミッション:インポッシブル/ファイナルレコニング』(5/23公開)は、大きな話題となることだろう。前作に続いてイーサン・ハントの過去も重要なポイントになるうえ、1996年の1作目などシリーズ初期作との繋がりも濃厚なようで“集大成”という言葉に偽りはない。もしかしてトム・クルーズのイーサン役がこれで最後かも……という噂もあるし、空中や水中でのトムの過酷を極めるスタントも予告されている。社会現象を起こした『トップガン マーヴェリック』と同じ5月公開というのも、メガヒットの予想を加速させる。
『ジュラシック・ワールド:リバース』(夏公開)※撮影中のカット
もう一本は、新作がつねに年間トップ10に入る『ジュラシック』シリーズ。スティーヴン・スピルバーグ監督が映像の歴史を変えた『ジュラシック・パーク』から数えると7作目、『ジュラシック・ワールド』と名前が変わってから4作目となる『ジュラシック・ワールド:リバース』(夏公開)は、前作から5年後を舞台に、人類の薬のために恐竜からDVAを採取するプロジェクトが描かれる。主演はスカーレット・ヨハンソン。監督を任されたのは『GODZILLA/ゴジラ』のギャレス・エドワーズなので、恐竜のアクションは信頼度満点だ。
この2トップ以外で、ヒットを狙えるアクション大作、または大穴のポテンシャルを秘めた作品も数多い。『アベンジャーズ』シリーズが一旦終了し、やや落ち着いた感のあるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)では、『サンダーボルツ*』(5/2公開)に注目したい。マーベル映画の“クセ強”系ヴィランが集結し、アメリカ国家のためのミッションを任されるとあって、痛快なノリが予感される。ウィンター・ソルジャー役のセバスチャン・スタン、2代目ブラック・ウィドウ役のフローレンス・ピューのほか、アメリカ大統領役でハリソン・フォードが出演している。ハリソンのこの役は、MCUのもう一本『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2/14公開)で初登場となるので、2025年のMCUの“顔”と言っていい。
キアヌ・リーヴスのライフワークとなった『ジョン・ウィック』シリーズからは、スピンオフの『バレリーナ』が待機している。3作目の『ジョン・ウィック:パラベラム』にちらっと出ていた、ダンサーで暗殺者の“バレリーナ”が主人公。演じるのは『007』のボンドガール以来、大人気となったアナ・デ・アルマスで、もちろんキアヌのジョン・ウィックも登場する。『ボヘミアン・ラプソディ』でアカデミー賞主演男優賞に輝いたラミ・マレックが、アクションたっぷりのスパイスリラーで主演を務める『アマチュア』(4/11公開)も要チェックの作品だ。戦闘や暗殺の経験がゼロという男が、妻を殺したテロリストに復讐するというプロットなので、観ているこちらの共感度が爆上がりする可能性は大。そしてサプライズに期待できるのが『ミッキー17』(6/6公開)だ。韓国のポン・ジュノ監督が『パラサイト 半地下の家族』の後、ハリウッドのメジャースタジオと組んだというだけで期待感がアップ。命を落としながら何度も肉体を再生させる主人公が、宇宙での過酷な仕事などに挑むドラマで、またも未体験の世界を提供してくれそうだ。主演は『TENET テネット』などのロバート・パティンソン。
また侮れないのが、人気ゲームの映画化だ。2023年に『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』が大ヒットしたのも記憶に新しい。2025年、その役割を担うのが『マインクラフト/ザ・ムービー』(GW公開)。世界での売り上げが3億本を超え、日本でも“マイクラ”と呼ばれ大人気のビデオゲームが、満を持しての実写化。生き物を含めてすべてが四角形のスタイルをした異世界で、ノンストップのアドベンチャーが繰り広げられる。主演は『アクアマン』のジェイソン・モモアなのでアクションも満載のはず。カラフルなビジュアルだけでテンションが上がるが、アニメ化だった『マリオ』と違って、ゲームの実写化は当たりハズレの振れ幅が大きい。どちらに転ぶかわからないのも、ある意味、楽しみだ。
最後に最も気になるのが、この新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(12月公開予定)だ。2009年公開の第1作は日本でも興行収入159億円の超特大ヒット。これは洋画歴代の5位。そして世界興収は現在も歴代1位という『アバター』。しかし13年後の2作目『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は世界で歴代3位の成績を収めるも、日本では期待の数字に達しなかった。この3作目はファイヤー(炎)、アッシュ(灰)というタイトルから想像すると、前作の海とは違った世界が舞台になるはず。新たな生命体も登場するということで、さらなる革新的映像がお目見えするこの新作が、日本で起死回生の挽回を見せてほしいが……。
期待作が予定どおり、またはそれ以上の数字を記録するのか。そして予想外のヒット作がいくつも生まれるのか。2025年の洋画の活況に期待したい。
※正式な邦題が決まっていない作品は、原題で表記しています。
※公開時期が表記されていない作品は「2025年公開予定」ですが、日本公開が2026年になる可能性もあります。
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