Safari Online

SEARCH

CULTURE カルチャー

2024.03.01

MLBの挑戦者たち〜メジャーリーグに挑んだ全日本人選手の足跡
Vol.12 野村貴仁/バレンタインも惚れ込んだ鉄腕


【Profile】野村貴仁(のむら・たかひと)/1969年1月10日生まれ、高知県出身。日米通算24勝22敗39セーブ2ホールド(1992〜2003年)

現役引退後の出来事、そしてその後の変貌した姿のイメージも強い野村貴仁だが、現在は地元・高知で農業などを中心に穏やかな生活を送っているようである。野球選手としての野村は、非常に優秀なリリーフ左腕として、主にオリックス・ブルーウェーブ(当時)で活躍した。身長170㎝と小柄ながら、キレのある速球とスライダー、そして躊躇なくインコースを突く強気の投球が持ち味。とくに記憶に残っているのが、1996年の日本シリーズ(オリックス・ブルーウェーブvs読売ジャイアンツ)での名勝負だ。野村は巨人の若き主砲・松井秀喜キラーとして4試合に登板。3度にわたり野村が完璧に抑え込んだが、4度目の対戦で松井が二塁打を放ってリベンジを果たした。
 

  

 

2002年4月9日、セントルイス・カージナル戦の7回裏に登板

1997年、オリックスに在籍していた野村をめぐり興味深い動きがあった。当時ニューヨーク・メッツで指揮を執っていた元ロッテ監督のボビー・バレンタインが、2年連続50試合登板以上の活躍を見せていた野村の獲得を熱望。3Aのプロスペクトだったロベルト・ペタジーニとの交換トレードを打診した。仰木彬監督をはじめとした現場スタッフは前向きだったものの、球団フロントがペタジーニの獲得を見送り、トレード話も立ち消えになってしまったという。ペタジーニといえば、’98年にヤクルトに入団し、巨人でも活躍した超優良助っ人。オリックスの逃した魚はあまりにも大きかった。

野村はその後、’98年に木田優夫との交換トレードで読売ジャイアンツに移籍。しかし思うような結果が残せず、2001年オフに退団を余儀なくされる。そこでMLBの入団テストを受けることにした。先のトレード話の一件もあり、米球団からの評価もそれなりに高かっただろうし、本人もある程度の自信があったのではないだろうか。見事、ミルウォーキー・ブルワーズにメジャー契約での入団を果たした。
 

  

 


翌’02年、スプリング・トレーニングで結果を残した野村は、開幕ベンチ入りを果たす。4月3日のヒューストン・アストロズ戦でメジャー初登板。2対15と大きくリードされた場面だったが、きっちりと三者凡退(うち2三振)に抑えている。ところが、2点差を追う場面で起用された2度目の登板では、四球や適時打などで3失点を喫する。5月の登板を最後にマイナーに降格し、再昇格することなくオフに解雇された。21試合に登板し、0勝0敗、防御率8.56という成績だった。その後、野村は帰国して日本ハム・ファイターズ、台湾球団に所属するも、’04年限りで現役を引退した。
 

  

 

マウンド上で野村と会話する捕手ラウル・カサノバ

結果的に見れば、野村の野球人生はオリックス時代の輝きを取り戻せないまま終わってしまった。もしペタジーニとの交換トレードが成立し、全盛期の力をもってMLBに挑戦していたらどうだっただろうか。活躍できたかどうかは、正直わからない。でも、引退後を含めた彼の人生は大きく変わっていたかもしれないと、つい想像してしまう。いずれにしても、彼がプロ野球という最高峰の舞台で一時代を築いたという事実、そしてメジャーリーガーを夢見て果敢に挑んだという事実は変わらない。そこに何ら恥ずべきことはないはずだ。
 

  

 

 
文=野中邦彦  text : Kunihiko Nonaka
photo by AFLO
〈オメガ〉の“プロフェッショナルライン”に注目。復活した“レイルマスター”と 新色の“シーマスター”、心躍るふたつの名作。
SPONSORED
2025.06.27

〈オメガ〉の“プロフェッショナルライン”に注目。
復活した“レイルマスター”と 新色の“シーマスター”、心躍るふたつの名作。

〈オメガ〉を象徴するコレクションとして、1957年に創設された“プロフェッショナルライン”3部作。その中でも“レイルマスター”は、鉄道職員や電気技師といった強い電磁場が発生する場所で作業する人々を耐磁性の高さで支えた名作。そして、“シーマ…

TAGS:   Urban Safari Watches
〈ブランパン〉の名シリーズから新作登場。大人の休日にはシックなダイバーズを。
SPONSORED
2025.06.27

〈ブランパン〉の名シリーズから新作登場。
大人の休日にはシックなダイバーズを。

時計の人気トレンドにヴィンテージスタイルがある。1953年に誕生し、基本デザインを継承する“フィフティ ファゾムス”もそのひとつかもしれない。だがそこに懐古趣味はなく、常に新鮮な魅力を感じさせる。機能美という不変の価値があるからだろう。新…

TAGS:   Urban Safari Watches
リーダーにふさわしい〈グラスヒュッテ・オリジナル〉の一本。端正な機械式時計で仕事にも優雅さを。
SPONSORED
2025.06.27

リーダーにふさわしい〈グラスヒュッテ・オリジナル〉の一本。
端正な機械式時計で仕事にも優雅さを。

クルマやカメラなどドイツの工業製品の高い機能と品質は世界的に知られる。時計も例外ではない。〈グラスヒュッテ・オリジナル〉はその代表格だ。クラシカルなスタイルに決して派手さはない。だが漂う気品は、伝統に培われた揺らがぬ時計作りの哲学と美学を…

TAGS:   Urban Safari Watches
〈パネライ〉の傑作がさらなる進化。タフさと品格を併せ持つエレガントダイバーズ。
SPONSORED
2025.06.27

〈パネライ〉の傑作がさらなる進化。
タフさと品格を併せ持つエレガントダイバーズ。

歴史に裏打ちされた信頼性と機能。そして、存在感を放ちながら、品を保つデザイン性。そのすべてを兼ね備えた〈パネライ〉の“ルミノール マリーナ”は、知性と余裕をまとう大人にふさわしい腕時計だ。その傑作コレクションが今年、大胆な進化を遂げたとい…

TAGS:   Urban Safari Watches
〈エドックス〉の人気ダイバーズ時計が日本限定で登場!“とろやわ”ストラップで夏のビーチを満喫!
SPONSORED
2025.06.25

〈エドックス〉の人気ダイバーズ時計が日本限定で登場!
“とろやわ”ストラップで夏のビーチを満喫!

煌めく太陽に、白い砂浜、青い海。夏のビーチ遊びの季節がやってくる! ラフなビーチコーデの手元だって、やっぱり快適さを求めておきたい。そんな海遊びにはラバーストラップのダイバーズ時計が最適だ。そこでプッシュしておきたいのが〈エドックス〉の日…

TAGS:   Fashion Watches
〈ザ・ブセナテラス〉で過ごす憩いの時間!沖縄バカンスは贅沢でリラクシングなステイを!
SPONSORED
2025.06.25

〈ザ・ブセナテラス〉で過ごす憩いの時間!
沖縄バカンスは贅沢でリラクシングなステイを!

〈ザ・ブセナテラス〉は、日々の疲れを癒し、日常では味わえない贅沢な時間を過ごせる。充実したホテルの設備・サービス、海に面した立地を生かしたマリンアクティビティプログラム。ここは1泊2日くらいでは気づけない、魅力を秘めている。パートナーとと…

TAGS:   Stay&Travel
これでライフスタイルが見違える!新鮮アイテムでいつもの夏をアップデイト!
SPONSORED
2025.06.25

これでライフスタイルが見違える!
新鮮アイテムでいつもの夏をアップデイト!

いよいよ待ちに待った夏。バカンスを楽しみにしている人も多いだろう。たとえ予定がなくても、気温の上昇とともに気分をぐっと上げていきたい。そんなときに必要なのが、ライフスタイルをアップデイトするためのアイテムだ。これさえあれば、いつもとはひと…

サンダルは履き心地と見た目のよさで選ぶ!夏に大活躍するサンダルは、〈ロンハーマン〉別注が優秀!
SPONSORED
2025.06.23

サンダルは履き心地と見た目のよさで選ぶ!
夏に大活躍するサンダルは、〈ロンハーマン〉別注が優秀!

夏がやってくると気分も開放的になり、休日はお出かけモードに。街にショッピングに行くのもいいし、たまにはアウトドアで自然の中に身を置くのも気持ちよさそうだ。もちろん、ご近所を散歩する程度で、家でゆっくり過ごすというのも幸せ。で、そのどんなシ…

TAGS:   Fashion
〈ジラール・ペルゴ〉夏の限定モデルが登場!サマーバカンスの相棒は“懐色”の復刻ダイバーズで!
SPONSORED
2025.06.20

〈ジラール・ペルゴ〉夏の限定モデルが登場!
サマーバカンスの相棒は“懐色”の復刻ダイバーズで!

マニュファクチュール=自社一貫生産体制を2世紀以上も貫き続けるスイス、ラ・ショー・ド・フォンの名門時計ブランド〈ジラール・ペルゴ〉。そのコレクションはどれもクラシカルかつドレッシーで気品に満ちたもの。そんなイメージを、文字どおりあざやかに…

TAGS:   Fashion Watches

NEWS ニュース

More

loading

ページトップへ