【映画まとめ】ゲイリー・オールドマン出演映画5選!
『Safari Online』で紹介してきた記事の中からゲイリー・オールドマンの出演映画をまとめてご紹介!
『レオン』
製作年/1994年 監督/リュック・ベッソン 共演/ジャン・レノ、ゲイリー・オールドマン、ダニー・アイエロ
少女ながら、その存在感に唸る!
家族を殺された12歳の少女マチルダと孤独な殺し屋レオン(ジャン・レノ)が、奇妙な共同生活を送ることに。女優の道を歩み始めたばかりのナタリー・ポートマンが、2000人におよぶ候補者の中からマチルダ役を勝ち取った。華奢であどけないが眼差しは鋭く、言動も大人びたマチルダを魅力たっぷりに演じたナタリーは、本作を経てたちまちブレイク。経験の浅さを感じさせない演技力で、若手実力派の道を進んでいくことになる。
家族の復讐を遂げるためレオンから暗殺技術を学ぼうとするマチルダと、彼女から読み書きを学ぶレオン。“父と娘”に留まらず、“男と女”と呼ぶには危うすぎる両者の関係を、ナチュラルに成立させた若きナタリーの存在感に唸らされる。監督はリュック・ベッソン。
『裏切りのサーカス』
製作年/2011年 監督/トーマス・アルフレッドソン 出演/ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース
凄腕諜報員たちの頭脳戦にシビれる!
英国情報部の幹部メンバーの中に「もぐら(二重スパイ)」がいる。東西冷戦下でその人物は、英国のために身を捧げているように見せかけながら、ソ連側に情報を漏らしているというのだ。ティンカー、テイラー、ソルジャー、プアマン……秘密裏にそう名付けられた面々をターゲットに、いま初老スパイ、ジョージ・スマイリー指揮下の炙り出し作戦が幕を開ける。
いやはや、これは数あるスパイ映画の中でも最高級の味わい。銃撃戦や格闘などが全く起こらない中で、一筋縄ではいかない諜報員たちの血の涙もない頭脳戦が繰り広げられ、その向こう側にはいつもうっすら、自分たちを写す鏡のごとく組織化されたKGBの気配が見え隠れする。70年代BBCドラマでは『スター・ウォーズ』オビ=ワン役、アレック・ギネスが名演を見せたが、これとはやや印象を異にする新たなゲイリー・オールドマンの存在感がまた絶品。わずかな仕草、声のトーン、眉や広角の動きにすら気が抜けない。ちなみにクリスマス・パーティ場面で原作者ジョン・ル・カレもちらりと映るので、お見逃しなきよう。
『ダークナイト ライジング』
製作/2012年 監督/クリストファー・ノーラン 出演/クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン
バットマンの印象をガラリと変えた!
『バットマン ビギンズ』に始まる3部作をまとめて、クリストファー・ノーランの代表作と言っていいだろう。これまでのティム・バートン作品などから、アメコミヒーロー、バットマンのイメージを一新。とことんダークでシリアスなヒーロー像を作り上げ、ヒース・レジャーのジョーカー、トム・ハーディのベインなど強烈な悪役も送り出した『ダークナイト』シリーズ。そのフィナーレを目にする意味でも必見の一作だ。
ジョーカーとの死闘を経て、絶望にさいなまれていたバットマンだが、恐るべきテロリスト、ベインの出現でゴッサム・シティが窮地に陥り、再び戦いに挑むことを決意する。空中戦やカーチェイス、アメリカンフットボールのスタジアムの崩壊など、アクション場面の演出・迫力はシリーズでも最高レベル。
前作『ダークナイト』では部分的だったIMAXカメラを多くの場面で使用し、アン・ハサウェイの怪しくセクシーなキャットウーマンも魅力的だ。賛否両論にわかれる結末も、ある意味でノーラン作品らしい!?
『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
製作年/2017年 監督/ジョー・ライト 脚本/アンソニー・マッカーテン 出演/ゲイリー・オールドマン、クリスティン・スコット・トーマス、リリー・ジェームズ
世界の運命を左右する決断をどう下した?
ヒトラーのナチス・ドイツがフランスへ侵攻した第二次世界大戦の初期。英国では海軍大臣で国民の支持も集めたウィンストン・チャーチルが首相に就任するも、失政が続き、窮地に立たされていた。やがてドイツ軍がフランスの海辺の町、ダンケルクへと進み、対岸の英国にも絶体絶命の危機が迫る。首相就任からダンケルクの戦いまでの27日間、チャーチルがどんな行動をとったのか? 世界の運命も大きく左右したとされるチャーチルの決断は、後に“偉人”として語り継がれるものであった。
本作のチャーチル役でアカデミー賞主演男優賞に輝いたゲイリー・オールドマン。その外見でサポートしたのが、日本出身のメイクアップ・アーティストのカズ・ヒロで彼もオスカーを受賞した。衣装にも実際にチャーチルが懇意にしてたテイラーが仕立てたスーツが使われ、“再現度”は満点。オールドマンによる演説シーンは圧巻だが、ウクライナのゼレンスキー大統領が引用したりと、チャーチルの言葉は後世にも受け継がれている。人類の歴史の転換点を映画で目撃したいと思っている人には最適の一本だ。
『Mank/マンク』
製作年/2020年 製作・監督/デヴィッド・フィンチャー 脚本/ジャック・フィンチャー 出演/ゲイリー・オールドマン、アマンダ・サイフリッド、リリー・コリンズ
モノクロ映像とレトロなサウンド、こだわりの演出!
舞台となるのは1930〜40年代のハリウッド。“時代の寵児”といわれた、若き天才監督、オーソン・ウェルズが、映画史に残る大傑作『市民ケーン』を完成させるまでの物語。とはいっても主人公は、ウェルズではなく、脚本を書いた、ハーマン・J・マンキーウィッツ(周囲に“マンク”と呼ばれていた)。
アルコール依存症が原因で大ケガを負ったマンクが、牧場の宿泊施設で、ウェルズの新作の脚本に取り組むが、そこにマンクの過去が重なっていく。ウェルズ側からの無理難題や、アルコールの欲求との格闘、看護師ら女性たちとのドラマで、オスカー俳優のゲイリー・オールドマンが、マンクを愛すべき天才として名演。思わず共感する瞬間が何度もある。
マンクが書く脚本の主人公は、旧知の新聞王ウィリアム・ハースト。ハリウッドでも権力を持つ男のスキャンダラスな面を入れこんでいるので、同時進行する過去のパートでは、映画業界のドロドロの舞台裏も展開。映画ファンには、たまらないエピソードの連続だ。
当時の映画を意識して、わざと合成っぽく見せる映像や、『ファイト・クラブ』でも語られたフィルムのウンチクを入れるなど、こだわりの演出がたっぷり。背景となる州知事選が、今のアメリカの大統領選に重なったりもする。
とはいえマニア向けというわけではなく、語り口はわかりやすいし、ハリウッド黄金期の女優を演じるアマンダ・サイフリッドのオーラを放つ美しさには、誰もがうっとりするに違いない。