【映画まとめ】サム・ライミが手がけた映画5選!
『Safari Online』で配信してきたサム・ライミ監督が手がけた映画作品をまとめてご紹介!
『ダークマン』
製作年/1990年 原作・監督・脚本/サム・ライミ 出演/リーアム・ニーソン、フランシス・マクドーマン
怒りの超人パワーでスーパーヒーローに変身!
主人公は人工皮膚の研究に勤しむ天才科学者ペイトン。弁護士である恋人が絡んだ事件に巻き込まれ、ギャングに襲撃された彼は、身元の判明ができないほどの大火傷を負い、特殊治療を受ける。火傷の痛みは消えたが、感情の制御ができず、怒りだけが増幅され、それは彼に超人的なパワーを宿らせることに。やがてペイトンは正体不明のスーパーヒーロー、ダークマンとなり、恋人を危機から救うために壮絶な戦いに身を投じる。
『シンドラーのリスト』のような重厚なドラマの一方で、『96時間』などのアクションもこなすベテラン、リーアム・ニーソンだが、そんな彼のアクションヒーローの原点といえば、やはりこの作品。いら立ちや怒りなどの感情の起伏を表現し、異形のスーパーヒーローに説得力をあたえた。ちなみに監督のサム・ライミは後に『スパイダーマン』シリーズで売れっ子になり、ヒロイン、フランシス・マクドーマンドは3度のアカデミー賞に輝くなど、ニーソン以外にもブレイクスルー映画人を輩出。
自分がなにをやってきて、これからなにをやりたいのか、そこが大事!
『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』
製作年/1999年 監督/サム・ライミ 出演/ケヴィン・コスナー
毎年、シーズンが終わる頃になると引退表明が出される野球界。今作の主人公、ビリー・チャペル投手も40歳を迎え、選手生命のピンチに立たされている。優勝が決まるゲームでの登板を任されているのだが、その日の朝にオーナーからトレードまたは引退を勧められてしまうビリー。しかも恋人には別れを告げられたばかり。モヤモヤを抱えたまま、彼は一世一代のマウンドに上がることになる。
引き際を考えたとき、人はこれまでの自分の生き様を振り返るもの。今作のビリーも、決戦のマウンドで対戦バッター、さらに痛みを訴える自分の右腕と格闘しながら、これまでの日々に心を巡らせる。そしてタイトルが意味する“野球が好き”という思いがあふれ出すクライマックスへ! ケヴィン・コスナーの“直球”なヒーロー像も清々しく、引き際を描いている作品なのに後味もこのうえなく爽やか。これまで自分がなにをやってきて、そしてこれから本当になにをやりたいのか。そんなメッセージが熱く伝わってくる。
『スペル』
製作年/2009年 監督/サム・ライミ 主演/アリソン・ローマン
ところかまわず老女が襲いかかる恐怖!
思いっきり「ギャッー!!」と叫びたくなる驚き系ホラー映画。なにが叫ぶほど怖いのかというと、ひたすらに“老女”が襲いかかってくるというところ。息つく暇もない展開は、まるで絶叫系ライドに乗っているかのようだ。銀行員のクリスティンが、ローン返済の延長を希望する老女の願いを断ったことから物語が展開するわけだが、実はその老女は黒魔術を操る厄介な人物。逆恨みから呪いの言葉を浴びせたうえ、ところかまわずクリスティンを襲いはじめるのだ。見るからに不気味な老女が思いがけないところから度々現われるので、油断できないのが本作の面白いところ。見終わった後は妙にスッキリ感があるので、“リアルに怖いのは苦手”という恋人たちにもおすすめしたい。監督のサム・ライミは『死霊のはらわた』や『スパイダーマン』などで知られるヒットメーカー。円熟期に達した彼のホラー演出が存分に満喫できる。
『ドント・ブリーズ』
製作年/2016年 製作/サム・ライミ 監督・脚本/フェデ・アルバレス 出演/ジェーン・レヴィ、スティーヴン・ラング
襲った相手が最凶の元軍人だった!
貧しさの中で、盗品売買で金を稼いでいる若者3人組。苦しい生活から抜け出すため、彼らは、保険金を受け取ったばかりの退役軍人から大金を盗もうと画策する。老いたこの軍人は目が不自由で、泥棒計画は簡単に遂行できると思われた。
だが、彼は目が不自由な分、聴覚は異様に敏感で、しかも戦闘の達人だった! 屋内に閉じ込められた3人は呼吸音さえも聞き取られかねない危険の中、過酷なサバイバルを強いられる……。
『死霊のはらわた』のサム・ライミ監督が製作を手がけ、スマッシュヒットを飛ばした緊迫のスリラー。暗闇でじっと息を潜めて生存に懸ける、3人組が置かれたシチュエーションはタイトルが表わすとおり息苦しさ満点。
とにかく、襲った相手が悪かった。ヴィランの退役軍人は戦闘能力だけでなく狂気をも内に秘めており、後半になると、とんでもない行動を起こす。どんな行動かは見てのお楽しみ。衝撃のクライマックスに震えてほしい。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
製作年/2022年 監督/サム・ライミ 脚本/マイケル・ウォルドロン 出演/ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、ソーチー・ゴメス、レイチェル・マクアダムス
まさかのホラーテイストにビックリ!
本作のメインとなるトピックは、タイトルでも示されたように『マルチバース』。いくつものパラレルワールドが存在し、それぞれに自分がいて別の運命をたどる……という、マルチ(複数)なバース(次元)の設定だ。主人公のドクター・ストレンジは別のバースの扉を開くことができ、直近の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でもその能力を発揮。『スパイダーマン』の複数の世界観をごちゃ混ぜにして、思わぬ感動も導いた。今回はストレンジが、マルチバースを行き来する少女、アメリカ・チャベスと出会ったことで、さらなる壮大かつ複雑なスケールへと発展。別世界の自分や、MCUの重要キャラ、ワンダ(スカーレット・ウィッチ)も絡んで空前のバトルへとなだれ込む。
2016年の前作『ドクター・ストレンジ』や、2021年配信でワンダが主人公のドラマ『ワンダヴィジョン』の予備知識が多少あった方がいいが、そうでなくてもマルチバースのめくるめくビジュアルで、魔法をかけられたようにストレンジの苦闘に引きこまれる。シンプルに奇跡の映像体験を味わうだけで価値がある一作。そして注目なのは、監督だ。『スパイダーマン』の最初の3部作以来、ヒーローアクションに戻ってきたサム・ライミなのだが、彼はホラーの名手でもあり、中盤からはドッキリ演出、生と死の世界の境界が崩れる描写など、その手腕が全開。MCUをずっと追いかけてきた人にも斬新なショックを与えるはず。マルチバースを行き来する複雑なシチュエーションを、名監督が得意技でまとめ上げ、唯一無二の作品に仕上げた印象だ。
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