悩める大人が新しい一歩を踏み出す!『15年後のラブソング』
マイペースで自由に自分らしく生きているようで、どこか頼りない部分がある。年齢を重ねても、永遠に青年のような印象。そんな役がぴったりの俳優といえば、そう、イーサン・ホーク。間違いなく、同性から共感を集めるスターではないだろうか。この作品は、またもイーサンの持ち味が最大限に発揮され、大人の心をくすぐるラブストーリーになっている。
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『15年後のラブソング』
胸熱なポイントは?
ミュージシャンを演じるイーサン・ホークの歌声が心に染みる!
イーサンが演じるのは、たった一枚のアルバムを残し、世の中から姿を消したロック・ミュージシャン、タッカー・クロウ。行方が誰にもわからない“伝説の男”タッカーには、いまだに熱狂的なファンサイトがある。そこにメッセージを投稿した博物館勤めのアニーに、タッカー本人から返信が届くという物語。
ファンサイトの運営者は、アニーの恋人でタッカーの崇拝者。やがてタッカーとアニーは直接会うことに……。このタッカーという男が、どんな人生を送ってきたのか? それは観てのお楽しみだが、いかにもイーサンが得意とする、ちょっと自分にだらしなく、それゆえに周囲の女性が面倒みたくなるキャラクター!
タッカーとアニーの微妙なムードで進展する関係は、大人の事情をよくわかった人にとって納得するポイントが多数。思わず心をえぐるセリフも出てきたりする。そしてタッカーがアルバムを出したのが、1993年というのも象徴的。オルタナティヴ、グランジというジャンルが世界的に流行した時代で、タッカーの曲に当時の空気が甦る音楽ファンは多いはず。
ドラマにしても、音楽にしても、登場人物たちの生き方にしても、大人の観客にとって心地よい時間を届けてくれる佳作なのである。
『15年後のラブソング』
原作/ニック・ホーンビィ 監督/ジェシー・ぺレッツ 出演/ローズ・バーン、イーサン・ホーク、クリス・オダウド 配給/アルバトロス・フィルム
2018年/アメリカ・イギリス/上映時間97分
6月12日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー。