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CULTURE カルチャー

2025.11.13


『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』 ジェレミー・アレン・ホワイト単独インタビュー! 今最も旬な男が明かす“秘めた情熱”とその素顔

ドラマシリーズ『一流シェフのファミリーレストラン』で主演を演じ、日本でも人気が急上昇のジェレミー・アレン・ホワイト。ブルース・スプリングスティーンの若き日を演じる彼が、その役作りからプライベートでの素顔まで、単独インタビューで答えてくれた!

©2025 20th Century Studios
[ジェレミー・アレン・ホワイト]Jeremy Allen White
1991年2月17日生まれ。ニューヨーク出身。テレビドラマを中心に活躍し、主演した『一流シェフのファミリーレストラン』でゴールデングローブ賞を3年連続で受賞。〈カルバン・クライン〉のキャンペーン広告も話題となり、俳優としての注目度がアップしている。『ソーシャル・ネットワーク』の続編など今後の待機作も多数。

今ハリウッドで最も勢いのあるスター。その1人がジェレミー・アレン・ホワイトだろう。人気テレビシリーズとなった主演作『一流シェフのファミリーレストラン』では、エミー賞など各賞を受賞。そして新作『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』で、音楽界のレジェンド“ボス”ことブルース・スプリングスティーン役を任された。これまでの人生でボスとの接点はあったのか。

「僕は1991年、ニューヨークのブルックリン生まれ。ブルースの出身地であるニュージャージー州にも近いので、子供時代から親しみは感じていたよ。両親がちょうどブルースと同年代で、ブルースの音楽は“ラジオから流れる”感覚だったね。ただ曲に関しては詳しくなくて、今回演じるにあたって研究を重ね、ブルースの虜になったんだ

ギターやハーモニカを演奏した機会はほぼゼロだったというジェレミー。ヴォーカルも含めてトレーニングを積んで撮影に挑んだが、最も参考になったのはボスのステージ映像だったという。

「1980年、アリゾナ州テンピで行われたコンサートは圧巻だった。ワイルドでテンションが高く、疲れ果てるほどの渾身さで歌っていたんだ。この感じを再現するうえで、僕もカメラが回る直前まで縄跳びや腕立て伏せをして、体力の限界をキープしたよ。一方でステージに立つのは1日で3時間ほど。残りの時間、自分とどう向き合ったのかも意識し、ブルースになりきったんだ」

このアプローチに最も役立ったのは、スプリングスティーン本人と過ごした時間だったとジェレミーは振り返る。

「ロンドンのウェンブリー・スタジアムでコンサートがあって、僕は横でサウンドチェックを見学していた。そうしたらブルースが突然、僕をステージに上がらせ、そこで20分、さらに楽屋でも話が続いたんだ。僕が突っ込んだ質問をしても、ブルースは寛大で、すべてオープンに答えてくれた。その後、僕の歌をチェックし、生まれ育った街を案内してくれたうえに、自宅でのディナーにも呼んでくれた。あれだけビッグなのに、常に周囲に優しい態度をとる彼の姿は、アーティストとして僕の指針になったよ」

実在のレジェンドを演じ切り、いまやジェレミーも若い俳優の“指針”である。現在の状態をどのように捉えているのか。そして彼が思う理想の演技とは?

「演技の仕事を続けられたことだけで幸せだよ。俳優にとって最も重要なのはタイミング。人生のどの段階で、ぴったりの役が舞い込むか。その意味で『一流シェフのファミリーレストラン』のカーミー役は、僕がすべてを捧げられる時期にオファーが来たんだ。理想となるのは、アル・パチーノやロバート・デ・ニーロの若い時代。誰もが憧れる、ロックスターのようなカリスマ性を放っていたからね」

出演作が途切れず、多忙な毎日のジェレミーだが、プライベートではなにが楽しみなのか。そんな質問に、彼は穏やかな表情で次のように答える。

「自宅に戻り、その日の仕事を玄関で“脱いで”部屋に入ると、6歳と4歳の子供たちが待っていて僕の心を落ち着かせてくれるんだ。料理もよく作る。得意なのはサンデーロースト(イギリスの伝統的なワンプレート料理)。ショートリブを野菜と一緒に何時間も弱火で煮込むんだ。音楽ではヒップホップが大好き。ブルックリン育ちだから(笑)。ビッグ・L、ジェイ・Z、ウータン・クランなんかをよく聴いてるよ」

少し気が早いが、スプリングスティーン役でアカデミー賞ノミネートも噂されている。しかしジェレミー本人は賞レースを冷静に受け止めているようだ。

「もちろん授賞式に行くのは気分がいい。尊敬できるアーティストにたくさん会えるからね。賞を獲れば将来、仕事の選択肢も増えるだろうし。でもこれは自分で追いかけるものではないかな。カーミー役のときも、まさかこんなに評価されると予想していなかったから、僕自身は幸運を受け止めるだけだよ

インタビュー中も、どこかシャイな表情を貫きつつ、語りはじめると言葉に熱さが込もるジェレミー・アレン・ホワイト。そんな“秘めた情熱”が名演技を引き出すのかもしれない。


スプリングスティーンのトレードマークでもある、着古したデニムとTシャツを着こなし、自然体の演技で魅せるジェレミーはまさに適役

映画内の歌唱はすべてジェレミー自身が歌っている

マネージャーのジョン・ランダウとのビジネスパートナーを超えた固い信頼関係も見どころ
1975年に発表した『明日なき暴走』が一大センセーションを巻き起こしたブルース・スプリングスティーン。その伝説誕生から7年後、1982年のニュージャージーで、彼は人生の大きなターニングポイントを迎えていた。成功の重圧と自らの過去に押し潰されそうになる中、わずか4トラックの録音機の前で、スプリングスティーンはたった1人、静かに歌いはじめる。ヒットチャートも栄光も求めない、彼の本当の思いとは……。


『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』
監督 : スコット・クーパー
出演 : ジェレミー・アレン・ホワイト、ジェレミー・ストロング、ポール・ウォルター・ハウザー、スティーヴン・グレアム
11月14日(金)より全国公開
配給 : ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2025 20th Century Studios

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※『Safari』12月号264〜266ページ掲載

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文=斉藤博昭 text : Hiroaki Saito
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