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CULTURE カルチャー

2018.07.18


『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』『マイナス21℃』

ヴィム・ヴェンダース監督の『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の続編ドキュメンタリーと、久々のジョシュ・ハートネットが主演する『マイナス21℃』をピックアップ!

物語で選ぶ編
ムネアツなポイントは?“これこそ人生賛歌のドキュメンタリー!”
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』

今から18年前の2000年。日本で劇場公開されたヴィム・ヴェンダース監督の『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は、ミニシアター系ながら予想を上回るヒットを記録。キューバの老ミュージシャンたちの、年齢を忘れさせる音楽への情熱や、マイペースな言動に、多くの人が感動を受けた。彼らはどうなったのか? 今回の続編が“その後”を明らかにしていく。


 

 
もともと“ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ”は、1996年に結成されたバンドで、アルバムのヒットとヴェンダースのドキュメンタリー映画のおかげで、世界中にファンを獲得。各国を巡るワールドツアーも行っており、今回の映画には来日公演に熱狂する日本人ファンの姿も収められている。さらにキューバと音楽の歴史を丁寧に紹介するシーンが用意されるうえ、ミュージシャンひとりひとりの過去と現実にもスポットが当てられた。


 

 
とはいえ、前作は18年前。その頃すでに老齢の域に入っていたバンドなので、当然のごとくこの世を去ったメンバーもいる。今回の作品では、彼らの“最後のステージ”を撮った映像も紹介され、何度も胸を締めつけられる瞬間が訪れる。しかし、ただ悲しいだけではない。死の4日前まで元気に歌っていたメンバーもいたりして、人生の最後の最後まで大好きな音楽と一緒にいられた彼らの幸福を分かち合う。そんな“喜び”に満ちた感動なのである。


 

 
もちろん、その感動は、前作『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』をふまえた結果なのだが、それを観ていなくても、各メンバーの過去のキャリアや、音楽への愛などが網羅されているので、バンドの全体像がしっかりわかる作り。むしろ前作の“いいとこ取り”をしている部分もあり、この作品こそがバンドの歴史の集大成と言ってもよさそう。


 

 
そして女性ボーカルのオマーラ・ポルトゥオンド(なんと今年で88歳!)ら、まだまだ現役で音楽を続けるメンバーの姿には、誰もが人生の理想型を見出してしまうはず。家族との別離などキューバでの過酷な半生を乗り越えながらも、そこには一点の後悔も見えない。これこそまさに、人生賛歌のドキュメンタリー!

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』
製作総指揮/ヴィム・ヴェンダース 監督/ルーシー・ウォーカー 出演/オマーラ・ポルトゥオンド 配給/ギャガ
2017年/アメリカ/上映時間110分

7月20日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
©2017 Broad Green Pictures LLC. All Rights Reserved.

文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito
 

 
セレブで選ぶ編
ムネアツなポイントは?“ジョシュ・ハートネットは、輝いているのか!?”
『マイナス21℃』



『パールハーバー』『ブラック・ホーク・ダウン』『ラッキーナンバー7』とくれば、思い浮かぶのがジョシュ・ハートネットだ。あどけなさが残る顔立ちで人気となり、話題作にも立て続けに出演。次世代を担うスター俳優となるものだと思っていたが、いつの間にやら姿が見えなくなってしまった。だから、この名を聞いて懐かしいと思った人も多くいるだろう。


 

 
インタビュー記事などを探ってみると、姿を消した理由がわかる。一躍、世界的スターとなったものの、気が休まることがなくなり、孤独感を募らせてしまったようなのだ。その結果、彼は心の安らぎを求めミネソタに帰郷。そこで心身の充電を図ることにしたというわけ。大作に出演していたのは23歳の頃。確かに、信じられる大人がいない中、ひとりでハリウッドを生き抜くには難しかったのかもしれない。


 

 
再びスクリーンに戻ってきたジョシュの近作といえば、『インフェクション 感染』、日米合作で寺島しのぶ主演の『オー・ルーシー!』。以前のようなアクション大作と比べると小規模で、物足りなさも感じてしまう。しかし、それがイコール、ジョシュの魅力の欠如かといえばそうではない。それは本作観ればよくわかるからだ。


 

 
極寒の雪山で遭難した元アイスホッケー選手の壮絶な8日間を描いた本作。ジョシュは、食料なし、装備なしでサバイブする主人公を演じている。劇中では、雪山で、ほぼひとり芝居。けれども、それを退屈に感じさせないのは、ジョシュだからこそ。元来持つ誠実なイメージに、40歳の男の貫禄がプラスされ、味わいのある存在になった。これを確認するだけでも観る価値はあるってもの。ちなみに男目線でいうと、救助隊役の女優兼モデルのセーラ・デュモントがやたらとカワイイという情報もお知らせしておきたい!

『マイナス21℃』
監督/スコット・ウォー 出演/ジョシュ・ハートネット、ミラ・ソルヴィーノ、セーラ・デュモント 配給/松竹メディア事業部
2017/アメリカ/上映時間94分

7月21日より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
©2016 Six Below LLC.All Rights Reserved.

 
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