映画『異端者の家』は鑑賞後に得体の知れない怖さに震えるはず!
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イメージどおりの役を演じてファンを満足させるのが、映画スターの大きな役目。しかし、おなじみのスターがこちらの期待をいい意味で裏切る“変化球”も、これまた映画の楽しみのひとつ。本作のヒュー・グラントは、そんな挑戦が見事に功を奏し、われわれの心を激しくざわめかせてくれる!
森に囲まれた一軒家。そこで暮らしているのが、ヒュー・グラントが演じる中年男のリード。その家を訪ねて来るのは、若い2人の女性。モルモンの宣教師(シスター)である彼女たちは、布教活動で雨に打たれ、リードの家にたどり着いたのだった。“男性だけの家に入ってはいけない”という教義によって最初は玄関で話すだけの2人だが、“妻がいるから”というリードの言葉を信じ、室内に招き入れられる。そこからは嫌な予感が的中するかのように、2人はとんでもない運命を強いられることに……。若い女性を優しい口調でもてなし、軽妙なジョークもとばし、親しみやすさを“演出”する冒頭のリードは、『ブリジッド・ジョーンズの日記』シリーズなど、ヒュー・グラントが自身のパブリックイメージで演じている感じ。映画を観ているこちらも、2人のシスターと同じ気持ちでリラックスしてしまう分、中盤からの落差に衝撃を味わうことになる。
モノポリーや『スター・ウォーズ』など、さまざまなトピックで交わされるリードと2人のシスターの会話は、心理ゲームのように緊張感が保たれ、リードの家の構造、彼の妻の真実などがじわじわ明らかになるプロセスは、真綿で首を絞められるような感覚。『異端者の家』という邦題も絶妙だ。気鋭のスタジオ、A24が製作に関わっていることから、真っ当な怖さとは別次元のレベルに足を踏み入れた気分になる。グラントの怪演に対抗する、シスター役2人の奮闘にも注目。ソフィー・サッチャー、クロエ・イーストは正反対の性格のシスターに適役だし、今後も注目作が待機しているので、ハリウッド次世代スターとして名前を覚えておくといいかも。観終わった後、得体の知れない怖さがまとわりついて離れない一作だ。
『異端者の家』4月25日公開
製作・監督・脚本/スコット・ベック、ブライアン・ウッズ 出演/ヒュー・グラント、ソフィー・サッチャー、クロエ・イースト 配給/ハピネットファントム・スタジオ
2024年/アメリカ・カナダ/上映時間111分
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