伝説の音楽家レナード・バーンスタインを描く『マエストロ:その音楽と愛と』は俳優陣の熱演に圧倒される!
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映画界ではアカデミー賞に向けた賞レースがはじまり、その傾向が見えてきた。今年度の主演男優賞でトップグループに入っているのが、ブラッドリー・クーパーだ。実在の人物になりきるとオスカーに近づく……。そのジンクスは今回も生きるのか!?
ブラッドリー・クーパーが演じたのは、名指揮者で作曲家のレナード・バーンスタイン。20世紀を代表する音楽家として記憶されている。ミュージカルの名作『ウエスト・サイド・ストーリー』を作曲するなど、映画界に与えた影響も多大。その生涯は波乱に満ちており、ブラッドリー・クーパーは俳優として若き日々から老年期までを熱演する。指揮者としての動きも完璧に再現。さらに監督として見応え満点の力作に仕上げてきた。
クーパーは、レディー・ガガを主演に迎えた『アリー/スター誕生』でも監督、および相手役を務めて作品を成功に導いた。今回もモノクロとカラーの使い分けや、キーポイントである音楽の効果など、演出のセンスが冴えわたっており、アカデミー賞では主演男優賞と監督賞のWノミネートも期待されている。
作品の軸となるのは、バーンスタインが音楽に懸けた情熱と類い稀な才能なのだが、女優でピアニストのフェリシアとの愛の物語が同時進行。一方でバーンスタインと男性との奔放な関係など、私生活の事実からも目を逸らさない。フェリシア役、キャリー・マリガンの鬼気迫る演技もあって、“芸術家の妻”の映画としても共感させる作りだ。
そしてもうひとつの注目点は、メイクアップ。クーパーの顔をバーンスタインに近づけたのは、日本出身(現在はアメリカ国籍)で、アカデミー賞2度受賞のアーティスト、カズ・ヒロ。青年時代から中年、老年期と、あまりにナチュラルな“そっくり感”には絶賛の声が寄せられており、3個目のオスカーの可能性も! 一人の芸術家の生きざまで感動させるのはもちろん、本作は細部まで完璧にこだわったアートなのである。
『マエストロ:その音楽と愛と』12月20日配信(一部劇場で公開中)
製作・監督・脚本・出演/ブラッドリー・クーパー 出演/キャリー・マリガン、マット・ボマー、マヤ・ホーク、サラ・シルバーマン、ジョシュ・ハミルトン 配信/ネットフリックス
2023年/アメリカ/視聴時間129分
Netflix映画『マエストロ:その音楽と愛と』12月20日(水)より独占配信