映画『アステロイド・シティ』のアートのような世界観に魅了される!
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映画監督にはそれぞれ個性があり、作品のスタイルにその個性が表れるのは当然のこと。ただし作品のワンシーンだけで誰が監督なのか即座にわかるケースは極めて稀(まれ)。そしてその稀なケースといえば、この人を置いてほかにいないだろう。ウェス・アンダーソン監督だ。
『グランド・ブダペスト・ホテル』など過去10本の長編作品でも、ウェス・アンダーソン監督の世界観は唯一無二。一番の特徴は、シンメトリーの映像で、多くのシーンで人物の配置や背景などがきっちりと左右対称。まるで絵画のように印象に残る。基本的に俳優たちは無表情で、セリフにもあまり感情が込もめられない。その奇妙な感じが、これまた味わい深い。しかも信じられないほどのオールスターキャストが揃う。そして小道具や衣装へのこだわり、鮮やかな配色のプロダクションデザイン(美術)……。この新作『アステロイド・シティ』でもウェス・アンダーソンの持ち味はパーフェクトで発揮されている。一方で、あまりに独自なセンスを貫く分、彼の映画は“入り込みづらい”と評されることも。しかし今回はストーリーも、作品の構造もユニークなので、“入り込みやすい”部類だと断言したい。
舞台となるのは、1955年、アメリカ南西部、隕石落下によるクレーターが観光名所である砂漠の街。ジュニア宇宙科学賞のイベントで、天才的な子供たちと家族が集まってくる。しかし、そこに超意外な“訪問者”が降り立ち、街はカオスに化すのだった。1950年代といえばアメリカが宇宙開発へ乗り出した時代で、そんな夢のようなネタも盛り込まれ、当時のアナログ的なアイテムの数々に監督のテイストが凝縮。ブルーとオレンジを強調したパステルカラーの世界は、眺めているだけでテンションが上がる。そしてキャストでは、マリリン・モンローを思わせるグラマラスなスター女優役でスカーレット・ヨハンソンが最高にハマってる! ストーリーが二重構造になっていてちょっとややこしいのだが、最後にその二重構造が思わぬ感動をもたらしたりするので、監督の世界が好きな人はもちろん、そうではない人の心も引き寄せる不思議なパワー、是非体験を!
『アステロイド・シティ』公開中
製作・原案・監督・脚本/ウェス・アンダーソン 出演/ジェイソン・シュワルツマン、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、ジェフリー・ライト、ティルダ・スウィントン、マーゴット・ロビー 配給/パルコ
2023年/アメリカ/上映時間104分
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